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13.ドラゴンさんと蒼い焔

「こちらです」


ギルド職員の人に案内されたのは、応接室。

中でギルドマスターが待っているらしい。


「失礼します」

「入りたまえ」


扉を開け中に入るとそこには、大柄の男が1人、女の人が1人椅子に座っていた。


「すまないね……急に呼び出して。私は、このギルドでマスターをしているフレッドだ」

「いえ、特に用事もありませんでしたから」

「それは良かった。まずは、昇格試験での成績を考慮しこちらで決めたランクを伝えようと思う。ルナ=アーデリックさん、君はCランク。ナビさん、君も同じくCランクだ」

「「ありがとうございます」」


おぉ!Cランクか!凄いな2人とも!


「で、キズキ=ルイ君……君なんだが……君はAランクという事になった」

「え……えぇぇぇ!Aランク⁉︎」

「いくら魔法を使わなかったとは言え、君はAランクを倒したのだからな……」

「ありがとうございます……ですが、それだけではないですよね」

「そうだ……普通ならランクを伝えるだけで、呼んだりしないからな」


まぁ……ぶっちゃけランクの事だけで呼ばれてたら拍子抜けだもんな。

大体予想はつくけどね……


「本題は君が使ったと言う青い炎の事についてだ」

「それは構いませんが、それがどうかしたんですか?わざわざ呼ばれているのである程度は、大事な話だと思いますが」

「君には関係無いとも言い切ることは出来ないな」

「煮え切らない返事ですね」


蒼焔についてとか全く知らないからなぁ……


「君の使った青い炎というのは……この世に君臨する七体の龍の内1体が使うと言われている炎だと思われる」

「その七体の龍の炎だとして、それが今回の話にどのような関係が?」

「実はこの国、ラッセングラムからそう遠く無い場所でドラゴンによる被害が出ていて、戦いもやむなしとされていたが……こうして君が現れた」

「なんですか……俺にドラゴンやっつけて来いって言うならお断りしますけど」


ドラゴン好きだけどさ……戦うのはちょっと……

というか、この国ラッセングラムって言うんだね。

初めて知ったな。


「戦いにはならないよ……ただドラゴンの所に行って話をしてきて欲しい。それだけだ」

「ドラゴンと話⁉︎話が通じるんですか?話が通じたとして、怒ったりしたらどうするんですか」

「君の青い炎を見せれば大丈夫だ……報酬は、たくさん出そう。引き受けてくれないか?」

「報酬……報酬が出るんですか?」

「もちろんだ……見たところ君は装備も持っていないようだが、そこのお仲間にも最高の装備をプレゼントしても有り余るくらいの金額は用意するつもりだ。」

「…………引き受けましょう」

「おぉ!引き受けてくれるか!」

「本当に本当の本当にドラゴンと戦う事にはならないんですよね?」

「もちろんだとも」


よし……丁度装備も揃えたかった所だし……ドラゴンと話せるのはドラゴン好きとしては、死ぬほど嬉しい事だし。

食べられたりしないよな……


「では、早速行ってくれるか?」

「大丈夫ですが……場所が……」

「途中までだが、案内を用意した、ギルド職員だからそんじょそこらの雑魚には負けんから安心してくれ」

「よろしくお願いします」

「あ……はい、よろしくお願いします」


ギルマスのフレッドさんは、案内役にと隣の女の子の背中を後ろから叩いた。

ドラゴンか……それにしても蒼焔がドラゴンと話せるきっかけか……グッジョブあの時の俺!


「行きましょうか……キズキ=ルイさん」

「はい」

「ご主人大丈夫なんですか?」

「無茶はしないでね」

「危なかったらドラゴンぶった切ってくるから」

「ご主人……武器あるんですか?」

「………………」


あっ……なんも持ってないや。


「ままままぁ逃げるよその時は!」

「あまり遅くなっちゃダメだよ?」

「そうですよ?ご主人!」

「おう!」


▼▼


「あの……大丈夫ですか?」

「こんらの……よゆうでふよ」

「大丈夫には見えないのですが……」

「長年のニート生活の弊害なんで、気にしないでください」

「?」


遠いね……すごい遠いね……むちゃくちゃ遠い。

明日にすれば良かったかな……かれこれ1時間30分ぐらい歩きっぱなしだぞ。


「あそこです」

「あの丘みたいになってる所ですか?」

「私はこれ以上は行けませんので」

「すいませんね案内してもらって」

「いえ、では私はこれで」


あそこかぁ……ちょっとしたロッククライミングが待ち構えてそうなんだけど……


涙は目的地を高々と見上げた。


「行きますか」


以外と登れたりするかもしれないし。


▼▼


「ここまではいいとしても……」


目の前……坂って言うには急すぎやしませんかね?確実に45度以上はあるな。


「せっかくここまできたし登りますか」


涙は意を決して、登り始めた。



登り始める事およそ20分


「ついたぁ……」

「誰だ……妾の寝床に転がり込む不届き者は」


あっ……ドラゴンさんだ……寝転がってる可愛いな。

えっと蒼焔使えば……って!剣も何も無いじゃん!これじゃあ蒼焔使えねぇじゃんか!


「人間……妾は今機嫌が悪い。お前には悪いが死ね」

「ちょまっ!ちょっとまって!話が!」

「黙れ!」

「うわっ!」


ドラゴンは、身体を起こすと尻尾で涙を薙ぎ払った。

涙は間一髪の所で避けたが、風圧で飛ばされてしまった。


「やべぇ落ちるって……ここって……ひっ!」


何この状況……崖に片手でぶら下がってんだけど……てかやばいって!落ちたら死ぬ!とりあえず上がらないと!


「んっしょ!」


なんとか上がれた……マジで死んだかと思っ……


その時涙は、ドラゴンと目が合った。


「まだ生きておるか……しぶとい人間め」

「まてって!俺の話を!」

「五月蝿い!」

「…………!」


感知魔法!涙は心の中で叫び、感知魔法を作動させ尻尾攻撃をギリギリでかわしたのである。


「ちょこまかと」


これは、蒼焔使わないと……でも武器が……


「うわぁっ!!」


ドラゴンは涙の隙を見逃さずその大きな手、鋭利な爪で涙の立つ地面を切り裂いた。


空中へ放り出されどんどん落下していく。


やべ……死んだ……身体が熱い……熱い熱い熱い熱い熱い!


落下中、ふと自分の掌を見るとそこには蒼い焔が灯っていた。ていうか全身蒼い焔に包まれていた。


「おせぇよ……」


涙は、ボソリと呟いて静かに目を閉じた。


「バンッ!!」


涙は勢いよく地面に叩きつけられた。


▼▼


「だい……だいじょ……大丈夫?」


あれっ……声が聞こえる。痛みを感じない。

流石にあの高さから落ちたら死ぬし、助かっても痛みを感じないなんてことは無いだろ。


「大丈夫?燃えてるよ?」

「はっ?燃えてるっ……あちちちちち!熱い熱いっあれ?熱くない」


身体を起こし自分の身体が蒼い焔で燃えていることに気づく。

熱いと言うより何か温かいものに包まれている感じだな。


「あなた空から落ちてきたんだよ?」

「所で君は?俺が死んだから天使さんが迎えに来てくれたの?それとも悪魔?」

「何言ってるの?私も死んでないしあなたも死んでないよ?ほらこうやってお話ししてるし」


何言ってんだよ……死んでないわけが……


「俺の頬をさ……思いっきりつねってくれない?」

「なんで?」

「いいからいいから」

「じゃあいくよ?えいっ!」

「いててててててて!ちぎれるちぎれる!ストップ

ストップ!」


痛い……夢じゃない……死んでない!


「俺死んでないよ!」

「そうだよ?」

「ちょっくら行ってくる!」

「何か知らないけど頑張ってね」

「ありがと!」


今度こそあのクソドラゴンに見せてやんなきゃ。

身体が軽いし飛べそうだぜ!


涙は蒼い焔を見にまとったまま思いっきりジャンプ。すると景色が変わった。


「あれ?あれれれれ?」


ジャンプしただけだよ?なんで地面を離れても上昇してるの?

速い速い速い!あっ……ドラゴンさんだ。


涙は思いっきりジャンプした事により、20分近くかけて登り辿り着いた丘を数秒で見下ろす高さにいた。


「いや!上がりすぎだって!雲が近づいて!

って雲ぉ⁉︎」


涙は雲の手前ギリギリで失速……そして落下。


「かんぼぼぼびぶー!(今度こそ死ぬ!)」


「ドゴン‼︎」


「あれっ……全く痛くない。なんか知らないけどラッキー!とはいかないな……なに?蒼焔って身体にも付与出来るし、度がすぎるほどの脚力と全くダメージ受けないの⁉︎」

「…………その……その炎は……」


目の前では、さっき自分を落とし危うく殺してくれる所だったドラゴンさんが明らかに動揺していた。


いろいろ言いたいことあるけど……


「とりあえず1発殴らせろやぁ!」


涙は目にも留まらぬ速さでドラゴンの身体に拳をぶち込んだ。

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