ギルドと情報収集
昨日は疲れてしまっていて書けませんでした。これからも読んでいただいている皆さまに感謝しながら頑張って投稿していきますのでよろしくお願いします!
(まずは冒険者ギルドに行って、素材を売るとしようか。スライムゼリー?みたいな物体と、スマイルストーンの魔石を売れば、今夜の宿代くらいにはなるだろう。ならなきゃ、もう一度スライム狩りだな。)
もうすでに、今夜の宿の事を考えながら村の中を歩いていく。村の景観は、悠が見慣れた近代的な物ではなく、世界史等で見た中世ヨーロッパの街並みに近いと思える。
冒険者ギルドは、二階建ての木造建築物だった。何となく『汗と血と涙』が似合いそうな外観である。
依頼を達成して帰還してきたのだろうか、ギルドのまわりには筋骨隆々の皮鎧を着た戦士の様な男や、ローブを着て杖を抱えている魔法使いらしき女もいる。
少し緊張してきた。
(戦士や、魔法使いとか、RPGの世界にでも紛れ込んだ気分だよ。ま、俺も今じゃ魔法使いだろうけど。)
心の中で自嘲しつつ、ギルドに入ると左手には、冒険者らしき輩が溜まり場にしている酒場がある。右手には、ギルドのカウンターがある。
思ったよりも、ギルドにいる冒険者の数は多くなかった。今いるだけでは、ざっと10人弱だ。
悠はそのままカウンターに向かう。途中じろじろと見られたが黒眼黒髪が珍しいのだろうと思うことにした。
「こんにちは。冒険者ギルドにようこそ!私は受付担当の、セナと申します。」
素晴らしい営業スマイルだ。少しクセのある茶髪に、大きくクリッとした大きな瞳。少しソバカスもあるが、それがまた素朴な可愛らしさを演出している。
「旅の途中でモンスターを倒して素材が採れたので売却したいのですが買取していただけますか?」
「買取することは出来ますが、冒険者登録をすれば買取金額1割アップになりますが……どういたしますか?」
(今は少しでも、金が欲しいから1割アップはとても魅力的にみえる。だが、昔から美味しい話には、何か裏があるというからな。)
「登録することで、何かデメリットはありますか?」
「いえ、特にございません。ですが、F〜Sまでのランクに応じて依頼を受けるという義務がございます。」
「詳しく義務について教えていただけますか?」
「はい。Fランクは一ヶ月に10回、Eランクは一ヶ月に5回、Dランクは二ヶ月に5回の頻度で、依頼を受けていただきます。Cランク以上は、先ほど申しました義務はございませんが、モンスターの大発生、その他非常時に、強制召集していただく事があります。……あっ、でもほとんど大発生もありませんし、無いのと同じ様な物と思っていただいて大丈夫ですよ」
Fランクスタートだと思うから、約3日に一度依頼を受けて達成すれば良いわけか。このくらいなら出来そうだし登録しようか。
「分かりやすい説明ありがとうございます。登録しようと思います!」
「はい。承りました!それでは、冒険者カードを作成しますので、冒険者カードに魔力を込めて下さい」
言われるがままに、魔法を使う要領で魔力を込めていく。魔法が発動した時のように、身体から何かが抜けていくのを感じる。
この何かが魔力なのだろう。
「これで、冒険者登録は完了いたしました。先ほど込めていただいた魔力がありますので、冒険者カードを偽造出来なくしてあります。それと魔力を込めた事により、少々の事では破損いたしません。また、紛失した際、再発行するには罰金がありますので、ご了承ください。また、討伐したモンスターの種類や、数を記載する機能も付いていますので、上手く活用してくださいね!」
(魔力を込めると強度が上がるって事は、魔法の道具になるって事かな。てか、冒険者カード優秀すぎるよ…)
「素材の買取は、隣のカウンターで行っていますのでそちらでお願いします。」
「分かりました。お世話になりました!また依頼を受ける時にはよろしくお願いします。」
隣のカウンターに行くと、少し血生臭い香りがする。モンスターの買取で匂いが移ったのだろうか。
カウンターには、年の頃40程に見えるノースリーブを着た、ガタイの良い男がいた。
この人が買取担当なのだろう。
「素材の買取をお願いしたいのですが。」
「おう、分かったぜ!冒険者カードはあるか?」
「あります。よろしくお願いします!」
「査定するから、素材を並べてくれ!」
スライムゼリーを数個と、スマイルストーンの魔石を取り出し、カウンターに並べていく。
「スライムゼリー五つとEランクの魔石一つで、銀貨四枚と大銅貨五枚だが、1割アップで銀貨四枚と、大銅貨九枚と、銅貨五枚になるが……これで大丈夫か?」
「大丈夫です。それでお願いします!」
「ちょっと待ってな」
男はそう言うと、麻の様な素材で作られた袋に、金を詰めてくれている。
今の内に、この世界について少し聞いてみることにした。
「あの…少しいいですか?」
「ん?どうした?買取金額がやっぱり不満になったのか?」
「いえ、そうではないです。俺は旅をしているんですが、記憶喪失らしくて名前や魔法の使い方以外はほとんど覚えていないんです。だから、この世界について色々と教わりたくて。」
本当は記憶喪失ではないが、異世界から来た、と言っても信じてはもらえないだろうから、無難な設定を言っておいた。
「…そうか。大変だったろ?俺の名前はモルガンって呼んでくれや。この村で分からない事があったら何でも聞いてくれ。で、何から知りたい?」
「それではまず、この国の貨幣について教えていただけますか?」
「分かったぜ!まずこの国には、銅貨、銀貨、金貨があって、銅貨百枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚ってゆう風になってる。ここまではいいか?」
(銅貨100枚=銀貨1枚、銀貨100枚=金貨1枚ってことだよな。よし、理解できた。)
「大丈夫です!続けてください!」
「よし、他にも、銅貨十枚で大銅貨一枚になるぜ!もちろん、銀貨十枚でも大銀貨一枚になるから、よぉぉーく覚えとけよ!」
「分かりました!ありがとうございます。あと、地図等は売っていないでしょうか?」
この世界において、地図がどのような重要度があるか分からないが、文明レベルを見た感じでは重要度が高そうだ。
「すまねぇな、地図は重要機密って事でこの国では売ってねぇんだ!その代わりに大まかな事で良いなら、俺でいいなら教えるぜ?」
「では、お願いします!」
モルガンさんから教えてもらった事をまとめると、この世界は大まかに三つの勢力に分かれているらしい。
●一つ目は人族が支配する大陸の東側地域。
一番肥沃な大地が広がっていて、ここには帝国、王国、法国があるらしい。
今俺がいる場所が、ヴァーリア王国という国らしい。三国の中では、一番領地が広く、高ランクのダンジョンを多く所有しているらしい。
最近、帝国が力を付けてきていて、戦争があると噂されている。この村からも、国軍に加わらなければならないのだそうだ。村にあまり活気がなかったのはそのせいだろう。
●二つ目は獣人や亜人が暮らしている中央地域。
ここは東側地域ほど、肥沃な大地ではないが、普通に暮らしていけるくらいは、潤っているらしい。
亜人には、数は少ないがエルフや、竜人など、希少な種族がいるそうだ。…ぜひエルフには一度会ってみたい。
ここでは国は少なく、獣王国ガレオンが唯一国と呼べる規模だそうだ。他は、集落や街を作って住んでいるらしい。
●三つ目は魔族が暮らしている西側地域だ。
此処が、一番荒れた大地で、一番狭い土地の様だ。
魔族は、人族よりも長命で、長く生きた個体ほど強力だそうだ。
また、魔族と一括りに呼んでいても、吸血鬼や、鬼族など、様々な種族が跋扈しているようだ。
国は無くて、種族ごとに集落を作り、住んでいると伝わっているらしい。
だが、魔王が誕生すると、魔王を中心に魔族が纏まって、途轍もなく強力になるそうだ。
三百年前に、魔王が誕生したが勇者(帝国の初代皇帝)が、三人の仲間と共に討伐したそうだ。それからは魔族は全体的に比較的大人しくしている。
「本当に、何から何までありがとうございました!最後に、モルガンさんのオススメする宿があれば、教えて頂けますか?」
「んー、宿なら、『湖の木こり亭』がオススメだぜ!何せ、安いし、飯も美味いからな!…最後に、何もない所だが、寛いでいってくれよ!」
礼を言ってギルドを出る。その時に、金の入った袋を持って行くのは忘れない。
次に、モルガンさんに教えてもらった『湖の木こり亭』に向かって歩いていく。
(明日から、レベル上げと、金を稼ぎながら、魔法やスキルについて情報収集か…忙しくなりそうだ……。)
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