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異次元収集家アルド 五章8話 創世編

時間掛かった。


誤字脱字は気付けば修正します。


この話は全体では必要なんだけど〆が気に入らないな、、。


2022/5/8

ブルースカイ号→グリフィン号(変更忘れ)

バルガサから遠く離れた場所、アルド達一行は情報処理施設や軍事施設を人的被害が出ない様に破壊しながら、銀河星系の隅まで移動していた。


ラウラはバルガサの戦闘で負傷し、現在治療中。アルドとアリサは珍しく二人だけで食事する。勿論それは成り行きでアルドが食事をしていたときにアリサが食堂に現れてアルドに奢れとタカったからだ。


「バルロだっけ?敵のボスって強いの?」


「ボスかどうかは分からないけどな。強いよアレは。あれはヒトっていうよりも高性能の宇宙船やそれに近い。」


アルドにラウラが言うところのカテゴリーランク分類は分からなかったが、片道切符を使った印象だと少なくともラウラの操縦するオーガユニットですら相手にならず。互角に戦うのであればアルド達の乗る宇宙船との一騎討ちだけだろう。


カンカンカン。


胸にNo.4と書かれているドールの作った料理が出来上がり、鍋を叩いて完成の合図を送る。アリサの注文で焼き飯と呼ばれる、お米に調味料や卵を加えた料理らしい。アリサはカウンターに置いてある焼き飯をスプーンで掬い口に入れる。


「レシピドオリニ、ツクッタ。」


「まぁまぁね、腕は1.5流って感じ。」


「タダメシ、ソレダケタベテ、ヒョウカハソレカ。」


アリサが注文した料理は焼き飯だけではない。ステーキやパスタ、麺料理やスープなど8品にも及ぶ。


ブォン。


食堂にいきなり現れたのはアルドの宇宙船のサポートを行うインターフェース〈ルル・ルリ〉だった。


ルル・ルリと容姿や姿が酷似しているが実態はない立体映像で、ルル・ルリが船に戻ってからはあまり姿を見せなかったが、ラウラが修理中の現在、敵に襲われないようルル・ルリが警戒して宇宙船の中枢部に詰めている状態で手が離せないのだろう。


ルル・ルリの髪は青髪のロングであるがインターフェースの髪は白色、ルル・ルリに似ている為にこのインターフェースの髪を白色したのだ。コントラストの関係か、透明感のあるルル・ルリの白い肌より若干浅黒くなっている、日に焼けた少女の様だった。


彼女がここに来たということは何か問題が起きた可能性が高い。


『アーちゃん、この次元内で暗号化された超量子通信を傍受したの。』


「暗号を傍受?宇宙艦隊同士の通信か?」


立体映像のルル・ルリは首を横に振る。


『多分別物だと思う、確かに敵に傍受される心配がある通信は暗号化されるけど、でもこれは《私達でも暗号化を解くのが難しい》し、連絡を取り合う為の通信としては長過ぎる。』


ムシャ、クチャ、クチャ。ズズズー。


アリサが料理を口に入れていく。それを無視してアルドは続ける。


「解読は?」


『次元内の位置を現す座標とカウントダウン。』


「、、カウントダウン?つまりゼロになったら何かが起こる?それともリセットされて繰り返すのか、、。艦影は?」


『全く見当たらないんだよ。レーダーを使用しても宇宙船のようなものはその座標近くにはいないし。特定の位置に誘導させて攻撃する罠なら、もっと分かりやすい暗号にした方が良いと思うから、、でも、、。』


それを含めて罠の可能性もある。アルドはハンドリンクから遺物の位置を確認する。インターフェース〈ルル・ルリ〉の言った座標とは全く違う場所である。本来なら無視するところだが妙な胸騒ぎがして、何かしらの選択をした方がいいと感じた。


遺物を取り返す為にはバルロ達と戦うことになる、その為に多少相手の戦力を削った方がいい。だが別に遺物を回収しなくても目標はミューズの復活にあるのだから、遺物を絶対に回収しなければならないというわけではない。


暗号が罠だとしても、只の情報のやり取りだとしても結局今、ラウラがいないため、遺物の奪回の作戦もたてられない。こんな空白期間を無意味に過ごすのも無駄な気がする。


「なら、、多少行動してみるか?」


アルドの考えでは行動することは行動しないことよりも〈良い〉という考えだ。義父のガンリュウには時に行動よりも重要な〈待機〉、待つ事への重要性を説かれたがアルドの性に合わなかった。要はタイミングだとの結論に至っている。


「指定座標に行かなくてもいい、少し離れたところで遠くから様子を見てみよう。何か変化があればその時行動すれば良い。」


フムフム。


アリサは食べ物を飲み込むとアルドに聞こえないほどの声量で呟いた。


「藪を突ついて蛇を━━それとももっけの幸いか、、。まぁいいけどね。」





惑星バルベルト。惑星とはいってもそれは大小様々な天体が集まって出来た星であり、人が住むステーションもない。だが数百の小天体は宇宙船を隠すのに絶好の場所である。


座標はその場所を示していた。


「何もない、、か?」


座標を遠くから電波望遠鏡で調べるが宇宙船や変わった所もない。


━━が


ビビッ、ビビッ。


ブリッジに響く音、アルドは何か起きたのか周りを見る。


『アーちゃん、通信が入ってるよ。ウイルスや罠じゃないみたいだけど開いてみる?』


インターフェース〈ルル・ルリ〉がアルドの座席の側に立って聞いてくる。アルドは頷いた。



《あーあー、聞こえてるか?よしよ~し。》


ラウラやルル・ルリにならった宇宙共通語か聞こえる。その後モニターにノイズが走り、画面が切り替わる。


モニターに映ったのはアルドより少し年上の男。三十代だろうか、身なりは科学方面に近く茶色と黒の上着のケミカルジャンパーを体格の良い体に羽織り、前で腕を組んでいる。飄々とした印象を受けるが目は鋭く油断ならない相手を思わせた。


戦士としての腕は分からないが多分、それなりには腕がたつのだろう。


《俺の名はオーピット・ボーマン、ボーマンと呼んでくれ。んで隣の美人が俺のパートナーのアンドロイドのヴァルちゃん。前で見切れてるのが万能ロボットのシュタイン。もう一人いるんだが引きこもりでな、部屋からでねぇから省く。》


ヴァルと呼ばれたアンドロイドは戦闘タイプと思われた。美しい金髪を後ろで束ねていて、少し大きめの目からは力強さを感じた。胸がラウラよりも大きいく、ピッタリとした白地の制服を上下に着ていて、スカートは中が見えるギリギリなので目のやり場に困る程だった。


万能ロボットは銀色の大きなボールを横に伸ばしたの円錐型をしており、目の部分にはライトとなるものがついていた。だが繋ぎめは見当たらない。謎が多いロボットだった。


「俺はアルド・ガーデンブルグ。こっちはインターフェースの〈ルル・ルリ〉。メンバーとしてはあと二人いて、今船内には客人が二人いる、、計五人だ。」


ロボットを含めると正確には違うが、まだどんな用があって連絡してきたのか分からない。その為に一応提供する情報は簡単なものに留める。


《暗号を含んだ情報をこの次元内全域に飛ばしたのは俺だ。次元内で隠れているアンタ達を一から捜索するのは骨が折れるから、解析出来るある程度の暗号を送り捜索範囲を狭めさせてもらった。全くアクションがなく網に掛からない場合も合ったけどなビンゴだ。》


「捜索か、、何か俺達に用があったみたいだが、、。」


《バルロ・クリューニに※超越品を没収され返してもらえない。俺は切り抜けたが、、アンタ達は盗まれたままだろう。》


※超越者の一部が含まれていてかつSS以上を超越品とあう。引き継がれる物が多いのでアルド達の様にそれらをまとめていう場合は遺物でも間違いではない。



「なるほど、、。」


ボーマンの発言には敵というよりは同じ境遇の仲間に近いものを感じた。嘘を付いているという可能性はあるが、ある可能性が頭を過る。


「ボーマンは次元移動が出来るのか?」


《ああ、次元移動できる集団をウォールブレイカー、、場合には〈古の民〉とも言うがね。呼び名はどうでも良い。アンタ達と同じ古の民だ。》


何故〈古の民〉なのかは分からないかったが、その疑問には触れない。ボーマンが言葉を続けた。


《さて本題だ。俺達の用件はアンタ達に【ゲーム】を一緒にしてほしいからだ。》




〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


〈オーピット・ボーマン〉の語り


次元は何で出来てると思う?


神だ。神がシステムであり絶対なものだ。神が死ねば、壊れれば次元が崩壊する。圧倒的な力を持った超越者すら神が死ねば〈死ぬ〉。


神っていうのは確かに絶対的なもので次元内で必要不可欠なものだ。しかし時々バクが何かで神が死ぬことがある。膨大な次元を内包して、収縮し隣の次元に飛び出す。種みたいにポンっとさ。


それが【神の遺体】だ。


数は多くない全次元で、数個、、いや1つかも知れない。


何故1つか?俺が持っているからさ。


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


ボーマン達の宇宙船〈グリフィン号〉の客間でボーマン達の話を聞く、アルドとコウモリそして後ろで護衛をするレフトとライト。


ボーマンは硝子の様なパレットの中に入っている胡麻の様な小さな種をアルドに見せるがそんな大層なモノには見えなかった。


「これのスゴいところはどんな物質であってもこれの中に入っているということだ。例え超越者の体であってもな、、。万能物質の最高位が神の遺体なんだ。」


「、、本当ならスゴいことだが。どうして俺に?」


「人手不足だからだ。誘いたいのは戦闘・支援や人の管理、臨機応変な対応が出来るトップダウン型の小集団、しかも裏切る可能性が低くなくちゃならない。当然古の民ならある程度その辺は保証されてるし後は人格で、、それは合格だろ。」


もしかしたらボーマンはバルガサの一連の騒動をある程度知っているのかも知れないとアルドは考えた。


「神の遺体は発動すればもう回収はできない一回こっきりの物質で、【俺達の保険】としてあんたたちに手伝って欲しい。プレイヤーとして、ある目的に沿って行動してほしい。報酬は魔法金属か万能物質を五キロ。かなり好条件だと思うが、、どうだ?」


《万能物質があればミューズの体の素材を作ることが出来るよアーちゃん、、加工に関してはまた別だけど。》


ルル・ルリの声がハンドリングから聞こえる。


考えるまでも無く、アルドは決断する。


「分かった。請けよう。」


ボーマンは先程の話を聞いて口角をあげる。何かをピンと来たのか、だがボーマンからの発言は無い。


「オーケイ、じゃあちょっと待ってくれ。契約書を作る。」


ボーマンは懐から一冊の本を出す。それは手帳の様なものだ。それに指を触れてすらすらと何かを書き込んでいく。


「これは互いの取り決めに対して血判し、それを故意に反古にすると条項に沿って魂、、それよりも最深い部分が拘束されるという制約の超越品だ。


1)オービット・ボーマンは成功報酬として魔法金属か万能物質を五キロをアルド・ガーデンブルグに引き渡す。これは両者どちらかが成功した場合のみ適用される。


2)アルド・ガーデンブルグが故意に契約を反古にした場合、担保にした異物全てか、大切なものをオービット・ボーマンが徴収する。


3)その他追加項目があった際は互いに話し合い、それを決めるっと。


これでよければ、ここの空欄に親指を押してくれ。」


アルドは虹色の文字が記載された異物に親指を近付ける。文字が浮き上がって表示されている為、指が異物に付くと思われた瞬間、透明な板のような物に阻まれチクリと針に刺された痛みを感じて指を離した。いつの間にかボーマンの異物にはアルドの血判が表示されていた。


異物をボーマンに返すとボーマンは拍子抜けした顔になりつつ、アルドに説明する。


「すぐに信用してくれたとこ悪いがな、あまり他人をホイホイ信用するなよ。こういう契約ってのは迂闊にするもんじゃない、一旦持ち帰って仲間と相談するか時間をおいて考えろ。もし俺が悪いお兄さん、、いやオッサンだったら骨までしゃぶられるぞ。力はなくても、そういう契約や制約で丸め込んでくる敵も多いからな。」


アルドは笑う。どうやらこのボーマンという男はかなりのお節介か、正義感が強いらしい。言葉の強さから多分そういう経験があるのだろう。それとも共同体の故の忠告かもしれない。


「さて、長々やったがゲームの内容を話しておこう。神の遺体から人類を創造し、その信仰心を集めて〈超越者の身体を作り出す〉のが目的だ。


そうこれは【神様】になり人類を導くゲームって事だ。」





〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓




「次元の穴を固定しろ!」


「次元の穴を固定完了。」


「神の遺体へ構築プログラムを注入開始!」


「ロクジュ、、ナナジュナナ、、キュジュ、、キジュウク、、カンリョウ。」


「虚空次元に発射!!」


ビシィ!


ボーマンは四本の指をビシリとモニターに向ける。大きな手振りで無駄な動作ではないか?と感じるアルドだったが、宇宙船の艦長はこうしたものかもしれないと、アルドは考え直した。もちろんボーマンは真面目にやっている、だが何事も200%を心情にしている情熱のある男、やる気が周囲に漏れだしているのに気が付いてはいなかった。


「次元は瞬間に始まる。ある膨大な質量を持った神の遺体が何もない空虚な次元に発生して、後に発芽する。因子となるものはたくさんある、神の遺体の中の構築要素が世界の構築に問題なければ次元内のシステムが完成する。簡単に言えば科学的な熱、重力、速度に始まり、魔術的な魔力やメンタルパワー、それらの要素が絡み合って次元が構成される。それまでが発芽までのプロセスだ。」


アルドに教師のように説明しながらモニターを眺めるボーマン。


「だがそれだけじゃ、ただ何もない虚空の次元に神が存在するだけだ。そこで人工的に衝撃を与えて、宇宙を、、物質を創造する。勿論四次元のだ。」


本来は四次元以上ものが存在する次元だが、ボーマンが創る神はもっとシンプルなものだ。自然発生した神が創るものに人間であるボーマン達の構成プログラムが敵う道理は無く、人工的に作られたものがいかに脆弱なモノなのかを知っているのは、プログラムを入手したボーマン達だろう。


彼としても神の遺体を入手したのは偶然によるもので、構成プログラムもかつて次元を創造した先駆者の構成プログラムを流用しているに過ぎず、一から神を創造するのはそれこそ次元の始まりから終わりまでプログラムを創り続けたとしても時間が足りることはない。


「次元振動弾準備!」


「次元振動弾準備。始め!」


「ジゲンシンドウダン、ジュンビカンリョウ。」


「撃て!」


シュバ!


次元の穴に巨大な弾が飲み込まれる、ブルースカイ号は重巡洋艦でアルド達の船よりも奥に細長い、その細長さの原因が巨大な主砲であり。特殊な弾頭を撃ち出して正確に命中させる事に関してはブルースカイ号はアルド達の宇宙船よりも遥かに優れていることが伺えた。


「さて、これで準備は完了した。後は次元と共に宇宙が出来上がる。それまで飯でも食うか。」


〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



創造その1。


〈そろそろ次元の芽が出て、宇宙もそれなりに大きくなった筈だ。次元移動するぞ。そっちも宇宙船で追ってきてくれ、ここからが少し大変だ。〉


アルド達はボーマンの宇宙船を追って次元の穴に入る。


その頃にはラウラも治療が終了していたが、治療を終えた直後にこの【神様になる】という話をされて頭を抱えたのはいうまでもない。


それでもそこまで反対しなかったのは、ボーマンという姓の〈古の民〉に心当たりが合ったからだ。自分の主人の遠い親戚に確かボーマン姓があったと記憶していた。もしかしたらボーマンも薄々は感づいているかもしれないし〈アルドの乗る宇宙船〉の品番データから、アルドの情報もそれなりに集められるのを知らない筈はない。これだけ大きなプロジェクトを遂行するに【信頼出来ない相手】を選ぶ人間ではないだろう。


その宇宙は暗闇で恒星すらない場所だった。


〈まず暗闇のなかサーチを掛けて、希少な金属を集める。それから材料を選り分けて惑星を造るぞ。〉


「惑星を造るのか、、。」


〈この世界には神の代理の超越者はまだ存在しない。待っていても一生惑星なんて出来ないぞ。超越者は偶然を装って奇跡を起こすが、俺達には加護もなければ運命もない全てを自分達でやるしかないからな。〉


「それはどこだって同じだろう。」


〈因果律や超越者が操作する運命や奇跡は俺達には確認できないが、必ず存在するものだ。、、まぁいい作業を始めよう。〉




ボーマンの話からアルド達には冷却材を集めてくれとの要請があり、アルド達は冷却材となるものを探すことになる。


「使える物質が見つかりました。小惑星程のドライアイスです。これを投入すれば多少温度を下げられるかもしれません。」


「科学的な事は分からないから任せる。問題は無いのか?」


「ありません。大気に不要な二酸化炭素・水が多くなりますが、除去可能なものです。」


「分かった。それでいこう。」


材料となるドライアイスを宇宙船で持ち運び可能なサイズにレーザーでカットして、可動式アームで目的地に運ぶ。その後は目標地点に巨大なバスケットを設置して、そのバスケットに向けてドライアイスを放り投げるような作業が続く。


とにかく膨大な量が必要でその作業でそれだけで数日が経過する。


ちょうどその頃になるとボーマン達は核融合技術で太陽と人類が住む土台となる高熱の岩の惑星を作り上げていた。ボーマンによると太陽よりも惑星の大きさや重さが重要で特に時間を掛けたらしいがアルドにはよく分からなかった。


百熱の大地の惑星にアルド達はドライアイスを投入して温度を下げようとするが焼け石に水の様で、惑星を取り巻く環境はほとんど変わらない。百熱の大地の惑星はとても人類が住める環境とは思えなかった。


〈仕方ない。暫く環境を整えるテラホーミングナノマシンを散布して、惑星を冷やそう。〉


「暫く?一週間ぐらいか?一ヶ月か?」


〈いや、、確実に冷えるのを待ちたい。数億年放置しよう。〉


数ヵ月でも長いのに年単位で待つのは長過ぎる。そもそも数億年だと骨すら残らない。ラウラが何かをいう前にボーマンは訂正する。



〈勘違いするな。時間の流れは必ずしも一定では無い。戻す事は出来なくても、俺達以外をずっと速く時間経過させる事はそこまで難しくは無い。〉


ラウラは頷いて付け加える。


「次元移動が可能な艦には時の流れを制御する機能が備わっています。 もともと次元移動の時の時間の変動を抑えるときに使用するものですが時間を進める事にもある程度使用出来ます。」


「ちょっと待て、、時間の流れってのは体感じゃないのか?未来や過去に自由にいけるのならもしかして、、」


「非常に申し上げ難いのですが時間の流れは常に過去から未来へと流れていて、遡ることは難しいとされています。また特定の粒子も遡ることは出来てもそこは同一の世界ではなく〈螺旋状に存在する、その粒子が遡った世界〉となり、過去は確定された過去と未確定の過去の二種類が存在するというのが定説となっております。」


「??」


〈難しく考えなくても、未来には行けるが過ぎ去った過去には戻れないと考えておけ。だからこそ、俺達は様子を見ながらちょっとずつ時間を進めれば良い。数百年なら誤差だが次元外の影響も考えて俺の遺物を使ってこの区画を停止させ、次元内の時間だけを20億年程進める。≪神≫への介入を始めるまで、そちらは船体を有効範囲にまで近付けてくれ。〉


≪神≫への介入は本来行えるものではない。だがボーマンが持つ遺物≪コマンド・イブ≫は神に定められていない法則を≪下書き≫として追加することが出来る。


多次元に存在する意識がない超越者の身体を知的生命体・人間種の多数の仮想領域をテコに、観測可能な四次元ないし三次元に落とし込み、回収するのに1番重要となるのがこの遺物だった。


アルドの宇宙船はボーマンの宇宙船の側に移動して遺物発動の時を待った。変化は一瞬だった、宇宙船が振動すると同時に星の色が徐々に赤から茶色に変化する。そこからはほとんど色の変化は無かったがボーマンからの連絡があるまでアルドは待った。


時間にして数分。それがアルドにとって最初のタイム・トラベルだった。





生命の始まりは何なのか。


アルドにはこの惑星に生命が誕生するとはとても思えなかった。そもそもアルドが考える生命とは、個体が同じ生命を産み出して続く、鎖の様なもので≪その鎖の先頭≫がどうやって発生したのか知りもしないし、考えもしなかった。


アルドとボーマンは環境適用スーツを着込んで、環境が整った厚い真っ黒な雲と怒り狂う火山の惑星に降り立つ。すぐにでも豪雨に見舞われそうだがボーマンはそんな事は気にせずに会話を続ける。


「生命の誕生には環境、、いやすべからく生物にとって環境っていうものは1番重要なモノだ。昔の人類はこう考えていた≪進化論≫ってやつだ。何でも単細胞の生物が突如発生して、環境や突然変異によって進化して結果、人間という存在が誕生したという理論だ。」


かがんで地質を確かめているのか透明な容器に石を入れて、容器を左右に攪拌する。


「優秀な個体が生き残るってやつか?確か村の農家が野菜で品種改良していたな、、」


「根本的な事は、自然環境の中で何回突然変異を重ねても≪神の意識≫がなければ人には至らないという事だな。だからこそこの世界で俺達がすることは人類誕生の道筋を矯正・誘導することだ。」


容器のランプがグリーンから青に変わるのを確認するとボーマンは立ち上がる。


「先ず微生物、植物、動物、そして人。知的生命体の誕生はそれこそ何らかの意思によって出来ていた≪今回は俺達≫がその役をやる番だ。いや、、そもそもすべからく人は人によって造られる、人を作り・造り・創るのが人だからだ。」


話の内容が頭に入ってこないアルドは話題を変える。


「俺達は次に何をすれば良いんだ?」


「俺達の宇宙船には動物の遺伝子マップが多数ある。それを利用して人工生物をこの星に住まわせる。そのための環境作りって所だ。」


「海を作るのか、、母なる海っていうからな。」


「海は一番最後だ。そもそもそれほど重要でもない。言っただろ進化論は進化の方向性を示すもので真実ではない。とにかくエネルギー効率の良い酸素濃度をあげるか。微生物や植物を植えるか、、」


生まれたての惑星で今後何をすれば良いのか、そんな不安を覚えるアルドを他所に、計画は滞りなく進んでいくのだった。




2025/12/31 オービット・ガーデン→オービット・ボーマン

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