第一部 前編 復讐と決意
こんにちは!僕の名前は高木駿、どこにでもいる2平凡な21歳の大学生です。実は全てを亡き者とし今からでも世界征服できるチート能力を持ってるとか、可愛い子ばっかり居る異世界に転生してハーレムぶひぶひ生活を堪能するとかしたことありません。
むしろしたいです。させてください。
ですが、そんな平凡な僕とは不釣り合いなとってもとっぅぅても美人の彼女がいます!
なので周りの人からの
「え?となりにいるの彼氏?」
「え…ATM…?」というような
嫉妬や嫌味の声に僕はもう瀕死状態、ライフもありません。(ニコ)
え?自慢キモい?どうせ単純ヒロイン?実はブス?嘘つき童貞くそ野郎?
いやいや、貴方も毒舌だな……。しかもまだ会ったばっかりで…僕も一応人だからね?感情ありますよ?泣きますよ?
こんなにディスってくる貴方には全く分からないかもしれませんがここまでの道のりはめちゃくちゃ大変だったんですよ!!
あっ!…そうだ。
すいませんが……少しだけお時間宜しいですかね?
え?時間がない?これから経済の授業?
いや、なに言ってるんですか?
次は昼休みでしょ??
あ、こら!ちょっと待ちなさい!!事実を証明するために少し話させてください!このまま逃しはしませんよ!
はぁ…よーし捕まえた。
貴方割と速いですよ…まさか大学で鬼ごっこするとは…
もう逃しはしませんよ!
ほら!そこに椅子がありますので座って!!
(ゴホン)
よし、ではお話ししますね。僕の涙なしには語れない華やかな高校3年間のお話を……
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高1の6月
「駿!駿!遅刻するよ!緑のベーコンと赤色の目玉焼きが出来たわよ!」
午前7時、自室で気持ちよく寝ていると一階から母の声が聞こえてきた。毎朝聞こえてくる色とりどりの朝ごはんは清々しい朝をなきものと変える。
うぅ……今日も失敗か。
物を焼く時、うっかり焼き過ぎて焦げたとしても色は黒になるはず。これは絶対的事実であり覆ることはない。しかしそんな常識が彼女には通用しなかった。毎日一生懸命に料理を作ってくれる母さんはいつもの如く食材を鮮やかに染め上げる。
芸術爆発し過ぎてるよマミー。
今年の4月から父親が福島県に単身赴任をしてから今まで作ったことがない母親が代わりに料理している。しかし、この芸術作品を1度も美味しいと思った試しはない。それとともに父さんの料理がどれだけ美味しかったのかが、失ったあとに普通という事がどれほど重要なのか今でははっきりと分かる。
(父さんのカレーが今では恋しい…)
新しい食生活にそればかり思っている毎日だったけど、こんな得体の知れないものを毎日食わされているにも関わらず、なんとかここまで耐えてきていることは自分の消化器官の能力を疑っていた。
眠気に襲われながらも、充電してあるスマホを手に取り朝の目には少し眩し過ぎる画面に目をやる。
そういえば、今日は月曜日か…。
週末というのはなんであんなにもすぐに終わってしまうのだろうか。寝坊して、アニメ見て、牛のようにぐうたら過ごせる1日は本当に夢のようだ。昨日もお昼にお目覚めして、一日中溜め撮りのアニメをポテチを食いながら見ていた。
しかし楽しい時間はあっという間に過ぎるものであり、また一週間が始まろうとしている。はぁ…あのイチャイチャラブコメをまた5日間も見させられると思うと心底嫌気がさす。
数分くらいたっただろうか。ベットから出たくなくなった俺は未だにスマホを片手にTwitterやLINEをチェックしながらゴロゴロしていた。
数件溜まっていたラインをチェックすると、内容は相変わらずの相談だっだ。本当にいつになったら付き合うのか…。
(ドタ、ドタ、ドタ、ドタ)
ん?
(ガチャッ!! バタン!!!)
「起きろ!ぼけぇぇえ!!いつまでも布団から出てこないと警察にてめぇの部屋の酸素濃度少なくしてもらうぞ!」
ゴロゴロしている自分を叱りに母さんが起こしに来た。それにしても彼女は本当に人なのだろうかとたまに思う。朝起きたばかりという理由もあってか、彼女の言ってる意味が微塵もわからなかった。
警察って酸素濃度とか少なく出来るの?どういうこと?
「ほら!早く起きなさい!美味しい朝食が待ってるから!!」
「変色した目玉焼き?」
「なにいってるのよ!卵は元々赤色でしょ?」
聞いたことないんだけど…
「何よその目…。今、今日の夜は成功させるから!そもそも料理は栄養が一番大事でしょ?良薬は口に苦しっていうでしょ?」
「母さんのもはや良薬じゃなくて汚ぶ…」
(ドスッ!!)
母さんの右拳が俺の部屋の壁にぶっさ刺さった。
「食べるの?食べないの?」(ニコッ)
顔は笑顔なのにその下はもう鬼そのものであった。
「食べます!!」(ニコッ)
俺は拒絶反応している体を無理やり起こし、顔を洗った後、恐怖の食卓(鬼ヶ島※家来なし)に向かった…。
*
とても美味しかった朝ごはんを済ませ、いつもの通学路を1人歩いていた。
6月のこのちょうどいい気温とたまに吹く心地良い風は澄んだ心を癒してくれる。
素晴らしい空に、素晴らしい曲がり角。
あとは素晴らしい女の子がパン咥えて走ってくれば……。
そんな現実には起こり得ないラブコメ展開を妄想するのが朝のちょっとした楽しみである。
そういえば、自己紹介がまだだったね。
俺の名前は高木 駿。凡凡高校に通う平凡な高校一年生。黒髪の身長170センチの顔は中の中…
実は、そんな平凡な俺にも絶対に曲げられない考えがある。
それは…『ハーレム系男子の鈍感さマジ○ね』
ということ。
皆さんは今まで読んだことがあるだろうか。ハーレム漫画、ハーレム小説、Hikaru源氏という作品の数々を。
別に作品が嫌いということじゃない。登場人物たちにこんなにも感情移入させられてるということは、それだけ作り込みが凄いってことだし。キャラは可愛いし、推しのメイン回はとてもドキドキしてしまう!
なのにハーレム主人公ときたら、なんであんなにも気づかないのだろう?
ヒロインはあんなに努力して、遠回しかもしれないけどちゃんと気持ちを伝えてるのに。
キスしていい? を
キムチしていい?
どうやったら間違えるのだろうか…逆に教えてほしいくらいだ。
これに関しては共感してくれる人が多数だと思っている。現にハーレム主人公・やれやれ主人公など数々のワードがネットに漂っている。
たかが二次元と言われるかもしれない。でも!されど二次元。現実に起こり得ないから作品の中で自分の青春を存分に謳歌する。それがアニメや漫画ラノベの素晴らしさだ!
そしてここは現実、それは間違いない。しかし恐ろしいことにそれは存在していた。高校生活始まってまだ2ヶ月…でもいたんだ。ハーレム気分の超絶ウハウハしてる奴が…
熱心に解説している俺は近くの公園の時計が目に付いた。
あれ…もうこんな時間!?
今は8時25分うん。 それで学校開始が30分…
ふーん。やるじゃん
俺は急いで駆け出す。
「おりゃぁぁぁあ!!!!!」
その後、誰に話しかけてるのかも分からないのに熱く語った俺はショートホームルームで担任に血祭りにあげられたのだった…。
初めましてゼンサイです。
この度は本作をご覧頂き誠にありがとうございました!
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それでは引き続き、本作をよろしくお願いします!