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12/20

第12話 全国配信


その映像は、

一晩で

全国に

広がった。


切り抜き。

拡散。

まとめ動画。


「深層で

 一人の男が

 すべてを

 ひっくり返した」


刺激的な

見出しが、

画面を

埋め尽くす。


葛城亮は、

自宅の

リビングで、

それを

眺めていた。


帽子。

影。

剣閃。


正体は、

ほとんど

映っていない。


だが、

動きだけで

十分だった。


「……やりすぎたか」


呟きは、

誰にも

届かない。


---


テレビの

ニュース番組。


「昨夜、

 Cランクダンジョン

 深層にて

 未確認の

 探索者が――」


映像が、

スローで

再生される。


専門家が、

コメントする。


「現行の

 ランク制度では

 説明できない

 戦闘能力です」


別の

コメンテーターが、

笑いながら

言う。


「新しい

 ヒーローの

 誕生じゃ

 ないですか?」


亮は、

テレビを

消した。


胸の奥が、

ざわつく。


英雄扱い。


それは、

最も

避けたかった。


---


スマホが、

震える。


通知。


ギルド公式。


「該当する

 探索者は

 申し出てください」


事実上の

呼び出し。


亮は、

画面を

伏せた。


名乗り出れば、

楽だ。


だが、

その先に

あるものは、

わかっている。


管理。

監視。

利用。


異世界で、

嫌というほど

味わった。


---


一方、

別の場所。


小野裕子は、

配信部屋で

椅子に

座っていた。


コメントが、

滝のように

流れる。


「助けてくれた人?」

「連絡取れた?」


彼女は、

深く

息を吸う。


「……名前は、

 知りません」


正直な

答え。


だが、

続けて

言った。


「でも、

 本物です」


その一言が、

さらに

拡散を

加速させた。


信頼ある

配信者の

言葉。


それは、

証明に

等しかった。


---


ギルド内部。


会議室。


重い

空気。


「放置は、

 できない」


幹部が

言う。


「だが、

 強制も

 リスクが

 高い」


映像が、

再生される。


剣閃。


一瞬で、

核を

破壊する

動き。


誰も、

口を

開けない。


「……勇者級だ」


誰かが

呟いた。


その言葉に、

全員が

沈黙する。


勇者。


本来、

存在しない

概念。


だが、

説明には

それしか

なかった。


---


夜。


亮は、

ベランダに

出る。


冷たい

風。


街の

灯りが、

遠くまで

続いている。


平和そうに

見える。


だが、

水面下では、

確実に

波紋が

広がっていた。


無名で

いることは、

もう

許されない。


だが、

名を

明かすことも、

したくない。


その狭間で、

葛城亮は

静かに

拳を

握った。


全国配信は、

終わらない。


噂も、

疑念も、

期待も。


すべてが、

彼に

向かって

流れ始めている。


勇者ではなく、

探索者として

生きたい

男の願いとは

裏腹に。


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