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第4話 探索者ギルド


朝の空気は、

少しだけ

張りつめていた。


葛城亮は、

妹あみと並んで

歩いている。


目的地は、

駅から二つ先。


探索者ギルド

中央支部。


五年前に

設立された、

ダンジョン管理の

中枢だ。


建物は、

無駄に大きい。


ガラス張りで、

一見すると

企業ビルのようだった。


だが、

入口付近には

武装した警備員。


ただの

事務所ではない。


亮は、

無意識に

周囲を観察する。


人の流れ。

警備の配置。

非常口。


勇者の癖は、

まだ抜けていない。


「兄さん、

 顔こわい」


あみの一言で、

我に返る。


「……悪い」


深呼吸して、

自動ドアを

くぐった。


---


中は、

想像以上に

騒がしい。


受付カウンター。

待合の椅子。

大型モニター。


モニターには、

ダンジョンの

現在状況。


ランク別に

色分けされ、

警告が表示されている。


Aランク以上は

赤色。


一般人は、

立ち入り禁止だ。


「探索者って、

 こんなに

 いるんだな」


亮の呟きに、

あみが答える。


「配信があるから」


「稼げる人は、

 本当に

 稼げる」


夢と、

現実が

混ざった場所。


それが、

探索者ギルドだ。


受付に

並ぶ。


前にいるのは、

若い男女。


会話の内容は、

装備や

フォロワー数。


戦いが、

評価に

変換されている。


亮は、

静かに

違和感を飲み込んだ。


---


順番が来る。


受付の女性は、

淡々とした声で

告げた。


「探索者登録ですね」


端末を

操作しながら、

説明が続く。


ランク制度。


Eから始まり、

D、C、B、A。


Sは、

理論上の

存在。


「実力に応じて

 昇格します」


「虚偽申告は

 即資格停止」


亮は、

静かに

頷いた。


測定が、

始まる。


筋力。

反応速度。

魔力量。


数値が、

画面に

表示される。


亮は、

意識的に

力を抑えた。


結果は、

ごく平均的。


「……Dランク、

 相当ですね」


受付の女性は、

疑いもせず

告げる。


あみが、

小さく

息を吐いた。


「よかった」


亮も、

内心で

同意した。


目立たない。


それが、

今の最優先事項だ。


---


登録証が

手渡される。


薄いカード。


裏面には、

IDと

ランク。


「これで

 ダンジョンに

 入れます」


事務的な説明。


だが、

その一枚は、

命を賭ける

許可証でもある。


ギルドを出ると、

外の空気が

妙に軽く感じた。


「どう?」


あみが聞く。


「……戦場より、

 静かだ」


亮の答えに、

彼女は

苦笑した。


「兄さん、

 基準おかしい」


それでも、

彼女は

安心しているようだった。


弱い探索者として

生きる。


簡単ではない。


だが、

この世界では

それが

最も賢い。


亮は、

登録証を

握りしめる。


勇者は、

ここにはいない。


いるのは、

生活のために

潜る男だけだ。


その覚悟を、

胸に刻みながら。


葛城亮は、

探索者としての

第一歩を

踏み出した。


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