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第7話 配信者という存在


ギルドの

待機エリアは、

今日も

騒がしかった。


大型モニターに、

いくつもの

映像が

映し出されている。


ダンジョン内部。


探索者たちの

視点。


そこには、

戦いと、

歓声が

混ざり合っていた。


葛城亮は、

隅の椅子に

腰を下ろし、

黙って

眺めていた。


「……慣れないな」


戦場が、

娯楽として

消費される。


異世界では、

考えられない

光景だ。


隣の

探索者が、

興奮気味に

話している。


「この人、

 登録者

 十万人だってさ」


「Cランクで

 この人気は

 異常だよな」


亮は、

自然に

視線を向けた。


モニターの中央。


若い少女が、

軽装で

ダンジョンを

進んでいる。


ヘッドセット。

小型カメラ。


配信者。


---


「こんにちはー!

 今日も来てくれて

 ありがとー!」


明るい声が、

スピーカーから

流れる。


魔物が、

出現する。


彼女は、

慣れた動きで

迎え撃った。


過剰ではない。


だが、

確実。


「小野、

 裕子……」


画面の

名前表示を

亮は

読み取る。


十七歳。

Cランク。


年齢に似合わず、

落ち着いた

判断。


「今の、

 カウンター

 うまいな」


思わず、

感心する。


コメント欄が、

流れる。


応援。

指示。

煽り。


それらすべてを、

彼女は

受け止めながら

進んでいく。


戦いながら

話す。


それは、

簡単なことではない。


集中力が

分散する。


一歩

間違えれば

致命傷だ。


---


亮は、

ふと気づく。


ダンジョンの

雰囲気。


映像越しでも、

違和感がある。


魔物の

出現間隔が

短い。


配置が、

不自然だ。


「……まずい」


思わず

立ち上がる。


だが、

周囲は

盛り上がっていた。


危険を、

娯楽として

見ている。


裕子が、

息を整える。


「ちょっと、

 今日は

 多いかも」


冗談めかして

笑う。


だが、

目は

真剣だった。


亮は、

拳を

握りしめる。


イレギュラーの

前兆。


異世界で、

何度も

見てきた。


だが、

ここでは

警告が

遅れる。


---


モニターの

警告表示が、

一瞬

点滅した。


「……え?」


裕子の声が、

わずかに

揺れる。


背後の

通路。


影が、

歪む。


通常とは

違う魔物が、

姿を現した。


コメントが、

一気に

荒れる。


「新種?」

「演出?」


亮は、

唇を

噛んだ。


これは、

演出じゃない。


現場に

いる者でなければ、

わからない

危険。


「……誰か、

 止めろ」


呟きは、

誰にも

届かない。


裕子は、

後退しながら

武器を構える。


だが、

判断が

一瞬遅れた。


配信者という

立場が、

彼女を

縛っている。


逃げれば、

評価が下がる。


進めば、

死ぬ。


その狭間で、

彼女は

戦っていた。


亮は、

モニターから

目を離す。


胸の奥が、

ざわつく。


見ているだけで

終われない。


勇者ではない。


だが、

見殺しにも

できない。


彼は、

立ち上がった。


次に

ダンジョンへ

潜る理由が、

できてしまったからだ。


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