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第13話 正体隠蔽の崩壊


異変は、

朝から

始まっていた。


葛城亮は、

いつも通り

目を覚まし、

顔を洗い、

簡素な

朝食を

取った。


だが、

胸の奥が

妙に

騒がしい。


理由は、

わかっている。


スマホを

開けば、

逃げ場は

ない。


---


通知。


未読、

三十七。


探索者ギルド。

メディア。

不明な

アカウント。


亮は、

一つ

深呼吸して、

画面を

閉じた。


「……まだだ」


自分に

言い聞かせる。


正体は、

隠せている。


そう

思いたかった。


---


だが、

外に

出た瞬間、

空気が

違った。


視線。


明らかに、

向けられている。


駅前。


人の

流れの

中で、

何人かが

足を

止める。


スマホを

構える。


囁き声。


「……似てない?」


亮は、

帽子を

深く

被った。


心臓が、

一拍

強く

打つ。


---


探索者ギルド

支部。


受付前が、

騒がしい。


「例の

 無名の

 人は?」


「今日、

 来るって

 噂だぞ」


亮は、

無言で

列に

並ぶ。


平静を

装う。


だが、

受付嬢の

視線が、

一瞬

止まった。


「……葛城さん」


声が、

少し

震えている。


「少々、

 こちらへ」


個室へ

案内される。


その時点で、

悟った。


――崩れ始めている。


---


個室。


扉が

閉まる。


中には、

二人の

職員。


一人は、

スーツ姿。


もう一人は、

戦闘職

上がりの

雰囲気。


「単刀直入に

 聞きます」


スーツの

男が

言う。


「昨夜の

 深層戦闘、

 あなたですね?」


亮は、

即答しない。


沈黙が、

数秒

続く。


それだけで、

答えに

なっていた。


---


「ステータスを

 確認させて

 ください」


亮は、

首を

振る。


「義務は

 ないはずです」


正論。


だが、

男は

引かない。


「任意です。

 ただし――」


視線が、

鋭くなる。


「拒否すれば、

 ギルドは

 あなたを

 危険因子と

 判断します」


脅し。


だが、

制度上、

間違ってはいない。


亮は、

拳を

握った。


異世界で

何度も

見た

構図。


力ある者は、

管理される。


---


その瞬間。


扉の

向こうから、

ざわめき。


声。


「配信者の

 小野裕子が

 来てます!」


空気が、

凍る。


スーツの

男が

舌打ちした。


「……最悪の

 タイミングだ」


亮の

脳裏に、

嫌な

予感が

走る。


---


ロビー。


カメラ。


人だかり。


小野裕子は、

真っ直ぐ

こちらを

見ていた。


迷いの

ない

目。


「助けてくれた

 人です」


その一言で、

空気が

爆発した。


フラッシュ。


歓声。


疑念が、

確信に

変わる。


亮は、

逃げなかった。


逃げ場は、

もう

ない。


帽子を

外す。


視線が、

集中する。


「……俺は」


言葉を

選ぶ。


だが、

選択肢は

残っていなかった。


正体隠蔽は、

崩壊した。


完全では

ない。


だが、

後戻りは

できない。


この瞬間から、

葛城亮は

無名では

いられなく

なった。


勇者である

ことを、

まだ

語らずとも。


世界が、

彼を

放っては

おかなく

なったのだから。


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