異次元収集家アルド 五章3話
寝落ちしてた。
同時進行の不思議倶楽部はアルファポリスに掲載しました。残りは先輩か、、。
誤字脱字気が付けば訂正します。
宇宙港には厳重な防犯体制が確立されている。それらは無人カメラや私服警備員や各種様々なセンサーで麻薬密売人、密航者、犯罪者、政治思想犯等を惑星バルカサに入港させないようにする為である。
数百のモニターと数百人体制の中央制御指令室に一体の〈オートマータ〉だけが入室してきた。オートマータは基本的に一人で行動をしないはずだが、そんなこともあるのだと職員は考えて対応に当たる。オートマータは国家特別監視員の手帳を局長に見せるとある一団の情報を求めた。
※オートマータは人の形を模したロボット。外見こそ人に近いが、内部構造はヒトと類似しておらず。アンドロイドとは違い生理現象等の不要な部分は無い。またメディカルマシーンでの治療を必要とせず。パーツ交換や記憶データ保存が容易で比較的安価なのが特徴。
「この黒い男と支援型アンドロイドの映像を拡大しろ。口の動きで何を話しているのかを知りたい。」
「駄目ですね。護衛ロボットで死角になっています。」
「音声はどうだ?」
「騒音と電波ノイズが混じっていて照合できません。」
無表情のオートマータであるが周囲に多少の苛立ちを対応した局員は感じた。だが自動人形に感情はない筈なので局員は気のせいだろうと受け流す。
「なら時間と回線から閲覧ページを割り出せ。」
「、、くっ。どうやらこのチビ、閲覧と同時に何か端末に細工しているみたいです、ものすごい数の閲覧記録が、、。」
「出来ないという言葉しか言えないのか?これは端末に大量のデータを送って、数百のページを見えないように同時に展開しているんだ。端末を操作すると同時にダミー情報を端末に表示させ撹乱するのが目的か、外部にある奴等の宇宙船と繋げてデータを抜き取っている可能性もある。ユーザーインタフェースを逆解析する。どけ。」
手首から通信用コードを引き出すと、メインコンピータに繋げる。数分程するとオートマータはコードをコンピューターから抜き取った。
「なるほど、、。」
「なにか分かったので?」
「時間が経ちすぎていて痕跡が消してある、、端末から情報を得ることは出来ない。だが二つ失敗したな。」
「?」
モニターに映った一般人を指差す。懐から携帯電話を取り出すと番号を入力する。
「時間があれば、情報を得ることは難しくはない。あぁ、俺だ。今から映像を送る、映っている一般人達の居場所を調べろ。俺達はこのまま、奴等の行くネットカフェに向かう【彼】も一緒だ、ボロ株の仕込みはどうだ?スパコンの準備をしておけ、別に株価を異常操作するつもりはない〈株価をほぼ動かない様に固定する〉だけでいい、回線速度はこちらの方が上だから上手く行く可能性が高い。損失はこちらが持つ。それ以外にも奴等が短期で儲けられる様なデリバティブ商品を一時的に━━」
話が終わり電話を切るとオートマータは礼も言わずに退出しようとする。職員はその時初めからの胸にあった疑問を口にした。
「あの、、彼等は、、、犯罪者なのですか?」
少しだけ振り向いたオートマータは無表情のまま答えた。
「【そうなる予定】だ。」
*
アルドとライバックは意気投合し、そのまま近場のレストランに入店し会話を続けていた。入り口付近の席にはレフト・ライトとキッドが座りよく分からない会話もしている。
「何でも屋っていっても探し物や人探しが殆んどだけどな。この惑星バルカサは色々な商品が集まる。中にはこの次元じゃ存在しないような超々科学の商品もあるから、それを求めてやってくる旅行者だっているんだ。」
「ナガレモノとか、次元移動できる奴等が多いって事か?」
「ナガレモノ?、、次元移動自体はそこまで難しくはないらしいからな。問題はポイントとなる点と点をを線で結べるか、だ。」
フィッシュバーガーを食べながらライバックはコーラをイッキ飲みしてそれを流し込む。
「かつて大勢の科学者が次元移動実験をしたがほとんどが失敗、惑星規模の被害を出していた。やはり他の次元の正確な位置掴めなかったからだろう。だが十数年に一度次元移動装置を持った流浪の民が現れることが判明し、彼等に他の次元への調査協力を以来して以来状況が変わった。」
「それで次元の位置を観測出来た、と。」
「そうだ。優秀な科学者やタコアシが協力して次元内ワープ移動を応用した〈人工のワープホール〉装置を作り上げた。ただ小さく瞬間的なワープホールですら莫大なエネルギーを消費しなければならない点では変わらなかったが、、」
例えるならアルド達が穴を開けて作った道を利用して、それを舗装して通りやすくすしたのだ。エネルギー効率はアルド側が遥に優れてはいたが。
「この惑星には変わった種族や物が多い。それはこの惑星バルガサ、俺達の足下の惑星に巨大な人工ワープホール装置があるからなのさ。」
※宇宙空間で巨大質量建造物を組み立てる技術は存在するが、地表での組み立ての方がはるかにコストが掛からない又事故などのリスク軽減の為。現在は重力がある惑星で人工のワープ装置を組み立て事が多い。
「ふーん。だから探しモノ専門の何でも屋か。」
「まあな。」
アルドはアンドロイドの生体部品について依頼しようとも考えたが、彼から情報が漏れる場合も考えて口に出さないことにした。それに今現在必要なのは資金を調達する方法である。
「能力者を探せるか?なるべく強そうな奴が良い、紹介料はどれぐらいになるかを知りたい。命懸けで戦ってくれる傭兵みたいな奴がいい。」
「ピンキリだな。強そうな奴っていったら〈灼熱使い〉モルタ・ガルタ〈剛力招来〉バサラ・ギサラ〈剣聖〉イチモンジ・ムラサメ。どれも一千万程。下は、、まぁ戦闘向きじゃなく微妙な能力者が数万位か。」
流石に赤字を垂れ流してまで、一千万の傭兵を雇いたいとは思わなかった。気になるのは安い傭兵だ。
「微妙な能力ってのは?」
「格安の能力者は一人だけ。〈引き寄せ能力〉だな。しかも発動条件が厳しい、①視認していること②右手で持てるモノで重量は一キロまで③一度能力者自身が手を触れること。④発動は一度、使えば丸一日能力は使えない。戦場じゃあ役に立たないし、犯罪ぐらいにしか使い道がない。何より能力者自身に重火器を扱った経験がない、、ハンドガンぐらいか、、。」
「ハンドカンか、、。」
ハンドガンで攻撃してもガルガンスに傷を与えられるとは思えない。少なくとも歩兵戦車、、ドラグーンとはいかないがオーガユニットが三体なければ圧倒は出来ないだろう。
「オーケー。じゃあそいつを頼む。」
「、、話を聞いていたか?」
「頭数が欲しい、格安のな。」
「肉の盾か、、。」
少し不機嫌になったライバックは呟く。倫理観は高いようで悪党ではないと判断するアルド。
「殺すつもりは無いが。それにこの計画は次善の策だ。仲間が大金を作ってくれれば━━。」
ハンドリンクに通信が入りアルドはライバックとの話を中断した。
*
「アーちゃん?投資の話は駄目かも。私が開発した株式売買ソフトをカフェの端末から経由して使っているんだけど処理が早くて、、多分これ介入されている。」
《介入?》
「国とか金融機関が株式市場に資金を投入しているってこと。この場合は政府になるのかな、私達の資金が干上がる様にしていると思う。」
《かといってグレー部分に手を出せば、後ろに手が回ると、、。》
「彼方の思惑通りにね。」
何故そんな事を知っているのか?
それは簡単だった。アルドは遺物を引き渡す際に事前に〈片道切符〉を使用して重要な情報をある程度入手していたからだ。
①アンドロイドの部品②敵の情報③祭典④敵の能力
先ずはこの次元にあると思われるアンドロイドの部品。確かに存在し、そして惑星バルガサにあるという事が分かった。細かな部品情報は良くわからなかったらしいのでデータのみだと思われる。
敵の思惑。つまりバルロ・クリューニの考えていること。単純に言えば彼は主という黒幕の部下であり、回収を命じられたに過ぎない。また調べる際に重要な〈祭典〉という単語がアルドに残ったという。
〈祭典〉については良くは分からない、何かを召喚する儀式であるらしい事とアルド達が部品を探す惑星バルカサで何かが秘密裏に進行しているということが分かった。
敵の能力について、バルロは〈能力結晶化〉カルバンとディーガは〈共有生命能力〉〓〓〓〓〓〓は〈〓〓〓〓〓〓〉である。
〓〓〓〓〓〓? ルル・ルリは何かを思い出そうとしたが、思い出せないのでそのまま考えを進める。
時間がなかったとはいえ、敵の目的が祭典と遺物にあると調べた事はアルドのファインプレーであった。短期間のうちにアンドロイドのソフトウェアを入手してこの次元からいなくなるのが賢明であるが問題はそこではない。
強制的ともいえる方法で奪われた遺物、返却を要求しても彼等がまともに返すとは限らないからだ。ルル・ルリの考えとしても何等かの工作での〈返却無効〉や〈保管継続〉を狙っているという予期していた。
今回の事で裏であちらが暗躍していることは想像に難くない。
「はじめの失点が痛いかな~あっちのホームグラウンドだし、若干不利な状況。でも利用できることもある、、」
はじめの交渉の時に彼等が遺物回収後に、アルド達を殺さなかった事で相手も一枚岩では無いことが分かる。〈遺物が返却されないのなら取り返しに行く〉事位は子供にだって分かる筈だ。
「何か他にも理由がある?」
ルル・ルリはNo.2が報告に来るまで資金を増やす方法と今後の展開を憂慮した。
*
吹き溜まりの様な場所は大小違えど何処にでも存在する。それは住民全てが成功者など存在しないからであり、敗者を糧として勝者が存在するからだ。
バルガサのスラム街ともいえる場所をライバックに連れられ、不法滞在者が多く住む街角まで移動する。
「バルカサには天国・地上・地獄が存在する。ここが地獄の入り口って訳だ。元々こうしたスラムってのは作られて老朽化した建物を破壊するのが勿体無いってんで、放置されているのを住民達が格安で買ったものなんだが中身は中々のものさ。」
荒廃した寂れたビル軽い歩調でライバックは進む。ビルの中は補強されていて外装よりはしっかりしていたが、やはり所々に経年劣化の痕跡が見られる。
ポストから鍵を取り出すとライバックはビルの一室に入り、来客用のスペースにある革製のソファーに座る。
「さて、話を聞こうか?」
「能力者を紹介してくれと先程言ったが。」
アルドもソファーに座り、呆れながらそういうとライバックは前屈みになり両手を広げる。
「〈引き寄せ能力者〉は俺だ。アンタがどんな人物か探りつつ、売り込もうと思ってな、言わなかった。職業柄、糞みたいな連中とも関わらんとならないからな〈客〉を選ぶのも仕事の内さ。」
「、、ガルガンスと戦いたい。勝率はかなり高いと思う。」
「オイオイ、先程も話しただろ?俺の能力は〈引寄せ能力〉、片手に乗るぐらいの軽い物しか引き寄せられないぞ。」
アルドは腰からファクトリーキューブを取り出すとライバックに見せる。
「これはファクトリーキューブといって、小部屋程の亜空間に物を収納できる機能がある。これを引き寄せる事は可能か?」
「うん?ああ、この程度の大きさなら可能だ。だが小部屋じゃ駄目だろう。ガルガンスを倒すなら、複数の戦車砲位は必要だし。」
「その通りだ、だからこれは呼び水だ。例えば株や物を動かす、〈テコ〉としてこれを使う。」
確かに戦車砲一台では火力が足りないだろう。なら〈複数あればどうだろうか?〉
「うちの技術者に召喚魔術のエキスパートがいる。この亜空間に召喚に必要な道具を収納しておき。コロシアム内部で召喚を行えばルールに抵触しないはずだ。」
ルールには外部から人員の補充をしてはいけない等の内容は書かれていない。なので〈それ以外、闘士達の行動に対して主催者側は異議を唱えないものとする。〉というルールが適用されるとアルドは主張する。
「ハッキリいえば反則スレスレではあるが、主催者も今後は新たにルールを追加して終わりにするだろう。破綻はしているか?」
「綱渡りだと思うがな。俺だって召喚魔術を聞いたことがあるだけだが、確か召喚には正確な魔術構成図を書かなければならないから戦闘中の召喚は良い標的だ。その間はどうする?」
「俺が前衛で食い止める、後衛は召喚の準備だな。後は後衛に魔術構成図を正確に描くための機材を取り扱いできるようにするだけだ。」
「話を聞くに俺は後衛っぽいが、、。」
「その通りだ。資金不足だから、闘士の数もそこまで準備が出来ない、〈初めは〉最悪2人で戦わなければならないと思うが頼んだぞ〈後衛〉。」
笑うアルドを見てライバックの顔が引き吊る。人数が少な過ぎることに焦りを覚えたのだろう。資金調達が出来なければ二人だが、最低でも三人が参加できる費用を明日までに工面しなくてはアルドとしても色々な意味で苦しかった。
「ちょっと待て最悪2人?!駄目だ!無茶苦茶だ!第一、傭兵と言っても、そんなのどちらかといえば自殺と同じだろ。数万のハシタ金で命まで掛けられるか!」
「言いたい事は理解できる、だが事務所の運営資金を賭博に突っ込む程に経営が傾いているなら他にも借金があるんだろ。惑星バルガサの大規模農場で働くのも悪くないが、これはチャンスだと思わないか?」
ガルガンスに勝てば二人なら600万だが、三人ならば900万SCの賞金がでる。アンドロイドのソフトウェアは725万、175万の差額がある。命とお金どちらが大事かは個人によるが、交渉できるかも知れないとアルドは考えた。
「準備はこちらが整える。ガルガンスの試合に参加したら50万、買ったら50万。合計100万支払う。召喚装置の使い方の習得に掛かる時間も1日5万SC支払う。これでどうだ?」
「100万、、、あんたが思う勝率は?」
口を尖らせて子供のようにアルドに質問する。
「9割位だと思う。俺の保証が欲しいなら10割勝てると言っておく、何せ死んだら俺を罵ろうが墓石が邪魔で聞こえないからな、高い勝率を言うさ。だが【集団自殺】するつもりはないからな。」
溜め息を吐いてヤレヤレと頭を掻くライバック。お金と命を秤に掛けてお金の比重が少しだけだが重かったらしい。
「どんな〈闘士〉だって戦う前は夜空の星になるとは考えない、俺達がそうならない保証はないが、、あぁ糞仕方ない!」
「支払いは試合の報酬入金後、SCカードで払う。」
「いや、、SCカードよりは〈高位光石〉にしてくれ。」
「高位光石?」
ライバックは胸のポケットから虹色の原石を取り出す。
「別名〈召喚石〉と呼ばれる石だ。分解したり変質させたりは出来ない強固に安定している物質で、魔石よりも高エネルギーを秘めているってだけの物質だが。最近価格が上がっているしカードより現物の方が安心できるからな。」
カードの利点は利便性だが同時にある問題が生じる。それはアルドが給金問題が発生したときに知った。
「カードを使う側〈利用者〉の情報が管理者に筒抜けだからか?」
「いや、それよりももっと切実さ。例えば政府が落ちこぼれの俺達を弾き出そうとしたら〈カード使用〉を停止させるだけで、この惑星じゃあ生きてはいけない。何をするにも買うのもカードカード、だからこそ生きるために従わざるを得ない。これは俺達を縛り付ける首輪だ。」
「人を管理か、、。」
「人間の管理、それはつまりは家畜化ってことだろ。俺は社会という檻の中にはいるが、家畜になるほど落ちぶれてはいない。」
ライバックなりの美学なのだろう。だからこそ貧民街に身を落としているのかもしれない。プライドや美学は時に持つ者に不利益をもたらすからだ。
アルドの脳裏に彼女の姿が甦る。
「程度の違いは有れど、誰だって俺みたいな失敗はするものなんだな。」
「失敗?人生は失敗の連続だろ。人の欲、業のなせるわざだ。失敗をしない人間なんざ何もしていない死人か、本人が失敗に気が付いていないだけだろうさ。」
「なるほど。」
昔を思い出したアルドはそれを振り払う様に視線を動かす、そしてたまたまテーブルに置かれた高位原石に目が向かう。
「話を戻すが高位光石はこのバルカサではどこでも使えるのか?高位光石を一般人が売ってSCにするのは違法か?もっと高級な光石は持っているか?」
「難しいところだが、個人売買なら大丈夫だろう。通貨ではなくあくまでも価値のある物に過ぎないからな。光石については金欠だからコレが持っている最後だ、だがこれだってルート次第じゃ10万で売れる、俺にとっちゃ最後の資産だからな。」
敵側にカードを抑えられた時に逃げ道として今のうちに手を打った方が良いかもしれない。アルドは掌に書かれてある事を確認するとライバックにアルド達の宇宙船への使いを依頼する。
「俺はやることがある。連絡はしておくからファクトリーキューブを宇宙船へ持っていってほしい。そこで召喚魔術の扱いを学んでくれると有難い。あと、、オートマータのキッドもライバックについて宇宙船へ行ってくれ。その方が安全だ。」
ライバックの横で立って話を聞いていたキッドははじめからそのつもりだったのか躊躇することなく頷いた。
「何とか首の皮が繋がったみたいだ、さて忙しくなるぞ。」
*
翌日バルガサに残るのはアルド、コウモリとレフト・ライト。残りは停泊する宇宙船に向かった。宇宙船では早速対ガルガンスの武器等と召喚に必要な魔術道具を準備・開発が始まる。
週末イベント最終締め切りは午後17時。翌日9時からガルガンスとの大規模戦闘が始まる。アルドもイベントに参加するため資金調達を行った。
「これを売りたいんだが。確か一つ50万はする筈だ。」
アルドが取り出したのは高位光石だ。これはライバックの持っていた高位光石ではない、アルドがキチンとした店で買った〈高位光石のコピー〉だが果たして売れるのか。コピーズリングを親指と人差し指で撫でると、アルドは無愛想なデビール人の表情を伺った。
「鑑定機に掛けて純度を調べる、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だ。」
魔石では可能だったが、高位光石は本物と遜色がないモノか調べる方法がない。もし偽物だとなればどうなるのか、アルドは内心ヒヤヒヤしていた。
キュイィィン、カタカタ。
無口、、あまりにも無口なデビール人のトカゲ顔を見て不安になるアルド、もしかしたらこの待ち時間にどこかしらにあるボタンを押して現地警察に連絡をとっている可能性もある。
「、、良い天気だな。」
「、、ステーション内で雨は降らないぞ。フム、駄目だな。」
「駄目とは、、!?」
「いや〈純度〉が低くてな30万ほどの価値しかないぞ、いくぶん安物を掴まされたな。」
「30万、、。全部で90ってことか?」
「、、暗算が出来るようで安心したぞ。その通りだ人間。」
「換金をたのむ。」
「、、変わった奴だ。」
店の人間から見れば60万損した人間だが。実際は90万-50万で利益は40万である。そして今後1日90万以上の収入を得ることも可能だということが分かったことはかなりの朗報である。
後で知ることになるが、この高位光石はアルドが売った一つで歩兵戦車一台分のエネルギーが含まれていた。これによってアルド達の召喚効率が飛躍的に上昇することになる。
ホクホク顔のアルドを横目にコウモリは呟く。
「上手くいったようだな。」
「最低でも三人の参戦は必至だったからな、これで死亡リスクが低くなる。俺と〈コウモリ〉が前衛だが、コウモリには〈全滅の保険〉としても働いてもらいたかったんだ。」
「、、?前にも言ったように私は能力者の体を使っているから能力者だぞ、、。だからあのライバックという男が試合に参加するのならルールでは出られなくなるだろう。」
「、、、そうか。そういえばそうだ。」
アルドは金策の事で頭が一杯だったからか、コウモリの身体や超能力の事を半分忘れていた〈アルドにとってコウモリは能力者というより戦士に近い為〉。それはつまり新しく人を雇うか、※アンドロイドのラウラかルル・ルリを参加させなければならないという事だ。
※ドールは機械に分類され参加資格はない。
「ラウラは宇宙船が襲われたとき時に臨機応変に対応してもらう指揮官として宇宙船にいてもらわないと、、いや、短時間なら大丈夫か?支援型のルル・ルリにガルガンスとの戦闘は無理だ。」
結局参加者はアルド・ラウラ・ライバックになる。
三人ということもあり、受付のストーン人に驚かれたがルールで参加者は8人以下なのでそのまま受付が完了したのだった。
*
*
バルロ・クリューニの前には大きな神殿を思わせる建物があり、カーテンに仕切られた玉座の間には複数人の人影が存在していた。
「バルロ、、遺物は持ってきたのだろうな。」
「はい、こちらに。」
カルバンとディーガが持っていたアタッシュケースを引ったくるように奪い取ると彼等の手下が中身を確認する。手下はそのままアタッシュケースをカーテン越しの人影の前に差し出した。
「、、今回はご苦労だった、相手はどのように処罰したのだ?」
「今回の任務は遺物の回収にあると考えましたので、放置しましたが、、、。」
「殺さなかったと?貴様に多少の知恵があれば殺す以外の選択肢は無いだろう、何故殺さなかった?」
「遺物の完全掌握のためです。特に中の《次元砲》と呼ばれる遺物は危険すぎますので。」
フン、と嘲る複数の人影。
「我々とその一行とを戦わせて漁夫の利を狙おうという算段ではないかな?《次元砲》?伝承によれば追尾機能が付いたレーザーだろう。貴様は遺物を無闇に恐れすぎているだけだ。」
「、、、。」
「我等守護神降臨の為の計画は着々と進んでいる。この遺物をこの【サードアイ】の神器にし、今後の憂いを絶つために〈持ち主〉を彼の地へ送るのだ。」
バルロの中では〈主の言葉〉は絶対である。〈主の言葉は彼等に協力する事〉つまりは彼等の行いこそがバルロの信仰そのものだ。
すぐさま大艦隊を惑星バルガサに向けて出航させるバルロの内心は揺れているのだった。




