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日常

作者: ピクルス

ジリリリ・・・ 

 目覚ましの音が静かな部屋で鳴り響いた。部屋の主である私は目覚ましを止めその時間を見た。時刻は6時ちょうど、起きなければと体を伸ばしたときに下から、

「早く起きなさ~い。起きないと目玉焼きよ~。」

と母の声。一般的な目玉焼きは、卵を焼いた食べ物だが、私の家では文字通りの意味で目を焼かれるような痛みを感じると同時に命の危機を感じると言う代物である。母はどこかずれている人だ。趣味が「食べ物を武器にすること」である。催促する声がするのですぐに下へと降りていった。そこには笑顔の母と失神している父がいた・・・ 思わず、

「なにがあったの?」

母は笑顔で、

「お父さんが昨日酔っ払って暴れた罰よ。家のローンがあるのに・・・」

と答えた。父は普段は温厚だが酔うとなぜか物を壊すのだ。父がこうなっているのは日常茶飯事だから、そこまで気にしなかった。

「今日のご飯は何?」

と尋ねると、

「オムレツよ」

と言い見せてきたものはオムレツとはこんなに赤いものだったろうか。毒々しく真っ赤なそれを見た。私は命の危機を感じ母に、

「オムレツ?」

「あら、うっかりしてたわ!これはお父さんのお弁当だったわ。はいこっちよ!」 

と言って私に差し出したのは普通のオムレツで味もおいしかった。ふと時計を見ればもうそろそろ学校に行く時間だ。身支度を軽く整えた、私は挨拶をして家を出た。

 学校に着くと教室には何人かがもう来ていた。窓際の一番奥の席に座った私はいつものようにクラスの様子を眺めていた。他愛の無い談笑や宿題を写させてもらっている人もいる。途中友人が来て挨拶をし少し会話をする。私はこの風景を見ることが好きだ。私にとって唯一の癒しだ。別に家族が嫌いなわけではないが、両親が個性的過ぎてあまり落ち着くことができず。つっこんでばっかりで疲れるからだ。気づけば、始業のチャイムが鳴り今日の学校生活が始まった。  いつも通り何事も無く一日が過ぎ、私は友人と談笑しながら帰路に着く。そして家に着き戸を開けるとそこにはハイテンションな母がいた・・お酒のにおいが少ししてこの匂いは料理酒だ。恐らく夕飯を作っている時にうっかり飲んでしまったのだろうと現実逃避をしていたら、

「おひゃえりなさ~い。お帰りのハグは?」

と言いながら飛び掛って来る母を見なかったことにして、部屋に立てこもった。

「平穏が欲しい。」

と思わず呟いてしまったが仕方ないよね。

 こうして「私」の一日が終わる。

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