第18話 再び名を上げる覚悟
朝の
ニュースが、
街の
空気を
変えていた。
ダンジョン
異常発生。
複数地点で、
同時に
魔物の
活性化。
ギルドは、
緊急対応を
発表。
画面の
テロップが、
赤く
点滅する。
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葛城亮は、
その映像を
立ったまま
見ていた。
もう、
目を
逸らさない。
胸の
奥で、
静かに
決意が
固まっていく。
「……来たな」
呟きは、
確信に
近い。
異世界の
影が、
表に
出始めている。
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装備を
整える。
地味な
防具。
目立たない
剣。
だが、
一つだけ
違う。
亮の
立ち姿。
迷いが
消えていた。
隠すための
準備では
ない。
示すための
準備だ。
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探索者ギルド。
ロビーは、
混乱していた。
呼び出し。
指示。
走り回る
職員。
亮が
入ると、
何人かが
気づく。
視線が、
集まる。
もう、
避けない。
「俺も
出る」
短い
言葉。
だが、
その場の
空気が
変わった。
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責任者の
男が、
近づく。
「条件が
ある」
亮は、
頷く。
「名前を
出す」
一瞬、
ざわめき。
それが
意味する
ものを、
皆が
理解している。
無名では
いられない。
管理も、
干渉も、
増える。
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「構わない」
亮の
答えは、
迷いが
なかった。
責任者は、
少し
驚いた
顔を
する。
「……覚悟は
あるんだな」
「今さらだ」
亮は、
静かに
言う。
「隠れて
守れる
段階は
過ぎた」
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ギルドの
掲示板に、
新しい
情報が
表示される。
出動者一覧。
その中に、
一つの
名前が
追加された。
葛城 亮。
ランク表記は、
暫定A。
どよめきが
起こる。
「やっぱり……」
「本物だ」
噂が、
確信へと
変わる。
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小野裕子は、
その場に
いた。
名前を
見て、
目を
見開く。
そして、
小さく
笑った。
「……逃げ
ない人
だった」
配信者として
ではなく、
探索者として
尊敬の
こもった
表情。
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出動前。
亮は、
ギルド前の
階段で
立ち止まる。
空を
見上げる。
異世界で、
何度も
見た
出陣前の
空。
同じでは
ない。
だが、
感覚は
同じだ。
名を
上げる。
それは、
誇示では
ない。
責任を
背負う
という
宣言だ。
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「勇者だ」
誰かが
呟く。
亮は、
否定
しない。
肯定も
しない。
ただ、
前へ
進む。
剣を
取る。
守る
ために。
世界が
再び
名を
求めるなら、
応えるしか
ない。
無名では
救えない
ものが、
確かに
存在する
のだから。
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ダンジョンの
入口が、
開く。
光と
闇の
境界。
亮は、
一歩
踏み出した。
再び
名を
上げる
覚悟を
胸に。
それは、
終わりでは
ない。
本当の
戦いの
始まりを
告げる
一歩だった。




