第15話 ギルドの事情聴取
事情聴取室は、
思ったより
狭かった。
無機質な
机。
椅子が
三つ。
壁には、
探索者ギルドの
紋章。
葛城亮は、
中央の
椅子に
座っている。
向かいには、
男女二人の
職員。
一人は、
記録担当。
もう一人は、
責任者らしい
中年の男だ。
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「緊張
しなくて
いい」
男は、
柔らかい
声で
言う。
「あくまで、
確認だ」
亮は、
黙って
頷いた。
だが、
内心では
理解している。
これは、
ただの
確認では
ない。
線引きの
場だ。
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「まず」
男が
タブレットを
操作する。
「あなたは、
登録上、
Dランク探索者」
「はい」
「ですが、
先日の
戦闘映像は、
Bランク以上、
場合によっては
Aランク相当」
言葉を
区切り、
視線を
向ける。
「説明できますか?」
亮は、
少し
考えた。
「運が
良かった」
記録担当の
手が
止まる。
責任者は、
苦笑した。
「それで
通ると
思っている?」
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「事実です」
亮は、
淡々と
答える。
「相性と、
経験です」
嘘では
ない。
すべてを
語って
いないだけだ。
男は、
深く
息を
吐いた。
「……では
次」
画面が
切り替わる。
スキル欄。
ほとんどが、
非公開。
「隠蔽申請を
していますね」
「合法です」
亮は、
即答する。
制度上、
一定条件を
満たせば
可能だ。
だが、
それを
使う者は
少ない。
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「理由は?」
男の
声が、
少し
低くなる。
亮は、
視線を
上げた。
「静かに
暮らしたい」
正直な
答え。
だが、
責任者は
首を
横に
振る。
「今は、
無理だ」
断言。
「君は
もう
目立っている」
事実。
全国配信。
切り抜き。
憶測。
すべてが、
彼を
包囲している。
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「ギルドとしては」
男は、
言葉を
選ぶ。
「君を
危険視
したくは
ない」
「だが、
管理外も
困る」
要するに、
囲い込み。
亮は、
理解した。
異世界と
同じだ。
力は、
自由では
いられない。
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「強制は
しない」
男は、
続ける。
「だが、
協力は
求める」
条件が
提示される。
定期報告。
戦闘ログの
一部提出。
そして、
深層単独行動の
制限。
亮は、
黙ったまま
聞いていた。
すべて、
妥当。
すべて、
重い。
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「返事は
今でなくて
いい」
責任者が
言う。
「だが、
時間は
与えられない」
事実上の
猶予。
亮は、
立ち上がる。
「一つ
聞いて
いいですか」
男は、
頷いた。
「俺は、
敵ですか?」
少し
間が
空く。
責任者は、
はっきりと
答えた。
「今は、
違う」
だが、
続ける。
「今後は、
君次第だ」
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扉が
開く。
廊下の
光が、
差し込む。
亮は、
外に
出た。
自由は、
まだ
ある。
だが、
完全では
ない。
事情聴取は
終わった。
しかし、
管理と
監視の
始まりでも
あった。
葛城亮は、
静かに
歩き出す。
勇者では
なく、
探索者として。
だが、
世界は
もう、
彼を
放っては
おかない。
そのことを、
この部屋で
はっきりと
理解していた。




