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死神ですが、世のため人のために殺人事件を解決することにしました。  作者: 色
第一章 死神ですが、警官です。
4/9

アリバイですが、覆されました。

解決!


「それで、刑事さんこんなところに私を連れてきてどうするんです」

「あんたのアリバイが崩れたんだ、それを証明してやる」


伊藤に任意同行を依頼し、取調室へと連れてきた。

相も変わらず、左手には黄金の時計。

背後にはにらみつける田中の姿。

鋭い目つきで今にも刺し殺してしまいそうだ。

俺はこいつが犯人であると確信していた。


「私にはアリバイがあるじゃないですか」

「ああ、確かに大きなアリバイがある。

 でもあんた言ったよな?

 あんたの家にはサウナがあるって」

「!?」


驚く伊藤を横目に事件を淡々と解説していく。

伊藤の件や、過去の時系列なんかを考え事件を整理する。

一つ一つ、事件の真相を深く考えていく。


伊藤はSNS上で田中の投稿を見つけた。

その時計が自分の探していたものと酷似していたため、取引を持ち掛けた。

その時計があまりにもほしかったため、値段を交渉した。

あまりに、応じないため、現金での一括払いを条件にした。


5時過ぎに自分の家に、田中を招待した。

時計の値段交渉にて金額を上げられ、激昂した伊藤は、

そのまま田中を殺害。

死体をいったん隠すために、サウナ室へと遺体を置き、

7時に食事をしに家をでた。


この時点で、人を一人殺しておいて、正気とは思えないが、

金のためなら、犯罪も気にしない。

こいつはそんな男なのだろう。


死亡推定時刻を検温することで判別していたため、

体温の下降具合が変わった影響で死亡時刻が変化した。

こいつがそれを知っていたのかいなかったのか。


知っていたとしたら、家を出たのはアリバイ工作のためだろう。

なかなか頭の切れる男だ。

前々からこの手で事件を起こしていた可能性も考えられる。


家に帰ってきた伊藤は夜11時ごろ、

家に置いていた遺体を外へ持ち出し、公園へ遺棄した。

近隣の住民から目撃された12時頃の家へ帰る姿は、

おそらく、死体を遺棄した後の姿だろう。



「刑事さんそれは推測に過ぎないのでは」

「ああ、今はまだな。

 探れば証拠はいろいろ出てくるだろう。

 あそこは高級住宅街だ。

 当然強盗対策で防犯カメラを設置している家も多くあるだろう。

 目撃証言だって捜せば出てくるかもな。

 夜10時ごろ、大きなバッグを持ったあんたが公園の周りで目撃された、って

 証言がな」


伊藤はひどく怯えたようにそれ以上口を開かなくなった。

背後の扉が開き複数の警察官が取り調べ室へ入ってくる。


「どうやら、証拠が見つかったらしい」


渡された資料を机へとたたきつける。

夜食事ののち、帰宅する伊藤の姿と。

帰宅後すぐに大きなカバンを持って、あたりを警戒している様子で、

家を飛びだし公園へと向かう伊藤の姿。


「お手柄だな、嗣神。

 山崎はどうやら以前から出張と嘘ついて夜の街へと足を運んでいたらしい。」

「ま、そんなことだろうと思ったよ、一服してくる」

「はー、できる男は違うねぇ」


外へ出て喫煙所へと向かう。


「ありがとうございます、これで成仏できます」

「よかったよ、あ、タバコ吸っていいか」

「幽霊はそんなの気にしませんよ」


そういって田中さんはうっすらと影が薄くなっていく。

まるで頭皮のように。


「ちょっと変なこと考えないでくださいよ!」

消えかかっていた肉体は少しくっきりし始めた。


「どうした?」

「あの、最後にお願いがあるんですが・・・」

「いうだけ言ってみろ」


そういうと田中は恥ずかしそうにもじもじし始める。

おっさんがもじもじしている姿は世の中で一番見たくない。

見ているだけで心がもやもやする。


「あの、パンツ見てきていいd」

「死神パンチ」

「ああぁ」


霧のように淡くなり、雲のように宙へと舞った。

吐いたたばこの煙と混ざり、天へと昇っていく。


「成仏しろよ、おっさん」


俺は嗣神蛇那。

警察官である。

そして、死者の見える死神である。


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