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異次元収集家アルド 四章7話

ラウラ


トップが存在しなくても機能する組織は強いです。優秀な指導者一人に頼った組織はいずれ崩壊します。


もし圧倒的な兵力差がある敵と戦わなければいけない時、優秀な指揮官のみを狙い撃ちにするのは効果的な作戦です。勿論戦わずに勝利することが一番優れた作戦でもありますが。


************************


広く赤い絨毯と調度品が飾られた応接室でアルド達はパルスから話を聞くことになった。ナガレモノを入手した経緯をである。アリサとパルスとメーターはソファーに座り。アルドとラウラは聞こえる位置で立ち聞きをする。


「あれは10年程前だったか、、オークションで〈七色スフィア〉というナガレモノが出品された。効果はー、、そう魔力を吸収して無力化するというものだったか。美しい宝石であった。」


「ケースだけの理由は、パルス閣下が落札されたのですよね?」


アリサの問い掛けにパルスは苦悶の表情を見せる。


「もともとは七色スフィアとケースのセットで出品されていた物だ。しかし不幸な事故があってな、落札できなかった。ケースは数年後に再度オークションで出品されたのを落札したのだ。」


「、、、」


パルスは少しノドが乾いたのか、コップに注いである紅茶に口を付けて、少しだけ声のトーンを落とす。



「〈七色スフィア〉を落札したのはマフィアのドンだ。〈ドン・ガンビアス〉、密輸武器、、つまりロウマール帝国で製造した火器を売るのが奴の仕事だった。」


「武器集めが趣味だから落札したの?」


首を振るパルス。


「いや、、よく分からない。そうかもしれないが違うかもしれない。もともとガンビアスファミリーの首領は顔すら分からない謎の多い男で、名前だけが知られていた。オークションに顔を出した者も別人だった、だがやつの狙いなら分かるだろう?」


アリサが後ろを見るとアルドとラウラはパルスの言葉にようやく納得したようだった。


「お嬢様。ガンビアスはロウマールの火器を売っていた。そして〈魔術を吸収する七色スフィア〉を購入したのですよ。ガンビアスファミリーは多分当時主流だった魔術に対抗する為に〈七色スフィア〉を落札したのです。」


「魔術による暗殺が怖かったのね、、それを防ぐために、、」


メーターがアリサの顔を覗く。


「えっと、アリサさん。ですから物理的な対抗ではなく、商売としての対抗ですわ、、。私がマフィアなら、有名な魔術師を〈火器〉で殺してしまいます。だってスフィアを使えば〈魔術の使えない魔術師〉になるのですから。誰だって扱えるもので有名な魔術師を倒せるというアピールになります。そうすればマフィアが扱っている商品もー」


「でもそれだけで売れるかしら?」


「宣伝の巧みさ次第と思われます。仮にマフィアが七色スフィアを使い〈火器〉の力を奮っても、魔術ではない武器の〈火器〉ならば条件は同じ、対抗できると皆が思えば。」


その仮説に同意するパルス。


「実際にマフィアの凶弾に倒れた魔術師は多かった。マフィアは当時有名だった魔術師達を火器を使い殺し始めた。始め値段が高かった火器だが、それに伴って火器は爆発的に売れたよ。マフィアを倒すための、マフィアから身を守るための武器がマフィアの収入源になるのだから皮肉が効いている。」


それからパルスが話したのは火器による犯罪の増加とマフィアの暗躍、貴族達とマフィアの黒い繋がりだった。始めパルスの元にも何度かマフィアが現れて取引を持ち掛けられたが断ったらしい。これは貴族の誇りではなく、当時はまだギリギリ生活出来ていたのとバレたら縛り首になるという保身のためだったらしいが。


「、、まぁ、だがもう手の施しようがない。隆盛の極みのマフィアとそれを取り締まる衰勢の貴族。メーターの友達である貴女にはこんな話をして申し訳なかった、忘れてくれ。」


アルド達一行は交渉の条件が全て整ったことを感じた。


「えーっ、コホン、パルス閣下。実は我々、このブレスレット型のナガルモノを探しておりました。〈只の〉ケースとはいえ、ナガレモノはナガレモノ。私のコレクションに加えさせて頂きたいのです。」


「、、フムウ。」


パルスは考えているのだろう、いくらで売れるのかを。実際は金貨2000はしたものだからそれを下回るのは勿体ない。逆にアルド達に金貨の余裕はなかった。パルス個人としてはダイアは好きそうだが今欲しいのはダイアではなく兵士を雇う為の金貨。ダイアを金貨にするにはかなりの労力・時間が必要になる。


「、、私達のゴーレムなど如何ですか?閣下は先程からマフィアに対抗する力をご所望のようです。アルフィーのような犬型のゴーレムを、、なんだっけ?、、えーそうですわ15体と交換では?」


高性能ゴーレム15体と交換、パルスは打算した。2000と考えて133枚、、ゴーレムによって300人の憲兵を何人解雇出来るか。憲兵は1ヶ月に金貨2枚、年間24枚100解雇すれば、元は十分、いやまてそれだけではない。他の貴族にゴーレムをレンタル出来ればそれ以上の、、ハッキリ言えばボロ儲けではないか。


「いかがですか?」


「ぜひっ、、ゴホゴホ。いや暫く、、このブレスレットは私が七色スフィアを手に入れたとき収納するための大切なモノでして、そう簡単に交換など。」


アリサはパルスの下心を知っていたが後ろを振り返りアルドに意見を求めた、これは勿論演技である。


「お嬢様、パルス閣下はお気持ちが堅いようです。これ以上のゴーレムを使った取引はお父様にお叱りを受けるかも知れません。」


「でも欲しいのよね。これで最後にするからさ。」


その言葉を聞いてパルスも姿勢を正す。これ以上は交渉そのものを打ち切られる。そもそも現時点でも破格の取引であるのだ。


「閣下、ではゴーレム20体では?これ以上は持ち合わせがございませんの。」


「ムムム、、分かりました。娘のご友人無下には出来ません。しかしゴーレムなのですが耐用年数などは?」


「5年は保証します。」


「ではその間にもしも壊れた場合の負担はどちらが持つのですか?安く修理などは出来るのですかな?」


ドールは使い捨てだ。修理するよりも安上がりだし〈製造機〉に入れれば再度新品同様になる。多少の時間と材料のロスは存在するが目を瞑って良い程度だった。


「保証はありませんわ。使い捨て、壊れたら廃棄してください。」


「、、、では最悪翌日に壊れても修理はしないと。」


がめついパルス。アルドとラウラ、アリサですらもう少しパルスは〈貴族〉らしく高楊枝を咥えてもいいように感じたが。やはりお金の力に勝ることはないのか、と仕方なく最後の手札を提示する。


「仕方ありませんわね。ラウラ。」


「はいお嬢様。」


ラウラが取り出したのは今朝まで作っていた拳程のダイアであった。美しくカットされていて、その価値がどれ程になるのか想像も出来ない。


「ではこれを担保にしましょう。もし五年以内に一体でも壊れたのなら、こちらを差し上げますわ。ハッキリ言えば価値としてはこちらのダイアの方が高いと思いますがスター・ライト家の名をこうも疑うのであれば、この宝石を賭けましょう。」


「じ、、自信がおありの様だ。」


ゴクリと生唾を呑み込むパルス。口を真一文字にし不機嫌になったメーターはすまなそうに、アリサに謝罪する。


「お父様は、宝石が好きで、、それに気分を害されたのならスイマセン。長く困窮していたので、なるべくゴーレムが壊れないように扱うことを約束いたしますわ。」


「、、ええ。では契約書を作成しますのでパルス閣下宜しいですか?」


「おおっ、それは手回しがいい。こちらも専属の法律家を呼びます。後は彼等に任せましょう。」





書類はラウラが作成、内容はパルスの用意した法律家が確認する。アリサ・スター・ライトとパルス・ディサイ・ムーは書類にそれぞれサインをして契約は滞りなく終了した。


「いやぁ実にめでたい!このムー家とライト家の繁栄に!」


食堂にはアルド達一行とムー家の面々が集まっていた。


アルドはアリサから手渡されたブレスレットを右手首に嵌める。ブレスレットは〈ワンオブザワールド〉の付属物だが、重要なものだった。中身である七色の魔吸からエネルギーを取り出し、科学系の遺物や機類にエネルギーなどを転換・供給できるバッテリーの様な役割を果たす事ができる。


また極端な魔法系の次元に行く場合、範囲内であれば科学的な遺物が使える空間を作り出すことが出来るのも、強みだった。これがないとナノ・ハートが機能しなくなり、アルドの死に直結する。


「パルス閣下、七色スフィアは現在もドン・ガンビアスが所有しているのですか?」


アリサが食事に手を付けないのは、身分がバレるのを防ぐ為と色々気を回して疲れてしまって食欲が無いためだ。食事が出来ない暇な時間を会話で紛らわすのが目的だった。


「分かりませんがその可能性は高いと思います。しかし所有者のガンビアスの顔が分からないのでは探すのは困難でしょう。」


「そうかしら、この街にあるのなら簡単に見付かると思うけど。」


アリサの発言にパルスは頭を悩ませる。


「確かにマフィアが持っていると仮定すれば、マフィアのアジトをしらみ潰しに探せばいつかは見付かると考えますが。」


「お父様、アリサさんの手伝いは出来ないでしょうか?」


「手伝い?」


メーターは食事する手を止めて、父親に向き合う。


「これだけの事をしていただいたのです。それをお返しするときでは?現在マフィアはこの街に巣くい人民に害悪を撒き散らす存在。捨て置けません、これも乗り掛かった船というものですわ。」


「確かにゴーレムの事もありますし、アリサさんがこの街にいるうちに性能を調べておいた方が後々面倒がなくて良いわ。」


「お母様!」


アルドは会話を聞きながら考える。確かにマフィア達から〈ワンオブザワールド〉を回収するために多少、マフィア側を混乱させた方が交換も上手く行く筈。しかし、共同でマフィアと戦えば、身動きが制限される。パルス達との連携は結論が出てからでも遅くはない。


パルスは娘と妻に説得される、しかしパルス強情でマフィア鎮圧の危険性について訴える。


「だから、、現在、我々とマフィアの戦力差は目を覆いたくなるほどなのだ。このまま正面から攻めたのでは奴等は必ず反撃してくるぞ。そうなればこんな屋敷など跡形もなく吹き飛ぶ。文字通りにな。」


「こういう時の貴族会議でしょうに、治安維持を任されている貴族達を常勤非常勤問わずに、参加したという連名を掲げれば。攻撃箇所を分散させる事も出来ますわ。」


「だから、それが上手くいったとしても無理なのだ。それこそドン・ガンビアスという首領を捕らえ、奴等を混乱させて跡目争いで潰し合いをしてもらわなければな、我々の命がない。だから考え直して欲しい。」


アリサずっと我慢していた事を告げる。


「だから、私ならガンビアスの位置が分かるんだって!七色スフィアってやつを持っていればだけど。」


「どういうことですの?」


「七色スフィアは魔術を無効化するんでしょ、なら空間全体に魔術を展開させれば、魔術を無効化された空間がポッカリと浮かび上がるでしょ。こういうのはマジックセンスの応用で意外と簡単に魔術構成図が作れるわよ。魔術師なら簡単に思い付くし、一般の人も少し考えれば、気付くでしょ。」


確かに魔術師なら簡単に思い付く、だが一般人のアリサが何でそんなに詳しいんだという疑問を含むムー家の視線、アルドは思い付いた虚偽を並べる


「お嬢様はナガレモノだけでなく魔術にも興味があり。有名な家庭教師にあのガランドロスの一番弟子の教えを受けた事もあるのです。」


「あのガランドロスの?!一番弟子でも凄いのでしょうな。」


「えぇ!まぁ、あの爺には色々と教わったわね。」


話の道筋は決まった。


「ではアリサさんがドン・ガンビアスの居場所を突き止め、我々がその拠点を抑えるという事で宜しいですか?」


「構わないが、、だが、、反撃で、、」


パルスはこの屋敷にいるのが不安らしい。


「ああっ、もう!なら変装でもして私の泊まる高級ホテルに騒動が終わるまで居れば良いじゃない!この屋敷は私が管理するから。勿論、いつでも交換に応じます。誓約書でも何でも持ってきなさい。」


漢らしいアリサの発言。パルスはおおっ、と少しだけ乗る気になったようだ。アリサは更に続ける。


「七色スフィアは当然、閣下が所有しても私は問題ないと考えます。しかし個人で持つのは多分止めた方がいい。あれはマフィアのモノ、そうマフィアが考える内は持つだけでマフィアに狙われるので。」


「た、、確かに、、」


「では、作戦は早い方がいい。私が魔術構成図を考えるのに大体1日、探索に数時間。閣下はその間出来るだけ署名を集めること。作戦開始前にパルス家の方は変装をしてホテルに隠れ、我々はここに留まります。そちらにはラウラを付けますわ。」


「畏まりました、お嬢様。」


「アルドはゴーレムの調整という名目でここに残ったことにすれば辻褄が合います。」


「分かりました、お嬢様。」


「ちょっと待って頂きたい、こういった作戦は1ヶ月なり何なりの期間を置いて準備万端で行うものなのですぞ。それを1日半とはかなり強引では?これでは貴族会議全員どころか5~6人が限度ですぞ。」


勢いに乗ったアリサはもう止まらない。それがどうしたのだという凄みが出てくる。こうなったら誰にも止められない、それがアリサ・スターライトという魔術師だった。


「数が多けりゃ良いって訳じゃないでしょ。閣下もおっしゃった〈貴族にもマフィアの味方がいる〉と、重要なのはこちらの作戦が外部に漏れないことです。」


真っ青のパルスとは対照的に、その苛烈ぶりにメーターは目をキラキラさせ尊敬の眼差しを強めた。もしかしたら彼女の中、アリサの存在や生き方が今後の彼女に大きな影響を与えるかも知れない。


「それに今回は署名が重要なのであって、治安部隊を編制することではありません。署名ならば、閣下からAに、AからBと倍々式に増やすことが可能になります。私の計算では上手くいけば50人前後の署名が可能です。さぁ、お尻を上げて今すぐに始めてください!」


剣幕に押され食事中にもかからわずにパルスは署名集めに出発した。アリサは自分もスフィア回収用の魔術構成図を作るために立ち上がる。


「アリサさん!客間が空いておりますので、そちらをお使い下さい。」


「ありがとう、メーター。」


立ち上がるとアリサ早速、探索用の魔術構成図の製作に取り掛かった。




ー1日後ー


パルスはなんと20人もの署名を集めていたが、それ以降は数が集まらず結局全体で40人の署名に止まった。しかも、貴族の署名だけで、動員される治安部隊はほぼパルスの私兵である。


「あああっ、兵士が足りない!足りない!これでは攻める以前に返り討ちだぁ。」


頭を抱えて悲鳴をあげるパルス、どちらかというと自分の叫びで皆が心変わりしてくれないというアピールでもあった。


「お父様しっかりしてください、その為のゴーレムですわ。」


「パルス様、微力ながら我々もおります。」


周りはもうやる気満々、中でも警備隊長のシュワルツは自信満々だった、腕に装着した鯨骨のブレスレットがパルスの目に留まる。


「これはゴーレムに命令するために必要なものでして、あのゴーレム達はかなり優秀です。もしかすると一体で兵士30いや40に相当します。火器も体が鋼鉄製なので銃弾で倒れることもありません。後は首領の位置さえ分かれば。」


「うう、あ!そうだ。罪状がない!ドン・ガンビアスを捕らえるだけの大義名分がない。ここは都市の警備強化だけにー」


「大丈夫ですわお父様、ここは別件逮捕で検挙しましょう。アリサさんは確か人力車をマフィア達に荒らされたとか、他にも沢山の方が被害に合われています、それらを罪状にすれば理由に事欠きませんわ。そして屋敷や隠れ家には必ず密輸武器か麻薬があるはず、これでドン・ガンビアスの罪状は武器密輸・麻薬等の主犯、打ち首決定ですわ。もし初めから相手が逆らうのであれば、、当初の目的通り、力と力のぶつかり合いになりますわね。」


パルスは尚、食い下がろうとするがー


「ああっ、アリサさん!」


アリサが二階の客間から出て中央ホールに来ていた。アリサの左側にはいつも通りアルドが護衛に当たり、後ろにはレフト・ライトが護衛につく。


「パルス閣下、魔術構成図が完成しました。これより魔術の儀式に入りたいと思います。お庭をお貸し頂いても?」


「はははっ、もうですか?!なかなかにお早い。ずっと魔術を考えておられたと聞いています、疲れているのでしたら今日は休まれては?徹夜明けでは体が持ちませんぞ。」


「心配は無用ですよ閣下。こう見えても、このアリサ・スター・ライト、三日ならば眠る事などしなくても平気です。」


「アリサさん。私が案内致しますわ。」


メーターがアリサを庭へと案内する。レフト・ライトの視線の先にはアリサがいた、アルドはそれに気が付く。


「どうした、何かあったか?」


「アリサスターライトハ、タイダナソンザイダトオモッテイマシタ。シカシコンカイハチガイマス。ナゼデスカ?」


その言葉にアルドは苦笑する。どうやらアリサが今回の事を言い出した原因がドール達とようやく理解したらしい。


「人は皆怠惰さ。だがアリサはああ見えて、しっかり仕事をするタイプだ。今回も別件を任せていてな、仕事にはそれぞれの役割があるんだよ。お前たちは清掃や護衛、俺は艦長や物資の調達、ラウラは皆の調整係、アリサは魔術に関する仕事。今までは魔術の出番がなかった、今回は奴の本職の魔術だからな。」


「、、ナルホド。」


「見せてもらおうぜ、本職の実力をさ。」




「今回の探索の魔術構成図の形態は2種類ね。ひとつは魔道具にする事、持ち運びや誰にでもすぐに探査の魔術が展開できるのが強み。デメリットは魔術構成図作った後に、魔道具にそれを転写するから作るまでに時間が掛かる事。もうひとつは従来通り仮想領域に魔術を展開させる方法。魔術構成図だけだから完成が早いのが強み、デメリットは複雑な私専用だから私以外が覚えるまでに時間が掛かる。」


「今回はどちらですの?」


「今は時間がないから、作るのが早い従来通りの魔術構成図にしたわ。ラウラ、持ってきた?」


今まで庭にいなかったラウラが手に4本のスタッフを持って現れる。メーターは魔術にあまり面識が無かったため気が付かなかったが、出力の高いスタッフで儀式魔術を使うのは相当な集中力を必要とする。それは〈上級魔術師〉でも難しいので通常は儀式用のワンド使用するのだが、その技術力の高さにブリジャーノックに住む人間が気が付くはずもない。


ラウラはアリサにワンドを渡すと、数枚はあるだろう大きな地図をアリサの前に拡げ始めた。宇宙船で撮った航空写真だ、それは格子状に区切られアルファベットA~Kと数字1~12が記入してあった。


「マジックセンス・アウェー・アンド・リユーズ・オート!」


アリサはスタッフを振り上げると、その杖の先から光が飛び出して北西の空に消える。そして暫くすると再び杖の先に光が灯り、今度は南西の方角に消えた。南東、北東へと次々反時計回りに魔術を展開させていく。


「A-1は反応なし、、A-12も反応なし、、K-1反応なし、、K-12反応なし、、B-1反応なし、、B-12反応なし、、」


二十秒間隔で言われる箇所のスペースに赤い筆で×を付けるラウラ。度重なる魔術の行使によりアリサの額からは大量に汗が流れるが、構わず続ける。二十分程続けると流石に辛いのかペースが遅くなる。しかしアリサは構わずに続ける、ここで止めれば倒れれば全て振り出しに戻る可能性がある。


アリサの汗を拭くメーターの視線は真剣だった。それを見守るアルドとレフト・ライト。


「H-3、、反応なし、、C-4反応、、なし、、D-8、、あ、、【当たり】。、、l-6、、反応、、なし、、G-3、、反応なし、、C-5、、は、、ん応なし、、」


「どうやら、見付かったみたいだな。ルル・ルリ、多分D-8だ。監視を頼む。」


《ウン。監視を開始するね。でもマフィア関係者らしい馬車は今出払っているかな?一台もないよ。》


「構わない。人が持ち歩いているのではなく、建物の中ならこの後も反応はするはずだ。そっちの方が楽で良い、乱戦にならないからな。」


《オッケー。》


D-8区画に確定するのはそれから2時間後、それまでにパルスは捜査令状を作り、突入の準備を進めるのだった。






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