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第十話 ヘッドハンティング

武尊は戦う代わりに、ある「罠」を仕掛けた。

夜の帳に紛れ、風上に陣取ると、村で収穫したばかりの「甘い芋」を大量に焼き始めた。香ばしい匂いが野盗のキャンプを襲う。

さらに、矢の先に**「条件提示書」**を括り付けて撃ち込んだ。

『現在、村では労働力を募集しています。初任給:白米・芋食べ放題。福利厚生:寝床完備。なお、リーダーの首を持参した者にはボーナスを支給します』


翌朝、痺れを切らした野盗の首領が、残った数人を引き連れて村へ突撃してくる。

だが、武尊は村の入り口で、腕を組んで立っていた。

「……遅いですよ。始業時間はとっくに過ぎています」

首領が剣を振り下ろそうとした瞬間、武尊のスキルが発動した。

【不当破棄(暴力による交渉の破棄)への異議申し立て(リジェクト)】。

空中に展開された半透明の「契約障壁」が剣を弾き飛ばす。物理的な攻撃を「不当な契約破棄」と見なして無効化する、サラリーマンの意地が具現化した盾だ。


後ろを振り返れば、首領以外の野盗たちは、すでにアルが配ったホクホクの芋を夢中で食べていた。

「……タケル兄さんの言う通りだ。ここでは、裏切らなくてもお腹いっぱい食べられるんだ」

孤立した首領を、元・部下たちが取り囲む。

こうして、一滴の血も流さず(武尊の手は汚さず)、村は野盗の脅威を排除した。



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