6.聖戦(けんか)終了!
「フレイムショット!」
「うわちちち!」
「ご主人!今水魔法で……」
いきなり撃ってきたよあの人、一切躊躇が無いとか…人だよ?魔物じゃないのよ?
まぁ怒らせたのは俺なんだけどね……でも助かった、服が一部黒焦げだもんナビいなかったら火だるまになってた自信あるね。
「やめてください!この人たちは関係ないんです!」
「奴隷の分際で生意気な口を聞くな!フレイム
ウィップ!」
「バッ!」
前に出ちゃったけど……どうしよ、避けれなっ
「いった!痛い痛い痛い!燃えてる燃えてるって!ナビ!水魔法水魔法!」
「ザバーン!」
かっこよく庇ったのにあんまりかっこよくない
割とマジで痛かった……服もびしょ濡れだし。
「いててて……」
「まだ生きてたか?しぶといヤツだ」
完全に殺す気じゃん……慈悲とかないの?懺悔とか…
もういいよ!家の恨みもあるし!
「ファイヤァボォルゥ!」
手のひらから巨大な火の玉が勢いよく発射され
一直線に向かっていく。
あれ?前よりデカくない?気のせいかな?気のせいだよね。
「初級魔法なんかで……ぐわっ!」
ん?むっちゃ吹っ飛んだんだけど……あれ?
火が木に燃え移って……
これやっちゃった感じ?どんどん火が移っていくんだけど。
「ご主人……どうしますこれ」
ナビは若干焦げ気絶した男を指差して言った。
まぁ放置でいいんじゃないかな?殺すとかマジ無理だし。
「とりあえずほっといていんじゃないかな?」
「分かりました」
「あの……すいません私のせいで……私のせいで
怪我を……」
「ん?大丈夫だって!君が気にすることないよ
でも奴隷ってどうにかできないの?」
そしたら俺の家で……家ないじゃんか……
どうしよう、金も無いし飯も無ければ寝る場所まで。
これは本格的にやばくね?死ぬの俺?餓死?
「頭を抱えてどうしたんですか?ご主人」
「家無いからどうしようかなって……」
「ごめんなさい……私のせいで」
「ご ごめん!そういうつもりじゃ!」
「でも……」
どうしたもんか……家も無いけどこの子の事もある
し。
まずこの子の事から考えるか……家も無いだろうし。
「……うっ」
「あっ……起きた」
「なんなんだ!貴様は!」
「善良な一般市民ですけど?」
「じゃあなんであんな威力なんだ!」
指差した方向を見ると火が木に燃え移り、ちょっとした火災になっていた。
うん。燃えてるね。すごいようん。
「とりあえずこの女の敵みたいなこの男を火の中に放り込みますか?」
「ナビ……ちょっと落ち着いて頼むから……そこの木に縛り付けといて」
「はい!」
「どうしよどうしよ燃えてるよ燃えてるよ」
ナビは怖いし……この子は走り回ってブツブツ言ってるし。
火を消す事から始めるか。
水魔法覚えろ〜覚えろ〜
「どうしました?ご主人」
「火を水魔法で消せないかなって」
「頑張ってください!ご主人なら出来ます!」
期待してくれるのは嬉しいけどさ……ナビは、全属性使えるから手伝って欲しかったな。
頑張るけどね?応援されたし……応援されなくてもやらなきゃ燃え広がるし。
ん〜火の魔法がファイヤボールだから水魔法は
ウォーターボールでいいんじゃないかな?
同系統でありそうだし。
「ウォォタァボォルゥ!」
バランスボールくらいの水の塊が放たれて火を少しだけ消火する。
足りないな……どんどん広がっていくし……
あっ!確か酸素無くせば消えたっけ?なんかで聞いた事があるような……
とりあえずやってみっか!
包むイメージ……包むイメージ!
「ウォータードーム!」
地面から水が現れ燃え広がる木々ドーム状にを包み込んだ。
おぉ……思い通りにいった魔法すげぇ。
本当になんでもありなのね……助かったけどさ。
水に包まれた火はまだ中で燃えているようだ。
「はぁ…はぁ…なんか疲れたな……」
「さすがご主人です!」
「すごい……」
とりあえずこれで一つ片付いた。勢いは弱っているようだし放置でいいだろ。
残り2つか……家の件とこの子の件か……
『新しいスキルを獲得しました』
なにこれ?
ステータスと同じように何かが表示された。
エクストラってなんだろ……なんかあったっけ
後ででいいか……
「そうだった…君は帰る場所ってある?」
「ありません」
「まぁそうだよな」
「どうしますか?ご主人」
「とりあえず俺と一緒に来ない?家も無いし食料も無いけど……」
「でも……私は奴隷なんですよ?」
どうにかして奴隷解除とかできないのかな……
こいつなら知ってんじゃねぇか?
「奴隷の解除方法とか分かる?」
「貴様に教える訳ないだろ!」
「じゃあしょうがないな……ファイヤーボ……」
「まってくれ!教えるから教えるから!」
よし成功成功!撃つ気なんてさらさら無いけどな!
よっぽどファイヤーボールが怖かったらしい。
「解除方法は、主人が解除の魔法を使うか主人が死ぬかだ!」
「ご主人!倒しましょう!」
「ナビ……いっかい深呼吸して」
ナビが怖いよ……いくらなんでも殺人はやばい。
まぁ脅せばいいだろ。解除魔法して貰えば解放ってことで。
「解除魔法を使ってくれる?」
「分かったから!ファイヤーボールをしまってくれ」
あっ……出したままにしてたな……これを消す事って……消えましたねうん、魔法便利。
「じゃ解除魔法を」
「こっちに来い……」
「は、はい」
その前にステータス見とこ…この子の名前も知っておきたいし。
「シュ!」
———
名前 ルナ=アーデリック
性別 女
LV 5
HP 5/15
MP 7/7
攻撃力 2
防御力 5
俊敏性 6
運 11
称号
[奴隷]
スキル
無し
エクストラスキル
無し
———
奴隷って称号の所に表示されるんだな。
あっ!さっきのエクストラってスキルじゃね⁉︎
気になるけど後で確認しよう。
とりあえずステータスは残したままにしておくか。
「手を出せ」
「はい」
「我が契約を受けし者よこの世界で自由に羽ばたく権限を……」
2人が手と手を合わせた後、男がブツブツ唱え
アーデリックさんの周りを光が包み込んだ。
ステータスを見ると[奴隷]の称号は消えていた。
「終わったぞ……」
「もう2度と彼女に関わらないと誓うなら解放するけどどうする?」
「わ分かったから!それをしまえ!」
右手を見るといつの間にかファイヤーボールが出来ていた。
無意識でやってた……ちゃっかり無詠唱じゃね?
『新しいスキルを獲得しました』
ん?また?後で確認するから待ってくれ。
「じゃあ……」
「ブチッ」
「…………」
拘束を解くと無言でどこかへ歩いて行ってしまった。
よし……後は家の件だけか……その前に新しいスキルがどうとか言ってたな。
確認してみよ。
———
名前 木月 涙
性別 男
LV 3
HP 71/86
MP 12/99
攻撃力 56
防御力 63
俊敏性 72
運 51
称号
[転生者]
スキル
[初級火魔法Lv3]
エクストラスキル
[無詠唱]
???スキル
[怠惰] [イメージ]
———
なんだこれ……なんか増えてるし……見るか。
[無詠唱]
・魔法の詠唱をせずに魔法を使える。
魔法の構築スピードが大幅に上昇。
[イメージ]
・イメージする事であらゆる魔法を使う事が出来る。
消費MPが大幅に低下。
化け物みたいになってきたんだけど……チート過ぎやしませんか?俺は嬉しいけどね?
今は、家の事から考えるとするか。
「じゃ一緒に行こうか!アーデリックさん!」
「はい……えっ?なんで私の名前を!」
「いいからいいから!」
「ご主人いくってどこに行くんですか?」
街とか無いかな?暴力女神さんが言うには、ギルドとかあるって言ってたから冒険者にでもなろうかな?
「近くに街とか無いかな?」
「ありますよご主人!ここから約20km先に」
「あの……私の事はルナって呼んでください……
お願いします」
「よろしくルナ!俺は涙でこっちがナビ!これからよろしくな!」
こうして寝床を探す旅が始まった。