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第20話 帰還勇者の居場所


深層から

地上へ

戻った時、

空は

夕焼けに

染まっていた。


赤い

光が、

ダンジョン入口を

照らす。


葛城亮は、

その前で

立ち止まる。


戦いは、

終わった。


歪みは

消え、

魔物の

気配も

ない。


だが、

胸の奥に

残る

感覚が

あった。


---


ギルド前は、

人で

溢れていた。


探索者。

職員。

報道。


そして、

配信カメラ。


逃げ場は

ない。


だが、

亮は

逃げなかった。


静かに、

一歩

踏み出す。


その姿を

見て、

ざわめきが

広がる。


---


「彼が……」


「深層を

 止めた」


声は、

次第に

大きくなる。


英雄を

見る

視線。


期待と

恐れが

入り混じった

目。


亮は、

それを

正面から

受け止めた。


---


ギルドの

責任者が、

前に

出る。


「今回の

 歪みは、

 葛城亮の

 活躍により

 完全に

 沈静化した」


拍手が

起こる。


だが、

亮は

手を

上げた。


「一人じゃ

 ない」


短い

言葉。


「全員の

 連携が

 あった」


探索者たちが、

息を

呑む。


勇者は、

前に

立つ者だ。


だが、

独りで

立つ者では

ない。


---


その夜。


亮は、

自宅の

ベランダに

立っていた。


街の

灯り。


穏やかな

音。


平和だ。


異世界で

守ろうと

した

景色と、

どこか

似ている。


---


背後で、

扉が

開く。


「おかえり」


妹の

あみだった。


「……ただいま」


短い

会話。


それで

十分だった。


---


スマホが

鳴る。


通知。


小野裕子の

配信。


タイトル。


《帰還勇者の

 居場所》


亮は、

少し

だけ

笑った。


彼女なりの

答えなのだろう。


---


勇者の

居場所。


それは、

玉座では

ない。


称賛の

中心でも

ない。


必要と

される

場所に、

必要な

時に

立つ。


それだけだ。


---


異世界に

呼ばれ、

役目を

果たし、

現代に

帰った。


終わりだと

思っていた。


だが、

違った。


世界が

変われば、

勇者の

在り方も

変わる。


剣を

振るう

理由も、

形も。


---


亮は、

空を

見上げる。


星が

一つ、

瞬いた。


「……俺は、

 ここに

 いる」


それが、

答えだった。


帰還勇者の

居場所は、

過去でも

異世界でも

ない。


今、

生きている

この世界だ。


守る

べきものが

ある

限り。


戦う

理由が

生まれる

限り。


葛城亮は、

探索者として、

そして

勇者として、

この世界に

立ち続ける。


静かに。


だが、

確かに。


物語は、

ここで

一つの

幕を

下ろす。


――帰還勇者の

物語は、

現代という

舞台で、

確かに

続いていく。


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