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第三部 前編①  嘘と嘘

 



 夏芽からストーカー被害の報告を受けた俺は

朝の悔しい妄想の後、この4時限目で色々作戦を考えていた。

 

  

 乙女のやつまたデコピンくらわせて…もうこの展開読者も飽きてるよ!!


 相変わらず自分の額は赤く腫れ上がっていたが、気のせいかだんだんとその痛みは軽くなっているような気がしていた。


 とはいえ、先程の小休憩に田中に(またか!!)と馬鹿にされていた俺はあとで絶対に仕返しようと決めつつ、今の古典の授業時間を使って夏芽のストーカー対策を考えている。


 

 夏休みまで残された時間はあと2週間ほどしか無い。それまでになんとか犯人を見つけないと行けないのだけど。いい案はいまだに思いつけていない。


 ただ1番足りないものは時間そのもの。それは間違いなかった。


 まず特定するにしても、犯人になりうる可能性の人がまだ多すぎる。情報が少ない故に1人づつ調査するには無限に時間が必要だ。


 しかも俺にも部活がある。夏芽と出来れば毎日一緒に帰って、夏芽を護りつつ、犯人の情報を掴みたいけど……どうしても帰れない日も出てきてしまう。


 そして何よりの問題は…田中にどう説明するか。いきなり一緒に帰れなくなっただけでなく、よりにもよって帰る方向の違う夏芽と帰っていることがバレたら、裏切り者どころか最悪の場合…絶交なんてこともあり得るかもしれない。


 それは俺もハーレム撲滅計画が出来なくなるし、絶対に避けたい。まぁあと…一応親友だし?まぁそこの関係も保ちたいし??


 しかし、考えれば考えるほど拉致が開かなくなって来たので、俺はノートを机から取り出した。茶色の小さな筆箱からお気に入りの赤ペンを手に持つ。



 "サラサラ"と名の付いたペンを片手に



 さて、もう一度順を追って考えよう。


 

  俺はもう一度考え直すことにした。

 作戦その1 夏芽と一緒に帰ること。


 とにかく、夏芽の安全を護ることと犯人の特徴を掴むこと。これが最重要なことに間違いはないはず。

自分から動くよりも犯人の動きを待った方が何倍も効率が良い。


 作戦その2  夏芽の周りの人への聴き込み調査。


 今は犯人が全く分からないので夏芽の周りの人の動向を伺いつつ、集められるだけの情報は確保するべき。


 この2つが俺の頭に浮かんだ。

俺はノートにこの二つを箇条書きで記した。


 そしてここから重要なのはこの作戦に対する弊害と対策。


 作戦その1に対してはそれぞれの部活があり、毎日は一緒に帰れない。でもこれは対策がかなり簡単でその日は夏芽に自転車で登校してもらえばいい話。犯人はいきなり自転車で来ることは想像してないだろうし、万が一の時も歩きの犯人に捕らえられる心配もないだろう。でも、アイツの自転車って確か……。まぁ後でそれは確かめよう。

 問題はさっきも言ったように田中への言い訳…正直ここが1番難しい。


 頭を掻きながら何かないかと考えているけど…


 浮かんでくるもの特になく…刻一刻と時間が過ぎるのみだった。どうしよう。単純な理由を考えても田中の鋭さなら必ず墓穴を掘って、いつか疑われてしまう未来しか見えていなかった。


 あぁ…一度空を見ますか…


 今日の空は少し雲が多く、午後から雨が降るかもしれない空だった。


 そんなときたまたま窓の外にいつものコンビニがあるのが見えた。


 (…………)


 「これだ!!」


 (ガタンッ)


 閃いた俺は静かな教室の中、勢いよく席を立ってしまった。


 「高木〜うるさいぞ〜。」


 「す、すいません。」


 茶髪のボサボサロングヘアーの女性の先生はダルそうな感じで注意し、教室には少し笑いが起こる。


 俺は静かに椅子を立たせ、ペコリとお辞儀をして席に座った。


 そうだ!夏芽の方向にもコンビニが一軒あったはず!夏休み中はそこで働くから研修期間として、2週間お試しで働くことになったということにしよう!



 俺は高校生になってからバイトを始めようとしていたが部活やら何やらでめんどくさくなりなかなか始められていなかった。しかしこれは割と普通のことで、バイトをするには学校側から許可が必要で、一年生でもうバイトを始めている人は毎年あまりいないので気にするなと担任が言っていた。


 自分の方角にもコンビニは一軒あるけど、親にバレたくないという理由で夏芽の方角で働くことにしよう。よしよし割といい感じ!


 嬉しくなり机の下で小さくガッツポーズをした。


 さて次は聴き込み調査についてだけど、夏芽の周り…というと…


 バドミントン部の人、クラスの人、そして図書委員の人。考えられるとしたらこれくらいかな。

仮にも犯人はまだ男とは限らない。聴く人は慎重に信頼できる人を選ぶことにした。

    

   よし一応、形はまとまった。


 ノートに粗方作戦をまとめた俺は一応再確認をした。


  うん。これなら行ける。  では作戦決行!



 

 次の昼休み、まずは田中にこれからの放課後について話すことにした。


 「春、ちょっと話あるんだけどさ。」


 授業が終わり、昼ごはんを一緒に食べる誘うついでに席に座っている田中に話しかけた。


 「ん?どうした?」


 「実は俺最近お金なくってさ、夏休みからバイトしようと思ってて。」


 「おう!いいじゃん!ついに駿もバイトかぁ〜」


 「まぁ、まぁね」


 「俺もそろそろバイトしないとな…ところでどこでバイトすんの??」


 「コ、コンビニだよ!学校近くの……」


 嘘はついていない。


 「おお!いいなコンビニ!廃棄処分のご飯とかタダで貰えるんだろ?」


 ヤバイ!田中のペースに飲まれる前に手を打たないと!


「それが…今週からいきなり研修があって、夏休みまで一緒に帰れそうに無いんだよね…ごめん!」


 ヤケクソながら田中にバレまいと慎重に伺ったが、返答は意外なものだった。


 「マジか!?いや、実は俺もさ…美術部のコンクールが近くて、1人1つ油絵を提出しなきゃいけないらくて夏休みまで缶詰状態なのよ…」


 嘘!?じゃああんなに理由考えてたのに意味なかったってことか…。


 しかし1番驚異としてた存在が意外にもチープだったので正直ホッとしていた。


 「そっか…じゃあ夏休みまでは一緒に帰れそうに無いね。でも奇跡的に時間があえばまた一緒に帰ろうよ!」


 「あぁ!もちろん!」



 俺はあくまで理由がありしょうがなく帰れなくなったことを強調することで、変な疑問を抱かせないようにさせた。


 「じゃあ、学食行こう!」


 1番心配していた弊害は割と簡単に乗り越え、少し安心しながら焼肉定食を口にいっぱいに頬張った。


-------------


 今日の授業を全て終わらせ、A組はそれぞれの会話を弾ませながら帰宅や、部活などの準備をしている。


 午後の授業の小休憩で夏芽と話したけど、今日は部活があるらしい。実は俺も今日は部活があったのでちょうどよかった。


 しかしそれに加えて、明日からはそういう日には自転車で登校すること。そして今日の夜に一緒に帰れる日程を確認すること。も伝えた。



 「よし、じゃあ行きますか。」


 部活へ行く準備が整った俺は荷物を机の上に置いたまま、ある人に話しかけた。


 今日は乙女が出席簿にラノベを挟んでたので遅れることができる。なので30分くらい聴き込み調査をすることにした。


 「ねぇ、オタりん」



 「駿どの!!なんでござるか?」


 俺が話しかけたのは 天王寺てんのうじ天馬てんま。俺たちと同じA組の人で一緒にアニメを語り合うオタク仲間の通称オタりん。


 「実は聞きたいことがあって…」


 「もしや!?こないだの 俺ハイル アニメ三期決定についてですか!?あれはさぞかし熱いでごさる!!!」


 「それな!!まさか完結までやってくれるなんて…イロワスちゃんをまた動きあり声ありで見れるなんて……って違うわ!!」


 あぶない。危うく話持っていかれるところだった。


 「ち、違うでござるか!?……もしかして、リ、セロリの二期の方でござるか?」


「いや、実は図書委員についてなんだけど…」


 オタりんは夏芽と同じA組の図書委員の1人。俺らの学校は委員会をクラスから2人、それぞれ男女1人ずつ指定する。


 オタりんは男性だけど、ストーカーはしないと信用できる。なぜなら…


 「も、もしかして夏芽殿のはなしでご、ござるか!?

  

  実はオタりんも夏芽のことが大好きなのだ。好きなら余計怪しいと思うかもしれないけど、オタりんは嫁やヒロインをこよなく愛し。愛したものの嫌がることは絶対にしない。そういう武士の心を持っていると言っていて、この間家に遊びに行った時は確かに推しメンの抱き枕とか、水着のタペストリーとかで色々エッチなことしている痕跡は見えなかった。 

 

 まぁある意味ヤバいやつかもしれないけど、そこは信じてる。



 「夏芽の話じゃないよ!いや、まぁ最近図書委員ってどんな感じの活動してるのかな〜って。ほら!夏休みとかラノベ借りに行こうかなって!」


 やばい…夏芽というワードが出てきて動揺してしまい理由付けが下手くそになってしまった。これじゃあ流石に怪しまれる…。


 

 「そういうことでござるか!夏芽殿を狙ってるのであれば幾ら戦友とは言え、容赦せずぶっ◯してるところだったよ!」


 ふぅ〜危ない危ない。そんな怖いこと笑顔で言わないで欲しいな!しかも、キャラ忘れてる!


 

「あはは……で、どうなのかな?」



 「う〜ん。活動と言われましても…我々図書委員は2週間に1回、クラスの2人で図書室の管理を昼休みと放課後にするでござる。委員会活動報告会議は月に1度、第一火曜日にあるのは知っておられるでござるな?」



 「つまり…図書委員会全員で会うのは月に1度。

図書室の仕事はクラスの男女2人でその日の仕事をするってこと?」


 「その通りでござる。駿殿は理解が早いでござるな。うちの図書室はあまり人気なくてそこまで人が必要ないでござる。」


 なるほど。そうなると図書委員がストーカーという可能性は低い気がする。図書委員全員で集まる機会は月に1度、あんなに消極的な夏芽のことだし話し合いで目立つことはまず無いだろう。まぁストーカーが居ないという可能性は0ではないけど。


 「ありがとうオタりん。夏休みは最高の読書習慣になりそうだよ。」


 「ん?そういえば夏休みと図書委員の活動何の関係が……?」


 「ははっ!じゃあまたね!」


 俺は気付かれる前にさっそうとその場から身を引いた。それにしても頼りになるなぁ。流石武士。


 


 そんな会話をしていると、今日はもう時間がないことに気づき部活に向かうことにした。

  

   

 

初めましてゼンサイです。

この度は本作をご覧頂き誠にありがとうございます。

よろしければここが面白かった。ここがつまらなかったなど感想を頂けると嬉しいです。


引き続き、本作をよろしくお願いします。


この度当初目標にしていたpv1000を超えることが出来ました!

これも全て皆様のおかげです!!本当にありがとうございます!これからも拙い文章ですが精一杯楽しく書きますので、評価、感想などの応援よろしくお願いします!では本文をお楽しみください(^ ^)


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