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第16話 異世界の影


その違和感は、

突然

訪れた。


葛城亮は、

夜の

ダンジョン前広場を

歩いていた。


照明。

警備。

人の声。


すべてが

いつも通り。


それなのに、

胸の奥が

冷える。


理由は、

一つしか

なかった。


---


「……来てる」


誰に

聞かせるでもなく、

呟く。


異世界で

幾度も

感じた

感覚。


敵意では

ない。


だが、

明確な

“異質”。


現代の

ダンジョンには、

本来

存在しない

はずの

気配。


---


亮は、

足を

止め、

周囲を

観察する。


探索者。

見物人。

配信者。


どこにも

異常は

見えない。


だが、

確かに

感じる。


影が、

伸びている。


異世界の

影が。


---


その夜、

亮は

夢を

見た。


血。

炎。

崩れる

城壁。


魔王城。


終わった

はずの

場所。


玉座の

前で、

剣を

突き立てた

記憶。


確かな

終焉。


なのに――


---


「勇者よ」


声が

響く。


低く、

静かで、

確信に

満ちた

声。


亮は、

夢の中で

振り返る。


そこに

姿は

ない。


ただ、

闇が

揺れている。


「世界は

 分かたれた

 だけだ」


意味の

わからない

言葉。


だが、

本能が

警鐘を

鳴らす。


---


目を

覚ます。


額に

汗。


心臓が、

早鐘を

打っている。


夢だ。


そう

言い聞かせても、

違和感は

消えない。


亮は、

起き上がり、

カーテンを

開けた。


夜明け前の

街。


静かだ。


だが、

遠くの

ダンジョン方向に、

一瞬だけ

黒い

揺らぎを

見た。


---


翌日。


探索者ギルド。


掲示板が、

騒がしい。


「ダンジョン内で

 未知の

 魔力反応」


「既存の

 モンスターと

 一致せず」


報告書の

文言に、

亮の

視線が

止まる。


未知。


異世界で、

何度も

聞いた

言葉だ。


---


小野裕子が、

不安そうな

顔で

近づいてきた。


「最近、

 ダンジョン、

 変じゃ

 ないですか?」


彼女も

感じている。


亮は、

即答しなかった。


代わりに

言う。


「無理は

 するな」


裕子は、

少し

笑う。


「それ、

 前にも

 言いましたよね」


だが、

目は

真剣だ。


---


ギルド上層部も、

動き始めていた。


深層の

立ち入り

制限。


調査班の

派遣。


だが、

原因は

掴めていない。


現代の

知識では、

説明できない。


そのことを、

亮だけは

理解していた。


---


異世界は、

終わって

いない。


完全には。


魔王を

倒した。


だが、

世界の

歪みまでは

消せていない。


その歪みが、

現代の

ダンジョンと

共鳴している。


そんな

可能性が、

頭を

よぎる。


---


亮は、

拳を

握る。


隠したい。


静かに

生きたい。


だが、

影は

それを

許さない。


異世界の

因縁が、

現代に

伸びてきている。


勇者としての

役目は、

本当に

終わったのか。


答えは、

まだ

出ない。


だが、

一つだけ

確かなことが

ある。


この世界にも、

再び

剣を

振るう

理由が

生まれつつ

あるという

事実だった。


影は、

静かに、

しかし

確実に、

葛城亮の

背後へと

迫っていた。


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