女忍者(かのじょ)の性癖(ひみつ)~くのいち
くのいち
それは謎に包まれた神秘の集団
中でも最強の忍者と言われる風魔のくのいち
その実力、今だけ9800円で!!
今なら下取りで5000円引き、よん、せん、はっぴゃく、ええええん!!
「なろうラジオ大賞2」参加作品
ってか、なんで女忍者のあたしに世界を救えなんて話がくるんだぃ?
聖女や女勇者だってんなら解るよ、解る。
いくら風魔最後の当主とまで言われる親父殿の一人娘でも「小説家になろう」でお馴染みのチート能力もなく何が出来るんだよ!!
確かに、今時の若いやつらなんか10人でもあの世逝き(だと思う、うん)に出来るだけ修行したさ。でもねぇ、異世界のバケモンだよ?炎吐くドラゴンだの大魔王だの相手に出来る訳ね~~っての!!
あたしは意味不明の異世界に無理矢理召喚されて化け物どもを前に毒づく。
ありゃー、このあたしも18の乙女のままあの世逝きになるのかねぇ?
せめてイケメンの勇者様でも居て呉れりゃよかったんだけど!
◇
あたしは風魔くのいちの修行を終えて、「小説家になろう」で開催されている「なろうラジオ大賞2」の短篇を読んでこのレベルなら大賞を総なめに出来るって思いこみ執筆を開始した。
表題を打ち込んで本編に書き込んだ瞬間に目の前が暗くなり眩暈がする。やべぇ、何かやられたと警戒すると透明なガラスみたいな檻に入れられている。
目の前には学校で習う古代日本の十二単?そんな服装の白粉女が扇で顔半分を隠している。
「そなたには妾の世界を大魔王から救うてもらう」
あたしには一言も言わせずそう宣言するとストロボのように強烈な光を放ち、白粉女の言う異世界へ強制転移ってのをさせられる。
◇
で、最初に戻る。
なんでいきなり大魔王戦?ドラゴン二匹が前衛で後ろに大魔王らしき奴がいる。
いくら出来の悪い昔のクソゲーでもいきなり最終ボス戦とかないよな?
忍者ってのは闘いより情報持ち帰るのがホントの仕事なのよ!首切り落とすとか何処の洋ゲーの影響だよ!!
何とか幻惑する忍術を駆使し、牽制に何故か手に持っていた鉛筆をドラゴン二匹に投擲。
げっ、マジ?
牽制のはずの投げた鉛筆がビル位デカいドラゴンの頭を吹き飛ばす。
もしかして、あたしチート能力付加?じりっじりっ、すり足で大魔王との間合いを測り射程距離に捉えんとする。
何かやる!その気配を感じ、風魔くのいち秘技で一気にケリを付ける!!
風魔くのいち不動縛り!!
動きを止めた大魔王を捉え致命の一撃を!!
「負けた、お前の配下となろう」
鼻血を鼻栓で抑え、ニヤニヤした大魔王がキモい。
「いやあ、ええもん見せてもろたわwwwww」
いやああああああああ、風魔不動縛りは術であって、あたしが露出狂なんじゃないって、ホント!!
くのいち
人間には九つの穴がある。
眼が二つ。耳が二つ。鼻が二つ。口が一つ。大小の下の穴が二つ。これで九つ。
だが、女にはもう一つ。
だから「九の一」
いやマジで!