邂逅と開戦
ブックマーク10越えました!皆様本当にありがとうございます!
これからも暇潰し程度にでも読んでいただけたらと思います!
ご要望などございましたら検討いたしますので感想にお願いいたします。
ハンスを送り出した後、バトラーは怪物と相対していた。牽制になるのかは疑問だが、油断なく自らの得物を構えている。
(…チッ!プレッシャーがハンパねぇ。ハンスがいねぇ今、アイツの攻撃を真面にくらったら一発で意識持ってかれちまう。)
「…まったくよぉ。つくづくついてねぇな。」
思わずそう毒突きながらも、牽制と警戒は欠かさない。
怪物から一瞬でも意識を逸らすと、一撃のもとに葬り去られるだろう。
怪物の方は、余裕綽々とした態度で、その瞳には愉悦の色が浮かんでいる。
自分の遊び道具にするのであろう事は明らかだ。
だが、怪物も飽きてきたのか、一際大きな咆哮をあげながらバトラーに迫ってくる。
「…クソがぁ!!」
裂帛の気合いを発しながら、斧で怪物に切り掛かる。怪物に激しい恐怖を感じながらも、斧が描く軌跡は、鋭く、鮮やかに、胸元に叩き込まれる。
並みのモンスターであったなら、或いは、普通の変異種であれば致命傷になる一撃だった。
だがしかし。怪物には通じなかった。
硬質な音を立てて斧は弾かれ、その反動でガラ空きの胴を棍棒で殴り飛ばされる。
イヤな音を立てながら、5メートルほど吹き飛ばされる。
ようやく止まった時には、口元から血を流していた。症状からして、内臓に深いダメージを負っているのだろう。
怪物は止めを刺すべく、ゆっくりと着実に距離を詰める。
間合いに達し、棍棒を振り被り、振り下ろされる瞬間。
––––––怪物は後ろに跳躍する。
それまで怪物の顔があった場所を、高速な何かが通り過ぎていく。
怪物の顔が初めて驚きに歪んだ。
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悠は咆哮を聞くと、その方角へ向け疾走する。
今では重力魔法を行使しなくとも、素のステータスで疾く走れるようになっていた。
今のステータスはこんな感じだ。
[ステータス]
名前 一条 悠
種族 人族
年齢 17
レベル10
HP 243/318
MP281/412
AT 318+28
DF298
AGI 353
INT342
[スキル]
特殊系スキル
・成長速度 特大UP
・スキル熟練度 特大UP
・スキル取得条件 解放
・全属性適合
・鑑定
・飛び道具命中率 大UP
・魔力操作 ←NEW
魔法スキル
・重力魔法Lv4
戦闘スキル
魔剣術Lv1 ←NEW
[装備]
鋼のロングソード : AT+28
[加護]
転生神ジュリアの加護
●魔力操作・・身体にある魔力を、意識して操作する事が出来る様になる。また、魔力を収束させて威力をあげる事も可能。
●魔剣術・・剣タイプの武器に魔力を流して扱う剣術。遥か昔の剣士が生み出したと言われている。また、流す魔力により特殊効果を付与した斬撃を放てる。
(もう、今なら大抵のモンスターには、負けはしないだろうな。魔力操作と魔剣術も身に付けたし、森の中のモンスターなら安全だろう)
まずは魔剣術。
これはただ剣に魔力を流しただけ。と思っているかもしれないが、上に書いている様に流す魔力により追加効果もある。
例えば、火の魔力を流すと切りつけた所が燃える。風の魔力ならば切り傷をズタズタに切り裂く。など効果は様々だ。
俺の場合は、純粋に『属性を付与していない』魔力を流して、剣自体の強化を図っている。
強化前と後では雲泥の差が生まれてくる。
続いて魔力操作だ。
魔力操作は、魔剣術を使う際に非常に役に立つ。
魔力操作を持ってなかった時は、魔力を流しながら全力で戦闘する事は出来なかったが、魔力操作を覚えてからは全力で戦闘をしても、余裕が出来るようになった。
また、魔法を使う時でも魔力を収束させてから放つと威力が上がるようになった。
疾走しながら、聴くことに意識を傾ける。
近くで男の声が聞こえたので、そこに向かっていく。
到着すると、強大な闘気を感じて、身を潜める。
闘気の発生源はゴブリンらしきモンスターのようだ。
ゴブリンらしさは完全に消えていて、亜人の戦士だと言われても信じられそうな強靭な肉体だ。
(……身長って俺の1、5倍くらいあるよな。まあ。一先ず鑑定してみようか。)
[ステータス]
個体名 ゴブリンロード
ランクC
HP666/222+444
MP13
AT555
DF318
AGI248
INT11+333
[スキル]
耐性系スキル
・炎耐性
・氷耐性
戦闘系スキル
・棍棒術Lv3
[状態]
・下級悪魔憑依
・魔人化
●炎耐性・・火系統の斬撃、魔法に強くなる。
●氷耐性・・氷結系統の斬撃、魔法に強くなる。
●棍棒術・・棍棒を使った格闘術の一種。棍棒を使っていると動きが良くなる。
●下級悪魔憑依・・下級悪魔が取り憑いている状態。悪魔が取り憑くと、取り憑いた悪魔の格によって、違いはあるが、ステータスに補正が掛かる。
●魔人化・・悪魔に身体を乗っ取られかけている状態。理性は殆ど残っていない。
(……おいおい。これは俺でも危ないステータスだぞ。あの男大丈夫か。てか悪魔って魔界の住人だよな。なぜこの世界にいる。)
女神に、悪態を吐きたい気持ちを抑え、魔法の準備を始める。
魔力が悠の右手に少しずつ収束されていく。
小石を握りしめ、ゴブリンロードの隙を窺う。暫くして、男が吹き飛ばさて致命傷を負い、ゴブリンロードが止めを刺すべく近づいていく。
悠は、ギリギリまで男に注意を向け、小石を思い切り投げつけた。
あれからレベルが上がり、今ではライフルより速い弾丸が、ゴブリンロードの頭目掛け発射された。
だが、此方に気付いたのか後方に跳躍し避けられてしまう。
(……まじか。今の避けるとか反則級だろ。普通に戦うしかないって事か。まあ、試したい事があるからあの男で試してみよう。上手くいけば、助けれる可能性もある。)
悠は男に近付きながら、ポーションの栓を引き抜く。
そして、……それを自分に振りかけた。