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極道生徒は友達が欲しい  作者: はやぶさ
9/11

松岡親子in新城一家

今日は後2話くらい投稿するつもりです。よろしくお願いします。

松岡ジムに入会した次の日、猛はジムの会長、隆夫が家に挨拶に来たいと言っているので、今ジムに迎えに行っている最中だ。


(何が何だかわからないまま会長が家に来ることになっちゃったな)


猛がサンドバックを壊してしまってから、どうして会長が直々に家に来ることになったのか、猛はよくわかってない。サンドバックの弁償のことかなと猛は予想している


(ただでさえみんなには心配かけてるのに、迷惑もかけちゃうなんて、俺最悪だな...おっと、このままじゃ遅れる)


憂鬱になった猛は、遅刻しないように急いだ。






松岡ジムの前で隆夫は、迎えに来る猛を待っている。隆夫はやくざの跡取り息子と思っている猛が迎えに来るということで、黒塗りのリムジンに乗って猛が現れるのではないかと思っている。一般人の猛にはあり得ない登場の仕方を考えつつ、隆夫は目下、娘の美波と言い争っている。


「だから、どうしてお前までついてくるんだ!」


「息子さんを、組を継がせずに、うちで育てさせてくださいって、とんでもないこと頼みに行くんだよ!?そんな大事な交渉の時に、お父さんがやくざの組長に、何か失礼な物言いしないか心配だからでしょうが!」


「ちょっとは親父を信用しろや!それにやくざの屋敷にお前連れてって、お前に目を着けられてそのまま連れ去られちゃたまらねえ!」


美波は父の隆夫から見ても美人だ。誰が見ても美人だと評する顔に、綺麗なロングの黒髪がエキゾチックな雰囲気をプラスして、とても色っぽい。よくぞ母親に似せて生まれさせてくれた!と、隆夫は神様に感謝している。


「こんな時に何を馬鹿なこと言ってんのよ!万が一にも、そんなあり得ないことならないように穏便に交渉してよね」


しかし、美波はあまりそのことを自覚していない。というか娘の心配をする隆夫が、悪い男が娘に近づかないように、小さいころから女子学校に通わせたり、目を光らせ続けているからだ。そんな隆夫の思惑で男性経験が皆無の美波は自分の容姿にあまり自信を持てていないようだ。そんな美波へ絶対についてくるなと語気を荒げる隆夫。それに比例して絶対についていくと譲らない美波。街中でどんどんヒートアップする親娘の言い合い。聞こえてくる「やくざの組長」「連れ去られる」という不穏極まりないワードに、二人の近くを通りすがる人はドン引きしている。


そんな争い続ける2人を見つけた猛は、一体どうしたんだと思いながら隆夫に声をかけた。


「...会長」


「うおお!?なんだ新城か、びっくりさせんなよ。」


後ろから声を掛けられて振り向くと、相変わらず無表情で威圧感のある猛の顔があり驚く隆夫。


「...お?今日はリムジンじゃねえのか?まあいいか。さ、もう行くから美波、お前は帰れ」


「何言われてもついてくからもう諦めて。さ、新城くん、行きましょう」


そう言って猛を促す美波。


「はぁ...とにかく、お前は黙って余計なことすんじゃねえぞ」


「はいはい」


そうして猛の家へ出発した3人。なお、猛は何か言い争いになるほど、あのサンドバックは貴重な物だったのか、と落ち込んでいる。






これからやくざの本拠地に乗り込むつもりの松岡親子は緊張して黙っていて、猛も全く話さないので黙々と猛の家に向かう一行。今は住宅街を歩いている。


(あれ?この辺りのことは大体分かってるはずなんだけど、やくざの屋敷があるなんて聞いたことないな...)


ジムから意外と近くにある住宅街に来た美波は、自分の地元にやくざの屋敷があるなんて知らないぞと戸惑っている。美波が困惑していると、猛は足を止めた。


「ここです」


そういって早速猛が鍵を開けて、家に入るよう2人を促すのを見て、隆夫と美波の困惑は強まる。その家は、他の家よりは大きいとは言える大きさだったが、それだけの家。割と広めの庭があるのが特徴だろうか。美波の住んでる家となんら変わりはない。やくざ特有の、バカでかい土地を塀で囲った、立派な庭付き、立派な門付きの日本家屋を美波らは予想していたが、見事に裏切られた。


(...あんな風格だけど組の末端ぐらいだったのかな)


常に無表情な猛の醸し出す迫力ある威圧感に、てっきり組長の息子クラスだと思っていた美波たちだった。しかしどうやら違ったようで、猛は組の末端の子供のようだと予想した。


しかし、その予想はまたしても裏切られる。


「わざわざ今日はご足労頂いてすいません。猛の父です」


「猛の母です。さ、どうぞおあがりになってください」


家の中からでてきたのは、猛とは似つかない柔らかい雰囲気の、何だか人の好さそうな中年くらいの夫婦。


これは一体どういうことだと2人は思いつつも、


「「あ、どうもすいません、お邪魔します」」


と言って、新城家に足を踏み入れた。


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