17.蒼焔の力を試してみよう
「どこ行ってたんですかご主人」
「はいこれ!ナビにプレゼント」
「これは?」
「開けてみて開けてみて」
ナビに渡したのは、小さな箱。ナビは不思議そうな顔をして箱を開ける。
「……リング?」
そう、俺がナビにプレゼントしたのは真っ赤で綺麗に輝く宝石をつけたリング。
「つけてみてもいいですか?」
「もちろん」
そういえば、どの指に付けるかで意味が変わるとか聞いたことがあるな……結婚の時は薬指にするって事しか知らないけど。
「わあぁ……綺麗」
ナビは真っ赤に輝くリングを右手の薬指につけ、手の甲を自分の方に向け惚れ惚れとした表情をしていた。
「薬指につけるの?」
「はい!薬指に嵌めると絆や友情などが強くなると昔から言われていますから!」
「そうなんだ……ありがとな!」
日本とは少し違った意味らしいな。
「そうだ、確か魔法の威力を上げるアイテムでもあったはずだけど……どこか変わった所はある?」
「特にはありませんね」
「後々、実戦で試せばいいか」
「はい……」
少し高かったけど喜んで貰えたから良しとしよう。
あれ、どうしたんだろう……ナビはこちらを見つめてもじもじしていた。
「あの……」
「うん?」
「…………ありがとうございますご主人!」
「おう!」
感謝されるのは凄く嬉しい、また買ってあげたくなる程に。
また今度買ってあげなきゃな。
▼▼
「お腹いっぱい、もう食べれない」
「ご主人は意外と少食ですよね?」
「言われてみればそんなに食べないな」
「じゃあ残ったのは私がもらうの」
「はいよ」
「リアちゃん、私にも少し分けてくれる?」
「はいなの」
ルナもリアもよく食べるな……ルナはともかくリアの小さな体にどうやってはいるのか。
「じゃあ俺はそろそろ寝る」
「おやすみなさいご主人」
「おやすみなの」
「ルイは寝るのはやいよね」
お腹が膨れたし眠気もピーク、ベッドに入ったらすぐ寝るだろうな……
この眠気結構好きなんだよな。
「じゃあ、俺はもう寝るよ。おやすみぃ」
「「「おやすみ(なの)」」」
▼▼
「ん……朝かな……」
上半身を起こし目を擦る。
「すぅ……すぅ……」
「むにゃ……」
「なの……」
隣を見てみると3人は寝息を立てスヤスヤと眠っていた。
ナビも起きてないし……夜中かな?
変な時間に目が覚めたな……そうだ、ちょうどやりたかった事あるし暇でも潰すか。
リアを起こさないようにベッドを降り、部屋のドアを開けフロントへ向かう。
「すいません、ちょっと出てくるので鍵をお願いします」
「はいよ」
宿を出て少し遠い所にある平野へと向かう。
歩いて30分くらいだ。
「よし、ここなら大丈夫だろ」
周りには雑草が生い茂っているだけで木や岩は見当たらない。
夜という事もあり夜風が草を撫でる音だけが聞こえてくる。
俺がこんな所に来たのは蒼焔の実験をするためだ。
いざという時に困るかもしれないからな。
「……蒼焔!」
身体の周りに蒼い焔が現れる。
「よし、まずはジャンプからだな」
この前は軽くジャンプしたつもりで雲の近くまで行ったからな……全力でやるとどうなるんだろ……
「……ふっ!」
足に力を入れ思いっきりジャンプする。
「へっ?」
瞼を開いた瞬間、辺りは薄暗い空間に月だけが綺麗に輝いていた。
下を見てみると、恐らく雲と思われる薄っすらと白いもやがあった。
数秒後、勢いを失い凄い勢いで落下を始める。
「やばばばばばば‼︎ぼべびぶぶぶぶ!」
雲を突き抜け急速に地面が迫ってくる。
やばい……やらかした……かも。
「ドゴォォォォォォンンン‼︎‼︎」
…………生きてる……痛みもないし……良かった。
怖いわ‼︎不用意に飛んだ俺が怖いわ‼︎あんなに飛ぶのも怖いけどな‼︎
あっ、地面が抉れてる。場所移動しよ……
「ま、まぁ……一つ目クリアか」
次行こう次に、後は怖いのない筈だ。
「えぇと、次は力だな」
腕の力と足の力くらいでいいかな?どうやって測ろうか……とりあえず地面に打ち込んでみるか。
拳を握りしめ思いっきり地面を殴りつける。
「ドゴォォォォォォンンン‼︎」
次の瞬間、緑で埋め尽くされていた平野の一部にクレーターらしき穴が出来る。
「おい……」
穴から脱出して見てみる。
目の前には池から水を抜いてみました!てへっ!みたいな穴が空いていた。
目測だが、深さ30メートルはゆうにありそうだ。
その後、場所を変えて蹴りも試したけど同じ結果になった。
「き、きき気をとり直して」
最後に走力だな……ジャンプ力があれだからな。
俺は上空を見上げる。
「物は試しだ!行くぞ!」
足に力を入れ、地面を力強く蹴る。ジャンプと同じように視界が凄い勢いで流れていく。
「ここはどこだ?」
体感で5秒くらいか?現在地が分からないため
秒速が分からない。どうしよう。
「あれ……もしかして」
結構近い……普通に走っても2分くらいの所には
ディ○ニーランドみたいに馬鹿でかい国、ラッセングラムが少しの灯りを灯していた。
「戻ってきたのね……」
どうせ帰る予定だったけどさ……徒歩30分を
5秒?速いな……いや、速すぎるな。
少し眠気が出てきたので蒼焔を解除し、宿へと向かった。