18.Aランククエスト
苦しい……胸が締め付けられる様だ、体も動かないし目の前は真っ暗だ。
何が起こったんだ……体が、体が!
「……の……お……き……の」
なんだ……声が聞こえてくる。
「……き……る……の」
切る⁉︎俺を殺すつもりなのか⁉︎
「起きるの!」
バッシーン!という音ともに頬が痛烈な痛みに襲われる。
「いやぁ!」
「どうしたんですかご主人、起きたと思ったら奇声を上げて……大丈夫ですか?」
「起きたの」
「ルイは本当に変だよね」
目を開くと顔を近づけてくるリア。椅子に座りこちらを眺めるナビ、同じく椅子に座り汚物を見る目でこちらを眺めるルナ。
「リア、ちょっと重いからどいて」
「はいなの」
ふぅ、いくらリアでもお腹の上で暴れられたら苦しいな……なんか怖い夢を見た様な……まぁいいや。
「特に何も決めてないけどやりたいことある?」
「私はなんでもいいです」
「私クエスト行きたい!」
「なんでもなの」
ルナが凄い行きたそうだな……あっ、新しい剣を買ってあげたからか。確かに、新しいゲームとか帰ってすぐやりたいもんね。
「じゃあギルドに行こうか」
「「「はーい(なの)」」」
▼▼
「何いく?二人ともランクCだったよね?」
「はい、討伐系のクエストでいいじゃないですか?」
「討伐がいい!」
「くえすと?わからないの」
「「「あっ」」」
リアはクエスト受けたことなかったっけ?登録もしてないだろうからそっちが先かな?
「じゃあリアの冒険者登録してくるから適当に受けといて」
「分かりました!任せてくださいご主人」
「ナビちゃん、討伐クエストにしようね!」
とりあえずあっちは任せていいか。こっちはリアの登録をやらないと。
「リア、こっちついてきて」
「はいなの」
そういえばリアの事あまり知らないんだよな……今度話でもしてみるか。
「すいません、この子の冒険者登録をお願いしたいんですけど」
「分かりました、ではこちらにご記入を……それと登録料として5万ユルいただきますね」
「じゃあこれで」
「丁度ですね、ではご記入をお願いします」
えっと……名前がリアで、種族……リアはなんだろ。
「リアは自分の種族分かる?」
「亜竜人族ってドラゴンさんが言ってたの」
「亜竜人族?まぁいいや亜竜人族っと……えぇ⁉︎亜竜人⁉︎竜と人間のハーフゥ⁉︎」
「よく分からないの」
かっこいい……ドラゴンの要素があったのか!
かっこかわいい!リア最高!
「亜竜人族⁉︎本当に⁉︎」
「どうしたんですか?そんなに慌てて」
「それが本当なら凄い事ですよ!世界に100人いるかいないかなんですよ⁉︎」
「まじか……リアは絶滅危惧種なのか……」
「なんか嫌な事言われた気がするの」
まぁいいや、次は性別……女っと。戦闘スタイル……聞いてみるか。
「リアは戦う時どんな感じ?」
「殴るの」
「殴るの⁉︎」
「回復もするの」
「ドラゴンにやってたね」
「そうなの」
近接格闘兼回復ヒーラーと……分かんねえよ。
前方か後方か分かんないから後方支援でいいや。
「記入終わりました」
「…………あっ!はい、では少々お待ちください」
「はーい」
登録は完了かな?にしてもリアは亜竜人族なのか……どこにドラゴンの要素が……
「ご主人!クエスト受けましたよ!」
「Aランクで強そうなの選んだよ!」
「Aランク⁉︎どうやって受けた?二人ともランクCだろ?」
「ご主人がパーティなので受けれました!」
「あー……そうですか」
パーティにいたら大丈夫なのね。強かったら逃げればいい……いや、ドラゴンより強い奴ってAランクでいるわけないか。
「すいませーん!お待たせしました」
丁度こっちも終わったみたいだから早速行こうか。
▼▼
「ここどこ……」
「えぇっと、ローダモッド平野ですね」
「……そうだ!今回の敵聞いてない!」
「巨大な狼です!Aランクですから!」
「狼?強そうだな」
Aランクだから結構強いんだろうな……狼か。
「うわ!何あの巨大な穴!」
「おっきいの」
「本当だ!ご主人見てください!」
「凄っ!凄い大きな穴……深さ30メートルくらい……やべっ」
完全に夜中俺がやった穴だよ。夜だから見えずらかったけどこんな感じになってたんだ……
「今回の狼があけた穴かもしれませんね!」
「凄い……こんな事出来るなんて」
「おっきな穴なの」
「……………」
スルーしよ……これは触れたらダメなやつだ。
それから捜索する事10分と少し。狼の足跡らしき物を発見し足跡に沿って歩いて行くと……
「小さくね?」
「いや、充分大きいですよ。さっきの巨大な穴に比べたら小さいだけです」
「さっきの穴大きかったし3個もあったもんね」
「狼さんは小さいの」
俺たちが眺める先にはおよそ10メートルくらいの超巨大な狼が……やっぱり小さくね?
「どうする?戦うの無理じゃね?リアは論外だし二人もCランクだろ?」
「調子に乗りすぎましたね」
「Aランクぅ……新しい剣を試したかったのにぃ」
「やっぱり小さいの」
どうしようか……せっかくここまで来たから倒して帰るか。
その前にステータスを覗いて見ましょうかね。
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名称 ファイナウルフ
LV 57
HP 485/498
MP 125/146
攻撃力 614
防御力 315
俊敏性 987
運 36
称号
[狼の王]
スキル
[咆哮Lv4] [王狼の衣Lv6]
固有スキル
[状態異常無効]
エクストラスキル
なし
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ほうほう……むっちゃ強かったよ……小さいとか言ってすいませんでした。俺は?
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名前 木月 涙
LV 9
HP 495/495
MP 642/642
攻撃力 402(蒼焔付与時3210)
防御力 439(蒼焔付与時3574)
俊敏性 562(蒼焔付与時4753)
運 241
称号
[転生者] [蒼き焔を継ぐもの]
スキル
[感知魔法Lv8]
固有スキル
[ナビゲート]
エクストラスキル
[無詠唱] [蒼焔]
???スキル
[怠惰] [イメージ]
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えっ……なんでレベルが2も上がって……あっ!
二度寝が適用されてる!