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異次元収集家アルド 四章 6話

ラウラ


坊っちゃん、直感というものは存外馬鹿に出来ません。それは今まで生きてきて経験が累積し、塵のように積もった何か見えない要素が直感だとラウラは考えるからです。


考えずに数秒で決めた事が、考え抜いた末に出した結論を上回るという人物がいます。


そういった人物がいたときはー



***********************


「何か用か?」


マフィアを前に動じないアルドは凄む、マフィアのリーダーらしき男がゴロツキの間から現れる。年はまだ若くアルドとそう変わらない、ネズミ色のスーツに赤いマフラーといういかにもな格好。


「申し訳ありませんね、実は馬車の車輪が壊れちまいましてね。」


「、、、」


多くから見ると車輪を外すマフィアの手下が見える。アルドは凄みをまして警告する、こうゆう手合いに弱い所を見せると格下だと思われて攻撃される切っ掛けを与えることになる。結果的に護衛の自分が強く格上だと思わせた方が戦いを回避できるのだ。


「俺達の人力車の近くにいる一般人みたいなのもお前らの仲間だろ。囲んでおいてそれを口にするのは、頂けないぞ。言っておくがお前らじゃ返り討ちだ。やるならやってみな。手加減はしない。」


離れていてもアルドに正体を見破られる時点でチンピラかゴロツキ程度と分かる。空中で護衛するルル・ルリの援護すら必要ないと思われた。


「わかってもらえねぇのは残念だぁ。まぁ1~2分で直る。」


リーダーが顎をしゃくると周りの気配が消える。


「レフト・ライト、魔術での狙撃の注意をしろ、遠くから狙う場合もある。道路の真ん中は良い的だ。」


「リョウカイ。」


周りを見張る三人(ロボット含め)一番安全なのは人混みにいることだ、だが人力車の中にアリサがいる以上迂闊には動けない。そうしているうちに1分が過ぎマフィア達は何事もなかったかのように、馬車を走らせていなくなった。




「目を付けられたか、それとも不味いと思ったか、、レフト・ライト、そのまま行ってくれ。」


アルドは最後まで相手の馬車の方向を見続けると、人力車に入る。そしてハンドリンクから宇宙船のルル・ルリに話し掛けた。


「先程の男たちの馬車をそこから監視できるか?」


《大丈夫だよ。位置情報を記録しておくね。あともしあのリーダー格の男や手下が怪しい動きをしたらが連絡するから。》


通信を切るとアリサが聞いてくる。


「黒なの?白なの?」


「ありゃ真っ黒だな。」


本当に車輪が壊れたかの真偽は関係無い。


〈偶然に目の前で馬車が止まる〉事、〈偶然にこの人力車を囲むチンピラがいた〉事、服から見えたガルンゼルでは珍しい火器や刃物の類い、そしてリーダーの合図で引き上げた事を総合した結果、間違いないとアルドは考える。そうした集団にいきなり襲われれば面倒だ、馬車や男の位置情報を教えてくれるそうだが、他に何人いるかわからないのであまり期待はしない方がいいだろう。


「ホテルに戻った方が良いんじゃない?」


「さっき出たばかりだし、一回オークション会場を見てみないか?情報収集だな。」


二人とも何かを期待していたわけでは無かった。


しかしー





年は十五、六であろうか。白いドレスと花のアクセサリーが印象的な天使のような少女である。黒く長い髪はサラサラとしていて、貴族の娘というのも納得であった。


「私の名前はメーター・ディサイ・ムー。よろしく。」


オークション会場の入り口を入ってすぐに、いきなり共通語で話し掛けられて戸惑うアリサ、それでもぎこちなく返答する。


「あっ、アリサ・スターライトよ。よろしく。」


アルドは作戦の失敗を確信する。本名言っちゃったよコイツと。このガルンゼルでは貴族は名前・爵位や称号・名字が基本である。アリサ・スターライトでは貴族ではなく、只の一般人であった。メーターもその事に首を傾げる。


「あっえっと、アリサ・スター・ライトさんね。平民の方だと思って、驚いちゃった。貴族から先に平民に名乗るなんて恥ずかしすぎて、、そんな平民、ど阿呆過ぎていませんわね。」


「あははっ、本当、、ね。」


アリサは笑って誤魔化す。言葉遣いや仕草から、メーターは見た目と違って親しみやすい貴族のようだった。


「声をお掛けしたのは、こちらのゴーレムが気になってしまって。これはアリサさんのゴーレムなの?触ってもよくて?」


ゴーレムはアリサ越しにアルドを見る、アルドは軽く頷くとレフトとライトは直立不動のまま固まる。


「良いわよ。私に従順なポンコツだから。この前なんて船にいた〈大切なお客様〉に粗相をしてね頭に来たわ。でも私は許すことにした、私は心が海より広いから。」


一人笑うアリサを無視し、メーターはレフトとライトの体を叩いたり、触ったりして調べる。ロボットに興味があるのか?とアルドはその行為を眺めていると、突然メーターがアルドに話し掛ける。


「この体の素材はなに?鉄?」


「鋼鉄です。表面はコーティングされていて錆び難くなっています。動力は渦状球型エンジンで、電気というもので体を動かしています。可燃性の物なら何でも燃料に出来ますが、最も効率がよいのは魔石です。」


「なるほど、、耐久年数は?」


矢継ぎ早に質問され、戸惑うアルドだが


「数年~20年程ですか。大事に使えばもっと持つかもしれません。、、すいません俺も説明書を見た程度なので。」


「よい。アリサさん。これはどこで誰が作ったのかしら?」


「えーっと、それはぁ。」


考えるアリサだったが、アルドの方が詳しそうだとメーターは視線を外す。


「私は武器に興味があるの、強力なのが良い。前不況になる前はいっぱいそうした武器がこのブリジャーノックに流れてきた。でも今は駄目ね、宝石とか美術品とか無駄なものばかり。」


貴族の娘が何故そんなにも武器を求めるのか、只の趣味なのかそれとも他に理由があるのかアルドは考えを巡らす。


「なに。武器とか好きなの?確かにカッコいいもんね。」


少し驚くメーターだったが、アリサの言葉に同意する。


「武器は力の象徴だから、やはり力が全てなのよ。じゃなければこの街をマフィア何かに好き放題されてないわ。」


「、、、」


この街ではマフィアがかなりの力を持っているらしい、メーターの会話の端々からそれが感じ取れた。国の中枢部にまでマフィアが関わっていると、揉め事を起こした場合後ろに手が回るのはアルド達の方かもしれない。


「だからコイツらみたいなのが欲しいのね。よし分かったわ!私に任せて!!」


確かにここで繋がりを持つのも悪くない。もしドールを受け渡す時に彼女の家に行くことができれば、家主である貴族パルス・ディサイ・ムーに会える機会があるかもしれないからだ。


「ほっほんと!」


メーターも喜んでアリサに感謝する。アルドはアリサに横から耳打ちをする。ドールは人造人間の製造機から生産されるが、おまけとして様々な動物タイプも選べる※但し、能力はあまり変わらないし、雑務や兵器を扱う事が多いため人型以外を選ぶメリットは少ない。多少素早く、力が強いことぐらい。


「どのようなゴーレムにするの?」


「えっそんな事も出来るの?でしたら番犬の様に強くて大きなものが良いわ、、でもお高いんでしょう?」


その言葉にアルドは仕方ないと助け船を出した。


「お嬢様のお友達ということでしたら、無料で差し上げてもよろしいと思います。ただ人目に付くと色々と面倒なので場所は広くて一般人やマフィアの目の届かない所でないと、、」


「それなら私の屋敷が良いわ。それに親に友達を紹介したいし。」


上手く誘導できたことにアルドは内心小躍りした。友達と認めるだけで〈ロボット〉を無料で手に入れられるのだ、口だけでも友達といっておいた方がメーターも得だろう。




〈アーちゃん、人力車に何かされてるよ。〉


立ち話も何だろうと座って話をしていた直後の事だった。ルル・ルリから突然連絡が入る。レフト・ライトにはアリサの護衛を続けろと指示をだす。


「お嬢様、暫く席を外します。」


「えっ?、んんいいわよ。」


アルドはオークション会場から出て人力車へ急いで向かう、停めてある場所は広く他には馬車がたくさんあったのだがそこに数人の男達がいて、アルド達の人力車に何かをしている。魔石を握り、魔術構成図を仮想空間に描く。


「何をしている!!」


「やべぇ、もう来やがったぞ。」


(つぶて)


成功。黒い壁が出現して、小石が放射状に人力車に向かう。


ガンカンカンカン。


威嚇の魔術。


小石が人力車に当たる、男達は反撃はせずにそのまま人力車から離れアルドとは正反対の裏路地に消えていった。アルドは工具などが散乱する人力車を調べるが、素早く対応したので中を物色されただけで、他には何もされていないようだった。


「あからさまになってきたな。手口が二流だ。いや考えなしだ。」


もしアルドなら下手にちょっかいなどをして警戒されるより、油断した時に大人数でアリサを誘拐するだろう。それに荒事をすれば必ず人目に付く、それは憲兵達への鼻薬の量にも影響するだろう。


「他のドール達も連れてきた方がいいか、、どちらにせよ宇宙船には戻らないといけない。」


アルドは少しイラついた足取りでオークション会場へ戻りつ、マフィア対策に頭を悩ませるのだった。




メーターには明日、屋敷にいてもらうという約束をアリサとしてもらい、レフト・ライトを人力車見張り兼アリサの護衛に指名。アルドはホテルの屋上からトラクタービームで宇宙船の格納庫へ移動した。


カッカッカッ。


ドール生産用の装置はちょっとしたプレハブ小屋ほどもあり。大きさは幅4メートル奥行き8メートル高さは5メートルもある。個別のトレイに材料を入れ、体の基礎となるものを製作し生産する。時間は一体、最高品質で6時間ほど、低品質で10分ほどで完成するが低品質のものは壊れやすく、機能も低下する。


「こうなりゃ、アイツ等に一泡吹かせてやる。見てやがれ。」


アルドが作ったレフト・ライトや雑務用ドール(ナンバーズ)は最高品質で製作してある(材料はレフト・ライトは鋼鉄のみ。ナンバーズは鉄鋼と魔石)。今回は実験や時間を兼ねて時間は1時間にセットし材料は鋼鉄を使用した。


「良いこと思い付いた。20体作って、、上手くいけば一石二鳥だ、追いたててやるぞマフィアども。犬だけに吠え面かかせてやる、、」


「アルドサマスベテコノタイプデヨロシイデスカ?」


確かに売り物と贈り物を同一にするのはあまり良くない。色を変えれば見た目の印象も変わるが安っぽくなってしまう、だが金属を変えることによって壊れ易くなってしまうのは避けたかった。


「やはり塗装で他のタイプと色分けするか?安っぽいから、もうひと味欲しいが。」


《ステンレス合金なら少し光沢が出るよ、錆とかに強いし。クロムが沢山あったでしょ、、》


「ステンレス?、、確か鉄とクロムを混ぜると出来るやつか?これか、、なっ、、っと。」


最後のプレゼント用のものは標準品質(二時間)、ステンレス合金を素材に作る事になった。残るは独立プログラムであるがルル・ルリが何とかしてくれるらしい、だが問題があった。


《船のデータリンクから離しても大丈夫なように個別に独立させる位なら簡単に設定できるよ。だけど問題はドールに設置される人体の認識プログラムだから、、》


「人体認識プログラム?」


《生命活動があって、その人物の遺伝子情報を持つ生命体を判別するプログラムの事。ドールは端末で、端末から本体へは基本的に情報送信出来ないのハッキングを防ぐためだね。そういうプログラムを新たに作るは私じゃ無理、、私の〈本体〉なら簡単に作れるんだろうけど、、ドールは宇宙船のデータリンクからそうした生体情報を得ていて、更新にもやっぱりデータリンクを利用するの。》


「、、つまりドールは手足で、頭の宇宙船が無いと手足個別に新しい主人や生態情報を与えられないってことか?」


《そういうことだね。》


アルドがなかなか難しいと考えつつ、目を落とすとハンドリンクが見えた。ハンドリンクは遺物を使う際の鍵としても機能している。〈次元砲〉や〈ファクトリーキューブ〉のマスターキーとしてだ。次元砲は単純にハンドリンクがなければ射つことが出来ない、ファクトリーキューブは保管物全削除、使用者変更、ロック・セキュリティレベルの変更などが行えた。


「ハンドリンクの様に、特定物を持つ人間の命令を聞くことは可能なのか?」


《大丈夫だよ。だけどセキュリティに問題があるかな、だってそれを奪われたらどんな人間の言うことでも聞くって事だから。》


「その辺のところは問題ないさ、一番上位者はメーターにして、二番目以降を特定物所有者にすれば良い。耐用年数も20年程だろう、だからメーターが突発的な事故で死なない限りは大丈夫さ、、多分。」


そこまでは対応仕切れないし、責任は持てない。彼等が彼等なりに保管などの強化をしてもらうしかない。


「特定物は何でも良いのか?」


「大丈夫だよ。確か簡易コピー防止機能付きの電波機材が倉庫にあったから、それを使えば?東海洋踏破船の為に灯台に取り付けた奴、、」


「ああっ、頑丈さと持ち運び易さを追求して電波強度が悪かったやつか、、」


アルドは倉庫を見回すと、ドールが親指の先程の電波機材を持ってきた。数は3つだが小さいので無くしてしまいそうだ。


「無くさないように何かに付けるか、、」


「ワレワレノクジラノアクセサリーノナカニ、ブレスレットガアリマスソレニトリツケタラドウデショウカ。」


「おお、あるなら持ってきてくれ。」


他のドールが鯨骨のブレスレットを持ってくる。細工はなかなかに凝っていて波のような模様が描いてあり、留め具も骨で出来ていて完成度も高かった。露店で売れば銀貨1枚、店によっては3枚で客に売れるかもしれない。


「贈り物って事を考えると最適かもしれないな、、取り付けられる様に出来るか?」


「サンジュップンイタダケレバ。」


「三つ頼む、これは礼だ。」


ポケットから銀貨三枚を取り出しナンバーズに渡す。


「、、アリガトウゴザイマス。」


少し戸惑ったドールの言葉にアルドは手を挙げて答えると、高級ホテルではリラックスできないと体を洗うために浴室へ向かったのだった。




パルス・ディサイ・ムー男爵。


土地は小さいが金山を所有している貴族。どちらかと言えばに貧乏からいきなり裕福になった成金という表現がピッタリだろう。パルスは昼過ぎに起きると気だるい頭を振って今年のブリジャーノック※貴族会議の決定を思い出していた。


※ブリャーノックは貴族共和制、王様はいない。貴族は一般的な国民が国の国庫に多額の寄贈をすればなれる。メリットは称号と政策の提出、高額で土地を国から買うことが可能というもの又購入した土地の領内は自身の定めた条例を施行できる。


ブリジャーノックの治安維持司令官パルス・ディサイ・ムー。それが現在パルスを悩ませる原因であった。毎年名簿にある貴族は交代でブリジャーノックの治安維持を任される。これは過去国家事業の金山収益を土地所有者が得られる代わりに、莫大な費用が掛かる治安維持を引き受けなければならないという法律であった。


パルスは貴族会議でこうした政策を受ける代わりに、治安維持を引き受けた。毎年ではないし他にもこの法律に飛び付いた成金貴族がたくさんいたローテーションで治安維持をすれば5年に一度程、しかも4人位の貴族が分割して事に当たった為、費用も無視して良い程度だった。


だがー


ゴールドラッシュが終わり、蓋を開けるとそこには財政難に喘ぐ貴族達がいるだけだった。確かにいまでも金山から金は取れるが採算が全く合わないため株や商売に手を出した貴族がいるほどだった、勿論誰も成功しなかったが。


ムー家も似たような状況だった。


金貸しをやったがこの時世、夜逃げが後を経たず。株の価格などは怖くて確認すら出来ない。唯一の収入源の金山すら最近は赤字でムー家の家計は火の車だった。


始めに戻るがブリジャーノックの治安維持などをする金銭的な余裕はない。何せ雇う憲兵の装備や備品にすらお金が必要で、今も300人もの憲兵を養っている状況なのだ。逆に家計を維持してほしいと思いつつ食事場に向かう。


「何処かにノック金貨が大量に落ちていないものか、、」


「パルス、何をバカな事をいっておるのですか!」


パルスは覇気の無い顔で妻であるライーザを見る。今日は随分とめかしこんでいる、出掛けるのかそれとも家に誰かを招いたのかもしれない。


「誰か今日家に招いたのか?」


「メーターが町に来た貴族の令嬢を家に招きました。」


「何処の貴族だ?」


「ライト家というらしいですわ。何処の貴族かは存じませんが身なりは中々のものだったとか、護衛に付いている使用人もうちのとは出来が違うといっておりました。」


ライト家など聞いたことがなかった、恐らくは没落貴族。ムー家が雇う憲兵は殆んどが領内から引っ張ってきた民兵で一般兵よりも若干弱い、没落貴族が抱える護衛が憲兵隊隊長のシュワルツより上という事はあり得ないから、シュワルツ以下憲兵以上が妥当だろう。


「全く、家の放蕩娘にも困ったものだ。早くミュミュン子爵と結婚してくれれば我らムー家も安泰だというのに。」


ミュミュン子爵はココ10年程で急速に力を付けてきた貴族で現在伯爵に一番近い存在である。それを聞くとライーザは眉をひそめる。


「私はあの方を好きになれませんね。マフィアとの噂も耳に入ります、清濁併せ呑むことは宜しいですが毒をムー家の腹に入れることはムー家の死につながります。」


「お前がそういうからメーターが首を縦に降らないのだ。」


愚痴を言っても始まらなかった。


「メーターにゴーレムのプレゼントを持ってくるようですわよ。」


「ゴーレムか、、」


前に魔術専門店でゴーレムを見たことがあった。中型犬ほどの四足型のゴーレムで鉄で出来ていた、頭の近くに綱がありを引くとそれに向かって進む、荷物運搬用のモノだ。物珍しさから確か金貨20枚で買った人物がいた。


「大したものでは無かろう、、」


「そうですわね。小さければ力が、大きければエネルギーの問題。そして何より、創造物には命令を聞くだけの賢さがない。」


バルバロス王国でもゴーレムの研究が進められていたが結局、コストに見合ったゴーレムが出来ず研究は魔術アカデミーによって打ち切られたらしい。何処かで細々とゴーレム研究が行われているかもしれないが個人研究などたかが知れていた。


「どうやら来たみたいですね。」


正門から何やら大きなものが屋敷に入ってくる。それは馬車を全体的に大きくし、縦に馬車を3台並べたような長方形をしていた。しかし、馬車を引くのは馬ではなかった、小さな馬車が引いていた。いわゆる運搬用トラックであるが現時点でパルスが知るよしもない。


「なんだアレは?」


分からないがパルスは急いで玄関へと移動していた。


メーターと挨拶を交わすのは貴族の娘だろう、赤のドレスを身に纏っていて身なりが良く、ビー玉ほどもある大きなダイアを首から下げていた。男は使い手なのか動きに無駄がなく、手には白銀に輝く棒とガントレットを付けていた。最期後ろで控えているのは世話係だろう美しいメイドだった。


「あっお父様。」


メーターがパルスを呼ぶ。パルスは威厳を保ちつつ、アルド一行へと近付いた。


「こちらアリサ・スター・ライトさんです。こちらが私の父パルス・ディサイ・ムーです。」


「よろしく。」


互いに挨拶をかわす。先に切り出したのはアリサだった。


「そうだ、プレゼントのゴーレムを先に渡さないとね。アルド準備は?」


「ルル・ルリ起動プログラムON、大丈夫です。名前はまだありませんが仮の名前は〈アルフィー〉でよろしいかと。」


頷くとアリサはメーターに告げる。


「アルフィー来いって言ってみて。」


「あっ、アルフィー来い?って、、」


ドンドントン。


馬車が軽く揺れたと思うと、荷台から何かが飛び出してくる。白い光沢を持った虎のようなゴーレムは数秒でメーターの前に出現する。あまりの出来事に驚くメーターは尻餅を付くが、周りにいたメーターの護衛は驚きのあまり動くことも出来なかったようだ。


「ひぃ。」


パルスは護衛の後ろに隠れる。無理もなかった、体高は140センチ全長350センチ、4トンを越える重量をしたゴーレムが現れたのだから。


「どう、なかなか良い面構えでしょ。実はおや、、お父様がアルドと人形ゴーレムの護衛だけじゃ不安だって後発で送ってくれたんだよね。これをメーターにあげる。」


「あっ、、えっ、、ええっ。」


「、、、」


パルスは口を開けたまま、アルフィーと呼ばれたゴーレムを見ていた。


こんな立派なゴーレムは見たことがなかった、戦闘用なのだろうか?その前に命令を聞いて動いた?鉄のような体を動かした動力はなんなのか、それすらも謎だった。しかもバルバロス王国ですら止めてしまったゴーレム開発をこの段階まで昇華させることが可能なのか?


そんな最先端の技術の結晶と思われるものを簡単に、あげるなど出来るはずがない。もし仮にそんなことが出来るのならばそれは何かしら裏があるのか、、それとも余程の〈馬鹿〉か、、


パルスはアリサを観察する。


、、アレ?こいつ本当に馬鹿っぽいな、、


「す、、素晴らしい、、ゴーレムではないかぁ。メーター良かったなー、もらっておきなさい。」


「でも、、こんな立派なものー只で」


ガシィ。


パルスがメーターの両肩を押さえる。


「メーター、もらっ、ておきなさい。ねぇ、パパのお願い。」


「ええっ、分かりましたわ、お父様。」


「さぁ、客人も立ち話も何でしょう、こちらの応接室へ。この通り私はパラマイト以外にも共通語を話せますよ。」


パルスの案内で応接室へ向かう一行は、途中に飾られてある美術品の数々を見ながら歩く。美術品を通路に置くのは自分の財力を見せるためと、話題作りのためである。宝石が多いが途中アルドと言われた護衛が足を止める。どうやら美術品の一つに関心をもったらしい。


「いかがなされたかな?」


「ナガレモノ、、これだ。」


白銀に輝く腕輪の前で呟く護衛。


「へーこれがナガレモノなんだ。」


「ああっこれですかな、どうです触ってみますか?」


「なら是非。」


服から、鍵を取り出すと裏の鍵穴から差し込む。


「これをー」


アルドと呼ばれた護衛は腕輪を持つと何やら所々をいじる、そしてー


ウィンー


腕輪の中心部分が開く。ナガレモノにそんな仕掛けがあったなんて、全くわからなかったパルス。


「おおっ何ですか、そんな仕掛けが!」


「、、無い、、」


「無い?」


「〈ワンオブザワールド〉の中身がない!」


白銀の腕輪の中身の手掛かり、それをパルスが握っているのであるが、いまだ混乱している一同はその事に気が付く筈もなく。ただ時間が流れるのみであった。

次回は8月中を予定。お盆休みで書きたいな。

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