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第10話 イレギュラー魔物出現


警報音が、

ギルド中央支部に

鳴り響いた。


短く、

鋭い音。


非常事態を

示すものだ。


モニターが、

一斉に

切り替わる。


赤色。


警告表示。


「三層深部、

 未確認反応」


「分類、

 イレギュラー」


職員たちが、

慌ただしく

動き出す。


葛城亮は、

人混みの

端に立ち、

画面を

見つめていた。


先ほど、

自分が

斬ったはずの

魔物。


だが、

それで

終わりでは

なかった。


---


映像には、

歪んだ

通路。


壁が、

脈打つように

動いている。


ダンジョン

そのものが、

異常を

起こしていた。


「……増殖型か」


亮は、

小さく

呟く。


異世界で、

何度も

見た現象。


核が、

残っている。


表に出てきた

魔物は、

ただの

末端だ。


問題は、

奥。


小野裕子は、

医務スペースの

椅子に

座っていた。


毛布を

肩に掛けられ、

画面を

見ている。


自分が

いた場所。


今も、

誰かが

戦っている。


「……私のせい?」


誰に

向けたとも

わからない

呟き。


亮は、

彼女の

背後に

立った。


「違う」


短く、

断言する。


---


「イレギュラーは、

 偶然じゃない」


亮の

声は

低い。


「ダンジョンが、

 深層と

 繋がりすぎてる」


専門用語は、

使わない。


だが、

言葉の重みは、

十分だった。


裕子は、

振り返る。


「……止められる?」


亮は、

一瞬

迷った。


勇者なら、

答えは

一つだ。


だが、

今の自分は、

ただの

探索者。


「……条件次第だ」


正直な

答え。


モニターに、

新たな映像。


別の

探索者パーティが、

交戦している。


動きが、

悪い。


連携も、

乱れている。


魔物は、

数を

増やしていた。


「撤退命令、

 出てないの?」


裕子の

声が

強くなる。


職員の

一人が、

歯噛みする。


「通信が、

 不安定で……」


ダンジョンの

干渉。


これも、

典型的な

症状だ。


---


亮は、

深く

息を吐いた。


見ているだけで

済ませれば、

安全だ。


だが、

中の人間は、

死ぬ。


異世界でも、

何度も

経験した選択。


「……行く」


その一言で、

場の空気が

変わる。


「え?」


職員が

振り向く。


「登録は

 Dランクですよ?」


亮は、

静かに

カードを

見せた。


「だから、

 無理は

 しない」


嘘ではない。


彼なりの

基準で、

無理は

しない。


裕子が、

立ち上がる。


「私も――」


「駄目だ」


即答。


「これは、

 仕事じゃない」


「生き残るための

 判断だ」


彼女は、

唇を

噛んだ。


---


再び、

ダンジョン内部。


空気は、

さらに

重い。


魔力が、

濃すぎる。


亮は、

剣を

握り直す。


抑えていた

力を、

ほんの

一段階だけ

解放した。


速さ。


視界が、

澄む。


魔物が、

襲いかかる。


一体。

二体。


斬る。


斬る。


無駄の

ない動き。


だが、

奥から

新たな

反応。


「……本体だな」


壁が、

割れる。


現れたのは、

巨大な

影。


核を

抱えた

異形。


これが、

今回の

イレギュラー。


亮は、

剣を

構えた。


ここで

止めなければ、

被害は

広がる。


そして――


この戦いも、

どこかで

配信されている。


それを

理解しながら、

葛城亮は

踏み込んだ。


勇者ではない。


だが、

誰かが

やらねばならない。


その役目が、

再び

自分に

巡ってきたことを、

受け入れながら。


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