異次元収集家アルド 五章9話
時間掛かったな、、。
この話三話でまとめられるかな?バルロも残ってるし早めに切り上げたいが、、後々考えると。
いつも通り、誤字脱字気が付けば修正します。
2020/08/09 ルル・ルリの説明が分かりづらい為一部修正、5年~10年を成人が最短3年に変更。
2021/06/19 〈アルカディアの順〉を追加。
創造その2
アルドとボーマンは惑星を〈アース〉と名付け、まず行ったことは惑星に軸となる棒のようなものをその球体の両極にうち込む事だった。
〈これはアースの傾きの調整や自転、さらに散布したナノマシーンの調整の為に打ち込む。大気となるナノしマシーンは恒星の有害物質の除去や太陽光を軽減させてくれるが、その光や熱は有用であるし一点に集中すると熱量が多すぎてBBQみたいに焦げの原因になるからな。〉
「こっちが用意する植物は苔みたいな植物だが、これだけで良いのか?あとルル・ルリの話は共生する微生物も一緒に散布したいみたいだが。」
〈任せる。こっちは環境面でやることが多すぎて目が回りそうだし、基本的な植物や生物に関してはそっちに一任する。一段落したら落ち合おう。〉
【現在】
タッタッタッタッ。
「キッーキッキッ。」
「コラーまちなさーい!」
アルドが外に出るために環境適応ろ過マスクを付けて廊下を歩いていると前からルル・ルリに追われている小さな猿を見掛ける。
この猿は人間を創造するために必要な実験動物で、比較的人間に近い彼等を惑星環境下に住まわせ、体を惑星環境に慣れさせる為に作ったものだ。
アルドとしては何故始めから人間を人工培養で作らないのかを疑問に思ったが、どうやら人間の生存能力では現在のアース環境下で生きていくのは難しいらしく病原菌に対する抗体入手も兼ねて比較的生き延びる可能性が高い彼等が選ばれた。
小さな猿はレフト・ライトの股をすり抜けアルドの足元から肩へとスイスイと移動すると、アルドの顔にしがみついた。多分本能的にアルドがこの船で一番偉い〈大きな猿〉だと思っているのだろう。
「ごめんねアーちゃん。目を離した隙に檻から外に逃げちゃって。」
「構わない。俺もラウラとルル・ルリに任せきりだったし。外の森に離すのならこのまま俺が連れていこう。逃げたのは一匹だけか?」
「うん。残りのおサルさんは楽園に収容したから、この子だけだよ。まぁ一匹位逃げても500匹以上いるから全体的には何の問題も無いんだけどね。」
「次の時間移動まで時間が少ない。行こう。」
楽園はアースの中の全部で五つのエリアに別れていて、それぞれに違うタイプの猿を住まわせていた。彼等は最後のエリア1の〈エデン〉だ。
宇宙船から出るとすぐに森が広がっていて、森の中央部分には簡易的な環境浄化装置が設置されている。飲用出来る湧水、食料となる木の実や果実がなる木もたくさん実っているのでこの楽園から出なければ困らず生活は出来る筈だ。
「キキキッ。」
小さな猿はアルドにしがみつくのに飽きたのか、お腹が減っていたのか近くの枝を掴むと森の奥へと消えていく。アルドは森をぐるりと見渡すと近くに控えていたルル・ルリに確認のために尋ねた。
「次は何年後だ?」
「キリが良く100万年らしいよ。人間の遺伝子は定期的に手を加えないと問題が起こりやすいから、次が本格的な調整だと考えた方が良いかも。」
「食料になる家畜は?」
「大丈夫、繁殖能力が高いものから色々アースに放ったけど、、上手くいったのは少ないよ。お猿さんたちが虫を食料にしてくれると助かるんだけど。」
アースで最も数が多い動物は〈虫〉だ。
虫は遥か昔、遺伝子操作によって偶然産まれたもので惑星開拓者はテラフォーミングの時にこぞって活用する。種類も多くそれらを放ち惑星の植物や動物の繁殖を促したりと活用の幅は広い。
アルドの持つ腕輪が時刻を知らせる。
「そろそろ時間だ。ボーマンの宇宙船に移動しよう。」
ボーマンは謎が多い、だが雇われている身としてはなるべく信頼関係を構築しなければならないし、時間もろくに守れない男と誤解されたくもなかった。
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創造その3。
惑星誕生から20億とんで100万年。
惑星の大気は正常値になり、みすぼらしくはあったが惑星アースは岩の惑星として出来上がっていた。
ブリッジにて今後の方針について決めていく。
〈遺伝子操作の事だが、今回俺たちのチームは〈ユートピア〉〈ニライカナ〉〈シャンバラ〉の猿を担当する。アルドのチームは〈エデン〉〈アルカディア〉を担当してくれ。〉
「遺伝子操作で猿達に掛け合わせる遺伝子はどうする?」
〈知的生命体で繁殖力があれば何でもいい、だがエリア別に多少変化を付けた方が今後疫病とかで全滅等をさける事ができるかもな。〉
「判った。」
通信を切ると、アルドたちは目的地となる〈エデン〉に移動した。
「卵が先か鶏が先か~、答えはどちらでもありどちらでもないのですよ~。」
鼻唄を歌いルル・ルリは様々なチューブに繋がれた大きな立方形の箱を覗き込みながらその中の受精卵に小さな針を刺して、中に何かを注入していく。
彼女の周りに映し出されているホログラムには何やら数字がビッシリと埋め尽くされているがアルドには何が書いてあるのかサッパリ分からなかった。ルル・ルリはアルドに気が付くと嬉しそうに話し掛けてくる。
「捕獲した猿を解析して今後の知的生命体の進化の方向性を決めておきたいんだけど。このお猿さんの遺伝子に似た人型で良いかな?アーちゃんと種族的には親戚になる感じ。それとももっと他の生物からも幅広く当たってみる?」
「エデンはこのまま猿の遺伝子を人間に類似させてみよう、、アルカディアはベースをそのままに鳥類を掛け合わせてバードマンみたいな種族にしてみてくれ。ボーマンはストーン人とかの哺乳類以外の生命体はこの次元では※繁栄難いっていっていたからな。」
※ストーン人の食事は特殊な鉱石。次元に存在している埋蔵量が少なく、数を増やす点において管理しやすい哺乳類系統の人類をボーマンは計画の柱にした。
「姿形が似ていた方が親近感がわきやすいしね。開発型SLGゲームでも選ばれるのは同種が多いっていうし。」
「??」
「今回生き残ったお猿さんの遺伝子と常在微生物を解析するけど、成人まで成長させるとなると人工培養装置で最短で3年掛かるの。だから、、」
プシュー。
宇宙船の研究室のドアが開いてラウラが現れる。
「それについては私からお話しましょう。」
ラウラは今までの話を聞いていたのか、手に持った資料端末をアルドに手渡して格納庫へと案内する。
「今回の計画で重要なのは時間の軸≪線≫となるものが2本あることです。一本目はこちらのアルド様が乗る宇宙船。もう一本は実験用の現地である〈アース〉です。」
「計画の問題となるのは誕生した〈知的生命体〉の数です。資料のグラフで分かる通り。地上に設置した人工培養装置では最低で三年に10体の知的生命体が生まれるだけです。そこから彼等が生殖活動を行うにしても人口増加は微々たるもので、楽園施設そのものの収容人数も千人以下と非常に少ない。また医療技術のない彼等は楽園の外では簡単に餓えや病気により死んでしまうでしょう。」
「施設を大きくするには資材が足りないんだよな。」
「はい。しかし文明レベルの上昇と共にそれらは問題なくなります。必要なのは誕生した知的生命体の文明を高める知識を持った導き手なのかと。」
導き手、、アルドがそれから考えられるのは神の代理人たる王だった。ガルンゼルでも自ら神の末裔を名乗り、国事を行う地方国家も多い。
「次は2000年後の予定だから。現地に残り計画を続けていく事は、俺やラウラ、ルル・ルリは出来ないだろう。」
「ドールが適任かと考えます。多種多様な知識をあらかじめインプットし、ドール素体を先に必要数用意してデータを受け継ぐ形にすれば2000年であろうと任務を全うできる可能性が高いかと。」
〈任務を全う出来る可能性が高い〉何が2000年の間に起きるか分からないのでラウラは断言しなかった。特にこうした長い時間を掛けて行う計画は一つの狂いが全体を大きく変貌させる事も珍しく無いからだ。
「自主的に受けそうなドールは?」
「ドールは命令とあれば任務を遂行します。ですがドール達のまとめ役のNo.1。船内清掃のNo.3。厨房にいるNo.4は宇宙船に若干の愛着がある様ですね。勿論レフト・ライトの場合は護衛任務を解かなければなりません。」
「アースに残って任務に就いた奴は給料に特別手当てを付ける事と、何かしらの特典を与えるといって募集してみてくれ。それでだめなら、くじ引きで決めよう。」
アルドはそう言ったが、現地に残るドールはNo.2とNo.7にアッサリ決まった。No.2は給料に惹かれ、No.7はゴツい体ではなく〈もっと格好良い〉スマートな素体を欲しかった事が理由である。早々に決まったことは喜ばしい事なのだが、ドールに少しだけ芽生えた性格が少し問題だった。
No.2は≪金儲け≫が好きであり、No.7は多少ズボラな所がある。そんな〈個性〉のような行動原理が今回いい方向に作用するのか、逆の方向に働くのか。
「やってみないことには始まらないか。報酬は前払いでも構わない、ソレ位の特典は良いだろう。」
〈数日後:作戦開始前日〉
楽園の近くの仮設施設には耐久年数を考えてか岩をくり貫いた建造物が建てられ、中に宇宙船からの機材が運び込まれてくる。ドール達の運転する大型のトレーラーからの機材はほとんどがドールが数千年間を過ごすために必要な替えのパーツを保管する為の装置だ。
「さてアーちゃんに問題です。ドールの耐久年数は最高品質で大体15年から20年だとして、一つのエリアで二千年の作戦中に必要とされるドールの素体数は最低何体でしょう?」
「2000÷15だから1500、、133体か134体か?」
ルル・ルリが終始ニヤニヤしているので多分引っ掛けなのだろうが、ソレに気づいても何体が必要か分からないかった。ルル・ルリは指を開いてピースサインを顔の横に持ってくる。
「正解は2体。そもそも百体以上の素体を保管する施設の建設は現実的ではないし、補修とリサイクル技術を用いた方が材料が少なくて済むから。」
ルル・ルリは指をタクトのように操りながら得意気にアルドに話す。基本的にアルドと話す時には身長差を気にして無い胸をそらし爪先立ちをしながら話すがアルドはそれに気付くことはない。
「一体を稼働中に予備のもう一体を修理するのか。」
「うん。重要部分はブラックボックス化して耐久年数とかを高めて、部品を現地調達できれば材料は少なくて済むし。10年もあれば使用できる鉄鉱石位は発掘出来るでしょ。後は製造に必要な装置に防腐処理のコーティングを数百年単位で施せば二千年位は問題ないから。」
「なるほどな。」
「他にも緊急時のスペア用に二体程を置いておけば、完璧だと思う。」
ルル・ルリにしてみればドールを無理に運用するよりも、新しくフリーメンテナンス用のロボットを新しく一から作った方が早かった。しかし、それには稀少な金属を使ったりプログラムを組み込むために自室に詰めなければならないために、そういった些末事をするならとラウラには意見はしなかった。
ルル・ルリとしてはアルドと一緒に出来れば何にも問題ない。ミューズ復活の件も〈アルドからの頼み〉だから行っているに過ぎない。
「アルドサマ、オヨビデショウカ?」
No.2とNo.7が現れる。
「準備で忙しい時にすまない。今回呼び出したのは〈知的生命体〉を導くに当たっての最終確認をしたいからだ。二人、、いやNo.2とNo.7は彼等をどう導いていきたいのかを話してくれないか?」
No.2が先ず始めに答える。彼の格好はボディパーツ拡張をしていない、ドールの一般的な姿だった。アルドの予想であるがお金を貯めてもしかしたらもっと欲しいボディパーツを特注でルル・ルリに頼みたいのかも知れない。
「ワタシハモテルチシキヲサイダイゲンニ、カツヨウシテブンメイレベルヲタカメタイトオモイマス。ソノタメニハカレラトノセッショク・レンケイヲミツニシタホウヨイトオモイマス。」
「成る程、確か〈アルカディア〉の猿と鳥と間から生まれた知的生命体は病気や生殖能力は若干低いが、従順で勤勉らしい。連携を密にして導くなら彼等はどうだ?」
「アルドサマガヨロシケレバ、イカヨウ二モ。」
命令であれば何でもよいというスタンスなのだろうが、少し自分の意見をいって欲しかったアルドは次はNo.7に目をやる。
こちらは一般的なドールとは体型が違った。より人間らしくなり、動作もかなり滑らかだ。ドールの軽量型といっても良いかも知れない。ラウラの話ではスピードと反応速度に重点を置いたタイプらしく、※馬力は一般的なドールよりは劣るらしい。
※それでも一般的な成人男性より力は遥かに高い。
「No.7はどうだ?」
「ワタシはカレラのイシにマカセたいとオモイマス。ワレワレのモクテキはカレラの〈ハンショク〉ナノですから、カレラのブンメイのハッテンはサイショウゲンにトドメ、ショクリョウとビョウキやケガなどのミをマモルホウホウをオシエタイとオモイマス。」
「そうか、では残った知的生命体を導いてくれ。彼等は繁殖力が高く病気にある程度の耐性がある。多少欲に溺れる事もあるが何とか導いてやってくれ。」
「カシコマリました。」
「覚えていると思うが、知的生命体を増やしたからといって終わりじゃない。彼等に【神】への祈りを捧げてもらわないと根本的な成功とはならない。イメージだけでも良いらしいが〈効率〉を重視するなら〈マーク〉や〈建造物〉などの神にちなんだ象徴を作ると効果的かもしれない。」
ルル・ルリも人差し指を口元に置いて補足する。
「あと、そうだねー。神様のお話し〈神話〉を取り入れれば彼等も受け入れやすくなるかもね。」
「シンワデスカ、、リョウカイシマシタ。」
「それでは頼んだ。」
トットットッ。
アルドが去った方向を眺める二体。
沸き上がるのは使命感か、それとも重圧から解放されて自由に行動に出来るという高揚か。No.2とNo.7は互いを見て自分の成功を確信している相手に言う。
「ナンバー7、オマエノケイカクハハタンスル。クラシガユタカニナレバジンコウのゾウカモ、カソクドテキニフエルダロウ。ヤセイドウブツノヨウナセイカツナドナンセンス、ダ。」
「ブンメイのレベルをアゲルにはオオクのジカンをソレラにツギコムヒツヨウがある。ショクリョウやイリョウをハッテンサセるマエにカレラがゼンメツしないコトをネガっている、ぞ。」
二体の間に対抗心はない、あるのは自分の判断が正しく相手の間違いを指摘したという事に過ぎない。その結果は数百年後に現れるがまだ二体はそれに気付く事はない。
≪そっちの準備は大丈夫か。用意が出来たのなら時間を進めるからな。≫
「こっちの準備は完璧だが、ボーマンの方はどうなんだ?俺達よりエリアの数が多いが。」
≪こっちは事前に準備をしていたからな。計画通りにやっただけだ。俺達のやろうとしていることは準備よりも、運や予期せぬ出来事への対応力が問題となるものだ。もっとも考え過ぎるのも逆効果かも知れんし、こればっかりはやってみないことにはな。≫
ボーマンはアルドと同じくエリアの二ヶ所はロボットを配置して人々を導き、残り一つは特殊な方法を行っていた。
内容としては設置した自動コンピューターと大陸半分を覆う程の特殊な電波によって、知的生命体に神を信じさせるという洗脳じみた方法だった。
この方法の利点は効果範囲にいる知的生命体全てから≪神への祈り≫の効果が得られるという事があげられ、最も効率が良い。しかし脳に負担が掛かるために寿命が少なかったり体調の悪化、人道的な面からボーマンはこの事を詳しくアルドには話していない。
「タイムワープの為にボーマン様の宇宙船に接続します。」
接続場所はボーマンのエリアの〈ユートピア〉上空。
ボーマンのコマンド・イブにより、艦の周囲と他の次元をそのままに時間が急加速する。その加速は体感出来るものではなく、瞬間にして二千年という時間を駆け抜けた。
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創造その4
アルドがブリッジのモニターを眺めるとそこには今までにない景色が広がっていた。
「、、廃墟か?、、、」
ボーマンの〈ユートピア〉があったエリアは荒廃していた。施設らしき残骸が残るだけだ。スクリーンの端にボーマンの映像が写る。
≪どうやら今回の時間移動でいろいろあったみたいだな。そっちはそっちで自分のエリアの状況を把握してくれ。こっちも情報がまとまったら連絡する。≫
「わかった、持ち場に移動しよう。ラウラ、ルル・ルリ先ずは〈アルカディア〉〈エデン〉の順に移動してくれ。」
「了解。」
「ラジァー。」
*
「どうなっている?」
「うーん、外からじゃ分からないな~。〈アルカディア〉施設内のコンピューターが壊れちゃったのか情報が取り出せないし、ドールとも連絡が取れないから、、もしかしたらNo.2が壊れちゃってるかもしれない。」
基地内部のメインコンピューターはドールが壊れてしまうとメンテナンスが出来ない為に連鎖的に壊れてしまう可能性が高かった。
ルル・ルリが端末を操作して情報を収集をするが、得られる情報は限られていた。エリア周囲の状況はボーマン達のエリアと同じだ。
楽園〈アルカディア〉は荒廃していた。
森が無くなり、禿山が所々にあるだけだ。給水施設も土で埋め立てられているようだ。そして近くの石の遺跡は蔦で覆われ中の様子は分からない。
「多分これは火事か、、過度な伐採を繰り返したのか、、」
「アルド様、宇宙船で空中からの周辺の調査とエリア内部を調査した方がよろしいと思います。捜索隊を編成しますか?」
アルドにはラウラが言いたい事が分かった。もしNo.2が壊れて何百年も放置されたのなら、このエリアの知的生命体はその後どの様な生活を送っているのか分からないからだ。
もし蛮族の様に〈有無を言わさずを人を襲う〉様な、凶悪な集団になっていたらアルド達が襲われる可能性も視野にいれなければならない。
「ここは一時放棄して、もう一つのエリア〈エデン〉に向かおう。向かう途中、空からから出来るだけ情報を収集してくれ。」
「オッケー。」
カモフラージュした宇宙船は〈エデン〉へ移動中、中規模の集落を多数発見する。背中に鳥の羽が映えた人間が滑空しながら隣の山へ移動している。
「布製の衣服、、畑もない、、文明としてはまだ発展途上の様ですね、、。数や点在する場所を計算数と数は種族全体で千弱といった所でしょうか、、」
「No.2の姿はないか、、。管轄の知的生命体は滅びてはいないみたいだが、、。」
「そろそろ、〈エデン〉のエリアに入るよ。」
ピーガガガ。
「繋がった。」
『アルドさま、おひさしぶりデス。』
「無事か、No.7。」
No.7と連絡出来たことに胸を撫で下ろすアルド。カメラの端に映る遺跡内部の映像と共に何の問題も無さそうなNo.7から今までの情報を報告してもらう。
『はい。あのトキから2センネンとフツカケイカしています。イマまでのホウコクをカンタンにセツメイシマス。』
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【No.7】
知的生命体は3年目に完成し10人から始まりました。
出来上った知的生命体は成人に近い健康体なのでここから生殖が可能ですが、始めの知的生命体なので生活に必要な知識を覚えさせる為に1年程素養を身に付けさせました。
また異性恋愛への戸惑いなどの相談にのり、パートナーとなる男女を決めて暮らし始めます。
人口推移は5年目から変化し、10年目で54人。
20年目で241人。そこから初めて産まれた子供達が成人になり始め、食糧確保の為に農業を教え更に宗教を教えました。この惑星ガイアが如何にして産まれたのか、多少脚色して〈神〉の存在を彼等に刷り込むことに成功。
人口は順調に増え。百年を経過した頃には人口は約一万人を越えエリア全体の把握が困難になりました。そこで市民の登録とそれに伴う最低限の教育を実施。
また楽園〈エデン〉の水を利用しながら畑の開墾の拡張と、人口増加に伴う施設を建設、この頃になると軽犯罪が段々と発生するようになりました。
何もしなくても人口は爆発的に増え続け、各地に拡散。知的生命体が住む場所は〈エデン〉を遠く離れ、更に広がります。表れるのは新たな病気と倫理観の低下による同種族内の争いでした。
私は加速度的に広がる地域と争いの収束、知的生命体がより〈神〉がいるという事への意識改革をするため〈導き〉よりも〈支配〉の方が彼等を統制しやすいと考えました。そこで各地に分散した知的生命体を集め国を誕生させました。
国となり密集させることで問題となる食糧不足は動物の家畜化や畑への肥料、病気は薬や医療、住居や環境衛生の見直しを進めました。
300年目で人口は大体48万人に到達。
他の楽園住民と生活圏が重ならないように拡張させ、文化レベルを無理には上げずそのまま拡張を続けました。
現在の人口はこの国だけでも一億を越えると思われますが国を離れた彼等がどの様に大陸に広がったのか分かりません。国が大きくなりすぎると内部崩壊が始まるので、この国を離れた彼等を放置し、その意志に任せていました。』
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長い話が終わるとラウラがアルドに耳打ちする。
「No.7の判断は間違っていません。確かに支配し人口を操作する事も大切ですが、巨大になりすぎた国が分裂する事はままあることです。何が、どの様な選択が正しかったというより、国を数千年存続させただけでも運が良かったといえます。」
『アルドサマにシザイのケンジョウヒンもありますので、おコシしイタだければソレラをオワタシします。』
「わかった。長い間疲れた?だろう。合流後、宇宙船に戻って今後の連絡を待ってくれ、このままどうなるかはボーマンに聞いてみないとならないからな。」
『リョウカイしました。ウチュウセンはトシブチュウオウのシロフキンにセツゾクできるヒロバがありますのでおツカいください。』
プチン。
「成功と言って良いのか、、」
「合流時は知的生命体がアルド様や私達を見てどの様な行動に出るか分かりません、もしもに備えある程度の護衛を付けた方がよろしいかと思います。」
「そうか?、、警備に関してはラウラに任せるけど、警戒のし過ぎだと思うけどな。」
アルドはそう考えたがラウラの言葉はある種正解だった。
方向は逆であったが。
上空から見えるのは何十万という人の群れ、黒くうごめくそれは宇宙船が見えると歓声をあげた。宇宙船に熱波をぶつける人々、あるものは祈り、あるものは泣き、感涙する。
『キけ!ワがコらよ!!ワレラのソウゾウシュ、ゼッタイシン・アルドサマがコウリンなされた!!!ワレワレのイノリがアルドさまにトドイタのだ!!』
「「ア・ル・ド!ア・ル・ド」」
「わー、ア~ル~ド、わーわー。」
恥ずかしさの源泉、アルドは自分自身の否定だと気が付いた。そしてその中最も強烈なのは、巨大になった幻想をもつ相手の勘違いを自身で否定しなければならない時だ。
アルドは頭を抱え、自分自身を否定した。
「あー、ず恥ずかし、、。なんだよ、、絶対神って、、。いや、マジで、、何処の誰だよ、、アルドって奴、スゲーな。」
宇宙船と城との中継地である桟橋で遠い目をする。
「アルド様?」
「酒が飲みたい。この際瓶でもいい、それで頭を叩いて記憶を消してくれよ、、。」
「私は嬉しいけどなぁ。絶対神!」
「はぁ、、ん?」
ハンドリンクにボーマンからのメッセージ連絡が入っていた。
「?」
【今作戦を中断、リセットを行う。】
No.2の行方、リセット。地響きのような歓声を背にアルドと惑星アースの問題は着実に何かに向かって進んでいた。




