入学式 1
初めまして、はやぶさです。拙い作品にならないように頑張りますのでよろしくお願いします!
改稿をしてより面白くできたと思います!
申し訳ないのですが、一度読んでくださった方も、もう一度読んで頂けると嬉しいです。
ご指摘、ご要望、アドバイスなどいただけるととても嬉しいです。
時刻8:50分を少し過ぎたころ。温暖化の影響からか既にハゲあがりかけている桜の並木道を歩いている大柄な男がいる。
男の名前は新城猛。この春から、というか今日入学式を迎える高校1年生である。
猛は今少し焦っている。9:00に学校に集合の入学式にあわせて学校に向かっているのに、猛の周りには猛と同じ制服を着た人がひとりもいない。
(ここがまだ学校から離れたとこならそんなこともあるんだろうな...でも学校すぐそこのはずなんだけど...)
猛がそんなことを考えた時にはもう、入学式とデカい文字で書かれた看板の立てられた校門が目に見えた。
(日付を間違えたわけでもなさそうだなぁ...もしかして遅刻?...)
入学式という高校生活の始まりを告げる大事な式に遅刻なんかしてしまったら、先生に目を付けられるかもしれない。同級生にだっていい目では見られないだろう。そう考えてしっかり前日に組んだタイムスケジュールどうりに朝から行動したのにミスをしたかもと、猛は嫌な予感がした。
少し早歩きになって校門を抜けたすぐそこに、在校生だろうか?受付のような場所に座っている生徒が2人いる。猛は話しかけるか一瞬迷ったが、すぐに話しかけて入学式について確認するべきだと思いなおした。
小さいころから大の人見知りで、知らない人に話しかけるのはとても苦手なのが猛だ。そのせいで小さいころから碌に友達が作れなかった。しかし、その人見知りもこの新しい環境で克服して友達を作ろうと、春休みの間、家族に協力してもらいつつ、猛は努力を重ねてきたのだ。
こんなところでつまずいていられないと、意を決して受付でなにやら片づけを始めだした男子生徒の方に猛は声をかけることにする。声をかけようとすると、表情が強張って行くことを猛は自覚しながら、勇気を出して話しかけた。
「...あの」
「あれ?どうかしひぃっ!?}
「.....」
そこで猛は詰まってしまった。声をかけることができたものの、次に聞こうと思ったことが緊張して話せない。
緊張で頭が真っ白な猛には、目の前の男子生徒が、新入生に返すのには少しおかしいリアクションをしていることに気づかない。隣の女子生徒が息をのんで固まってしまっていることにも気づけない。
「あ、あの、どうかしましたか?」
(...ハッ!?)
目の前の男子生徒が声をかけてくれたことで猛に意識が戻った。
「...入学式」
「にゅ、入学式?...あ、あなた新入生ですか?」
猛は黙って頷いた。
「入学式は9:00からなので、新入生は教室に8:40分に集合だったんですが...」
「...」
男子生徒は、入学式としか言えなかった猛に、聞きたかったことを教えてくれたみたいだ。どうやら猛は式の開始時間を集合時間と間違えたみたいだった。猛が腕時計で時間を確認するともう9:00を過ぎている。猛は男子生徒に頭を下げてお礼をし、ここからかろうじて屋根が見える体育館を見つけて、足早に向かった。
(くっそぉ、やらかした!)
知らない人に声をかけることのできた満足感を味わう暇もなく、猛は自分のミスに苛立った。すぐに体育館の入り口に着いたので、猛は一度深呼吸して落ち着く。
(よし、中に入ったらすぐに座ろう。)
入学式に遅刻する奴なんて滅多にいないだろう。生徒の席で空いている席がきっと自分の席だろうとあたりをつけた猛は最後にもう一度深呼吸をして、体育館の扉を開けた。
扉を開けた猛の目に飛び込んできたのは静寂の中壇上に立った先生がスピーチをしているところだった。おそらく校長先生だろうか。そんな時に猛が体育館に入ったものだから、扉の音がやけに響いたのだろう。館内の人すべての目が入り口に立つ猛に向いた。もちろん猛はそれに気づいて、顔が思わず強張った。
(うわ!俺めちゃくちゃ悪目立ちしてる!どうしよう恥ずかし過ぎる!)
猛は館内を見渡すと生徒が固まっている辺りに空席を1つ、すぐに見つけることができた。自分の身長の高さがこんな時にも役立つとは予想外だっただろう。
みんなに視線を浴びていることを自覚しながら猛は席に向かい、腰を下ろした。そして中断されていたスピーチが再開された。
(入学式に遅刻する奴なんて絶対に第一印象良くないよな...最悪のスタートだ)
せっかく高校生活は人見知りを直して、友達を作るために良いスタートを切ろうと思ってたのに、これからどう挽回しようか。そんなことを猛が考えている間に入学式は終わった。
猛が足早に体育館に向かっていった後の受付では、猛と話した男子生徒とその隣にいた女子生徒が、受付を片付けながら猛について話をしていた。
「あー、ほんとに怖かったな。さっきの新入生」
これは猛と話した男子生徒だ。普段は年下に対しては気さくに話しかける彼も猛には思わず敬語で喋ってしまっていた。
「うん。あれで高校1年生なんだね。あんな人初めて見た」
こっちは固まってしまっていた女子生徒だ。恐怖のあまり猛を前にして息をするのを忘れてしまっていた。
「あれはもはやDQNじゃなくて極道だな」
「やくざの家系なのかな?絶対に目を付けられないようにしておかないと」
猛は自分の知らない間に自身がやくざの極道認定されていることなど夢にも見ていない。