一
ほどなくしてカクラはこのエルモ迷宮の深部に到達した。
エルモ迷宮など通常の迷宮の階層というものは一つ一つの洞窟もどきのところから下にいく階段があり、そこから次の階層に行くというものになっている。
階段は位置が決まっているが、初見で行っては1日かけても見つからないような広さが一階層ごとに広がっているため、商店・露天などで売っている地図を買うのがセオリーとなっている。
広さエルモ迷宮は上層からさっきアルエルフォンと対峙した低層では、
洞窟に近いような岩で囲まれた空間になっている。
しかし、山奥地にあるような洞窟などとは違い、10mほどの高さがあり、それの数倍の横幅があり、奥にも横にも果てしなく広がっている。
そのため、激しい戦闘も十分に繰り広げることが可能である。
また、翼竜などの巨体で飛行系魔物が出現できるのもそのためだ。
それに対して深部は、、、
といっても特に変化は無い。
あるとしたらまだ開拓がなかなか進んでいないのか、光源が少なく薄暗いようなところだ。
ここを探索して地図に書き起こしたりするため、光源を発現させるのは基本であるため実行する
魔導発動【光霊】
その名のとおり光を発生させる火属性初級魔法だ。
光属性もあるがそれではないので注意してもらいたい。
カクラは【光霊】を発生させると頭の上付近に漂わせ、
冒険者ギルドから配布された白紙の紙と筆を持ち、奥へと進む。
深部は薄暗く気味が悪いが、上の階層と構造は変わらず、
依頼はただの探索で厄介な魔物がいるわけではなさそうだ。
ただ地図に書き起こすには複雑な地形(迷路のよう複数の道でなっている)になっており、
気付いたら知らないところだったという可能性も大きい。
これを見ると、空間把握能力をそれなりに持っていたり、面倒ごとを嫌わない人に対しての依頼のようなのでまあまあな高給が貰えるわけが分かった。
その後は自分の残りの体力を気にしながらも隅まで探索し、
下へ続く階層も見つけた。
そしてその周囲も調査し、今日は帰宅することにした。