第19話 深層歪みの攻略
深層入口は、
明らかに
異常だった。
空気が、
重い。
魔力が、
澱のように
滞留している。
照明が、
不規則に
明滅し、
壁面の
文様が
歪んで
見えた。
葛城亮は、
一歩
踏み込み、
眉を
ひそめる。
「……完全に
向こう側だな」
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ギルド編成の
攻略班。
Aランク
探索者が
三名。
Bランクが
五名。
そして、
中心に
立つ
葛城亮。
注目は、
否応なく
集まる。
だが、
誰も
軽口を
叩かない。
この場の
全員が、
理解していた。
失敗すれば、
生きて
戻れない。
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「歪みは、
最下層に
集中してる」
分析担当が
報告する。
「既存の
ダンジョン構造を
侵食している
可能性が
高い」
亮は、
静かに
頷いた。
説明は、
十分だ。
感覚が、
すでに
答えを
示している。
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進行開始。
魔物の
出現頻度が、
異常に
高い。
連携を
組んだ
探索者たちが
次々と
討伐する。
だが、
亮の
目は、
さらに
奥を
見ていた。
「……来る」
その
直後。
空間が、
軋む。
床が
波打ち、
黒い
亀裂が
走った。
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歪み。
異世界と
現代の
境界が
重なった
証。
そこから、
現れた
魔物は、
明らかに
異質だった。
形状が、
定まらない。
魔力の
密度が、
異常。
探索者の
一人が、
息を
呑む。
「……聞いて
ないぞ」
亮は、
前に
出た。
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「下がれ」
短い
指示。
全員が、
即座に
従う。
それだけの
信頼が、
すでに
生まれていた。
亮は、
剣を
抜く。
その瞬間、
歪みが
反応した。
まるで、
“勇者”を
認識した
かのように。
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衝突。
剣と
魔力が
ぶつかる。
衝撃で、
空間が
震える。
亮は、
歯を
食いしばる。
強い。
だが、
知っている。
異世界で
何度も
戦った
感触。
「……残滓か」
魔王の
欠片。
完全では
ないが、
放置すれば
災厄に
なる。
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亮は、
一段
深く
踏み込む。
隠していた
力を、
少しだけ
解放する。
勇者の
スキル。
《対界断》
――異なる
世界の
境界を
切り裂く
能力。
専門用語だが、
要するに
“歪みそのものを
斬る”
力だ。
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剣が、
光を
帯びる。
一閃。
歪みが、
悲鳴の
ような
音を
立てて
崩れる。
魔物が、
消滅。
空間が、
元の
形を
取り戻す。
静寂。
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攻略班の
誰もが、
言葉を
失っていた。
「……今の、
何だ」
亮は、
剣を
収める。
「後で
説明する」
今は、
時間が
ない。
歪みは、
一つでは
ない。
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最下層。
巨大な
歪みが、
待ち構えていた。
ダンジョンの
核そのものが、
侵食されている。
放置すれば、
このダンジョンは
崩壊し、
地上に
災厄を
撒き散らす。
亮は、
剣を
握り直す。
勇者としての
力。
探索者としての
仲間。
その両方を
背負い、
前に
進む。
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「ここで
終わらせる」
その言葉に、
迷いは
なかった。
深層歪み攻略は、
佳境へと
入る。
そして、
この戦いが、
世界に
知られる
ことになる。
帰還勇者が、
再び
深層で
剣を
振るった
その事実を。




