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ーーーside ギルガメシューーー



「‥…シュ、‥‥メシュ、ギルガメシュ!」

「んん…‥、もう少し寝かせてくれ」

「分かりました…てっ、寝ないでくださいよ!!」

 何なんだ、さっきから誰だ。

 ん?と言うか何で私の部屋に人がいるんだ、私は独り暮らしだぞ。

 いったい誰なんだ…

 と言うか聞き覚えがよくある声だな。まるで私の可愛らしくて愛らしい、ゲームでの愛しの妻…‥てっ、まさか!

「エンキドゥ!!!」

「きゃっ、何ですか?」

 直接耳を刺激する声、ゲームで聞く感じではなく実際の声。

「エンキドゥ…なのか?」

 彼女の肩を掴むと人の感触が確りと伝わり、彼女が実際に存在しているが解る。

 ゲームでは消して伝わるはずの無い、人肌の温度も、髪の滑らかさも、ほっぺの柔らかさも……

「てっ、何私の髪や頬を起きてそうそういじっているんですか?」

「あっ、いや、す、すまん。つい」

「まったく、寝ぼけているのですか」

 ああ、怒った顔もまた可愛い。じゃなくて…

「エンキドゥよ、ここは何処で、今どういう状況だ?」

 私達は今、ゲームでも現実でも見たこと無い湖の畔にいた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 整理するとこうだ。

 ボスモンスターである《世界蛇ヨルムンガルド》を倒して街に戻ろうとすると、目の前に黒い球体が現れ強い光を放ち、私達は気絶した。

 先にエンキドゥが目覚め私を起こし、先ほどの様なことになった。

 くそっ!!何故、何故私は先に起きなかった!先に起きたらエンキドゥの寝顔が見れたのに!!

「私の寝顔が見たかったとか考えてませんか」

「っ!何故解った!?」

「そりゃ、解りますよ。何年貴女の妻をしていると思っているのですか」

「ふっ、それもそうだな」

 私はその言葉を聞いて安心した。エンキドゥが現実の人になったから色々触って嫌われたのかと思った。

 ゲームを始めたあの日からずっと他の人と関わることはあまり無かったから、人付き合いは苦手だ。

 ちなみに私とエンキドゥが夫婦になったのは、現実で11年前だが、ゲーム内は時間は現実の10倍の経過速度なので、110年前に夫婦なったということだ。

 そう考えると私の歳も200歳以上だから不思議な感覚だ。

「取り敢えず空中に上がって、地形と人里の方角を確認しますか?」

「ああ、そうだな」

 同意するとエンキドゥはスキル《ESP》の空中浮遊を使った。

 この時私は気付いた。エンキドゥは今スカートだ。このまま上がらなければ中が見えるのでは無いかと。

「ギルガメシュ、私の下着を見ようとせず早く来て下さいよ」

「何故解る!?もしかして、念話(テレパシー)か?」

「貴女の考えることは大体解りますよ」

 どうやら私の考えはエンキドゥにお見通しのようだ。

 私も《ESP》を使い空中へ上がり、愛しの我が妻(エンキドゥ)の元へと向かっていった。

 あぁ、下から見る姿も良い。


ーーーside outーーー



ーーーside エンキドゥーーー



 まったくもお、ギルガメシュは綺麗でかっこよくて強くて優しいですけど、時々エッチで困りますね。

 私とギルガメシュが出会ったのはちょうど110年前で、ギルガメシュが初めての神殺しに挑んだときで、私は神に仕えていて主の処に行かすまいと敵対していた。

 だけど私はあの人の純心で積極的な言葉に見事に打ち落とされました。

 初対面でいきなり「私はお前に惚れた、結婚してくれ」なんて言われて、相手が同じ女性なのに顔が赤くなり後の戦いに集中できませんよ。

 しかも断っても、「頼む!!本当に好きなのだ!」と言われ、ますます顔が赤くなり戦いどころじゃなくなり、あの人の心が本当かどうか知りたくて、普段使わないスキル《神眼》を使い心を覗いた。

 するとその人の心な中は私を好きという気持ちで一杯になっていた。私とデートしたり、私と食事したいとか、私と…‥そ、その夜を共にしたいとか、エッチな事も少しだけ考えていた。

 この時私は号泣した。

 私はその時まで神の使い捨ての盾としか必要とされず、私の事をここまでは好きでいる事に涙した。

 その時から私はこの人に付いていこうと心に決め、今までの自分との決別のために神に反逆し殺した。

 それから私は『エンキドゥ』と名付けられた。理由は「自分の唯一の存在でいてほしいから」私は、『王の唯一の存在(エンキドゥ)』と名付けられた。

 だから私は時々エッチでもこの人、愛しの旦那様(ギルガメシュ)のことを愛している。

 女性なのに旦那様は変かな?

「どうしたエンキドゥ、黙り込んだりして」

「いえ、何でもありません」

 私は千、いや万や億の年月が過ぎてもこの人への愛の火は消えること無く、何時までも灯し続けるでしょうね。

 何時までも愛してますよ、ギルガメシュ。

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