表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/54

異次元収集家アルド 四章1話 東海洋海底編

ガバレボとの戦いでミューズを失ったアルド。《超越者》の言葉に従ってミューズの復活の為に必要な遺物を回収するアルド達。次の遺物は《東海洋海底》に眠る《次元砲》。


新キャラも登場する最新章。


この章以降は長編は無くなり、短編が多くなります。長編に戻るのは六章辺りからだと思います。


続けば、、。


燃えろ俺の創作魂!!

アルドガーデンブルグ日記


ガキの頃養父のガンリュウは言っていた、男の行動原理とは結局のところ一つに集約される。即ち《女》であると。今も完全には認めがたいが、反面それが今自身を動かす原動力となっている事は認めざるを得ない。


旅を終える時に、その原動力は果たして俺を尚動かし続けているのだろうか。


**************************


惑星ガルンゼル。自分達が住む惑星が球状であることはガルンゼルの人々も知識として知ってはいた。しかし大半が比較的距離が近い三大陸への往復が航海の舞台であった。


中央大陸の東側に《東海洋》があった。水産物は豊富であるが、水深が深く島も少ない巨大な海。今だに未開の大陸があると信じられ、航海する冒険者もいた。


十年ほど前の事である。


彼らが目指したのは航路の開拓と新しい大陸の発見であった。中央大陸は大きく、端から端までの移動距離は30日以上にもなる。ならば中央大陸の東から出発すれば、西の大陸の西海岸まで直接航海が出来るのではないのか。


そんな議論がなされた。中央大陸の東に位置する王国フルトーは冒険者ギルドと商人ギルドへ投資を行い。航路の開拓を願い出た。


そして商人と冒険者との共同大型プロジェクトが始まったのだった。




航海15日目。


商船ラーマルー号の士気は今だ高かった。食料は30日以上もある、水は多少心許ないが雨が降れば多少は潤う。乗組員は熟練の水夫達で魔物等戦う傭兵の冒険者も大人しい。


船長のラーマルーは蓄えた口髭を横に扱きながら、食事をしに食堂へと向かう。船長のラーマルーには個室もあった。しかし多少乗組員との交流を計らなければ、不安が不満を呼び、暴走する事があるとラーマルー自身の持論があった。


少し時間が遅かったのか、食堂にいたのは3組。水夫のリーダーとそのお供三人。仲良しの水夫二人。そして冒険者二人。


ラーマルーは寄り添われた料理を持ちテーブルの前へ移動する。向かったのは冒険者二人組、あまり親交がないため選んだかたちだ。


「一緒によろしいですかな?」


「ラーマルー船長、気を使わずにどうぞ。」


ラーマルーは椅子に座ると、スープとすこし防腐剤がキツイパンをむしり食べる。


「西大陸に出れますかね?」


「学者達の話では25~30日で着くとの話がありました。」


「しかし、安全策として同時に西大陸の西海岸からも、同じ様に船がこちらに向かってきていると話をききました。そろそろ他の船が見えてもいいと思うのですが。」


本来ならば一隻位は西大陸の船を確認出来ても良いはずだと、冒険者は不安を口にする。


「《東海洋》は巨大ですから。それゆえ気付かずに互いに通り過ぎるということもあるでしょうな。」


「確かに、、ふむ。」


納得はしないがある程度、不安が取り除けたとラーマルーは思い、もう一人の冒険者に目を向ける。


もう一人の冒険者は食事が終わったのか、50センチ程の棒を布で拭いていた。


「それは、、?」


深く考えず聞いてしまったが、白銀に輝く棒には興味がそそられた。


「これか?これはな、、いや。貰い物でナガレモノだ。」


「ナガレモノ?」


「他の別の世界から来た道具や生物の事さ、、これは非常に壊れにくい材質で出来ていてな、、只ナニに使うかはまだ分からんないが凄いものに違いない。」


ラーマルーはなるほどと頷いたが、壊れにくい材質という特徴だけならばあまり値打ちがあるとは思えなかった。


「船長!」


突然食堂にやって来た水夫がラーマルーを呼ぶ。


「どうした?」


「船長!島が、島が!」


ラーマルーは全てを聞く前に、食堂を離れて甲板に上がる。外は昼だというのに暗かったが、前方に見える島らしきものの姿をしたナニかを確認することが出来た。


「、、これは、、島ではない、、?」


それは答をいえば生物であった。だがそれに敵意がったのではなく、呼吸をするためにたまたま現れた巨大な生物であった。


《東海洋》にはそうした生物が数多くいる。


魔物やナガレモノ、巨大生物がひしめき合う、それが《東海洋》


ラーマルー号は巨大な生物との接触で海の底へと消えたのだった。




「宇宙船では海底に沈んだ遺物を回収することが難しいです。そこで私のオーガユニットに水圧に耐える改修をして海底へ向かうプランです。」


「メリットは回収する成功率が比較的高いこと。デメリットは改修まで日数が多少掛かることです。」


電子ノートに書かれた文字を見ながらアルド・ガーデンブルグは微妙な顔をする。なんということはない《日数が掛かることが嫌なのだ》


「他は?」


「宇宙船のバリアで海底まで移動し、回収可能ポイントへ移動。近場でバリアを解除。その後宇宙船からのアンカーを放ち水上へ船を移動させる方法です。」


「バリアを解除した場合あくまで宇宙船ですから、水深が深くなると多少の損傷がでる可能性があること。アンカーでは複雑な操作が難しく船の耐久度によっては《遺物》が船からこぼれ落ちる事もあるでしょう。更に落ちた先が深海より更に深い所になればオーガユニットでの回収すら難しくなるでしょう。」


場の空気は重くなる一方だ。


「他のプランは?」


「巨大なパイプを使用して吸い上げるプランもありますが、コストに問題があります。砲撃を利用するプランは演算処理能力に問題があります。探索回収ロボットでのプランは、、」


「つまりはオーガユニットで回収するしかないと、、」


「はい。」


アルドは頭を掻く。ここは確実な方法を選ぶべきだと分かってはいたが、気がはやるのは仕方がなかった。


「すまない。俺も焦っているんだ、ミューズがあんなことになって、ただボーッとしていると嫌でもあの時の後悔が襲ってくる。」


ラウラは座っているアルドに近付くと頭を抱き締める。


「分かっております。アルド様は悪くはございません。全ては憎きガバレボの攻撃によるものです。」


「ラウラ、、」


アルドを元気付ける方法はある。例えばアルドにミューズを忘れさせてしまうような恋をさせること。ラウラがその気になれば、このまま甘美な体を使ってアルドを誘うことも出来るだろう。


ウブなアルドなら、ミューズを忘れるためラウラの体に溺れる可能性が高い。そして徐々に体から心に重点を移動させ、恋人になる。人間は遠くにある希望より、実益やその場の感情を優先させる傾向が強い。


最後に新しい人間の恋人でも作ってもらえれば、ミューズの存在は過去の辛い出来事という記憶に置き換えられ、現在の幸せを守ろうとするだろう。


しかしー


ラウラは首を降る。確かに主人の利益にはなるかもしれない、しかしラウラはそうしたアルドを見たくはなかった。自分が守り育て上げた子供が軟弱な只の男になるのは考えたくない。ならば孤独であっても強く逞しく、悲しみを糧に生きて欲しかった。


自分が我が儘な存在だと思いながらラウラはアルドから離れる。


「只の日々を過ごすのはよくありません。そこでお願いがございます。」


「お願い?」


「宇宙船の掃除についてでございます。」



《宇宙船》は大きい 、大きさは全長150メートル幅80メートル高さ75メートル。後方20メートルは動力部エンジンの為、人が往き来することは少なく掃除の必要は殆ど無いがそれでもかなり広い。。


前方の格納庫は二層、中央の居住区画は四層、後方は三層の戦闘区画と分けられる。


格納庫は一番大きく、大体縦40メートル横50メートル程、またそれぞれ小さな収納スペースもある。居住区画の個室の数は大小10と食堂、調理場と風呂場などがあり。中央最下層は中央制御室が存在。後方の戦闘区画は武器弾薬保管庫や運動施設、上層にブリッジがあり宇宙船全体を一望できる。


結論をいえば一人で掃除をするのは広すぎる。



「そこでドールか、、」


元々ドールは戦闘用でもあるがこうした使い方も出来ると、ラウラの言葉によりドールの製作に取りかかる。


《アーちゃんどうしたの?》


「ドールの製作をな、、敵のイメージが強いが、、ね。」


何処からともなく聞こえてきた声の主はルル・ルリ。宇宙船の基本動作のサポートを行う情報端末のルル・ルリに曖昧な返事を返しながら、格納庫で慣れない装置を前に説明書片手に操作をする。


「姿も調節したし、後はー」


ドールの材料は人の肉以外にも、コストと時間が掛かるが完全機械化も出来るらしく。能力は変わらないが腐敗する肉と違い数年から数十年もつらしい。


「おっ、なんだ。更に強力な戦闘強化タイプも作れるのか?ちょっと待てよ、、雑務用のドールの数を6体から3体にして、、戦闘用を2体作れば、、あー、材料が足りない、、か、そうだコピーズリングの魔石も使えば、、ピッタリだ。」


《アーちゃんいいの?》


「戦闘強化といっても、基本は雑務用と変わらないし。居住区以外の掃除の回数を減らせば問題ないだろ。」


《まぁ、大丈夫だとは思うけど、、資材が全くないのはあまり良くないとおもうよ。》


アルドはその言葉に同意する。確かに様々な出来事がありすぎて、宇宙船のエネルギー以外の、金属の材料や食料が非常に少ない。またお金も底を尽きかけているのが現状だった。


「お金がある方がいいか、、いいな。今後何かのために金属の材料や魔石をこの次元で補充しないといつまた補充できるか分からないもんな。」


バルバロス王国へ戻るのは流石に不味い。アルドは地図を広げると必然的に東の王国フルトーに目をやる。


「ここしかないか、、」


《ここに行くの?というか目と鼻の先だけど。》


「補給に立ち寄ろう。何かしら儲け話もあるだろうし。」


アルドは時間が掛かるドール製作の合間にと、立ち上がりラウラのもとへと向かった。




フルトー王国の中規模の港である《ラーク》は中央大陸一番東に位置する都市である。独特の文化としては魔術系統が精霊魔術であり、また亜人と呼ばれる中央大陸辺境に住む人々の姿を時々見掛けることが出来た。


※亜人は犬や猫に似た亜人が多く、その他の亜人は非常に少ない。


アルドは一人町並みを眺めながら冒険者ギルドへと立ち寄る。ギルド内に人は少なく、アルド以外に冒険者は数名、案内係と受付がいるぐらいであった。


「いらっしゃい。」


アルドは適当にギルドの案内係に挨拶をしつつ、掲示板へ移動する。


「北西の山に生える薬草の採取、銀貨8枚却下。護衛任務15日金貨4枚、、日数がな、、山師求む、鉱脈調査金貨30枚但し発見時のみ。山師、、」


案内係の男がアルドの側にやってくる。


「最近はここら辺の採掘場も質の良い鉄鉱石が取れなくてな。フルトーは古来から良質の鉄鉱石に恵まれていたんだが、、最近は取り付くしたのかさっぱり発見されなくて、こんな依頼が来ているわけだ。」


「山師とあるが、、」


「元々山は国有で免許を持った山師が鉱脈の発見を手助けしてくれていたんだ。現在は誰でも山に登って調査が可能になっている。」


つまりは発見して報告するだけで金貨30枚が手に入るということらしい。案内係は更に続ける。


「だが、登録料として銀貨五枚を支払ってもらう。虚実を確認するための立会人やフルトー王国で現在発見されている鉱脈の見取り図の代金もコレに含まれている。」


アルドは所持金を確認すると銀貨が三枚残るだけだった。


「足りない、、」


「、、まぁ、そんな冒険者も多いから、ウチではバラでもやっている。鉱脈の見取り図を省いて銀貨三枚でいい。見取り図はそこに見本があるから、紙とかに書き写しておけば無料だ。」


案内係はアルドから銀貨三枚を受け取ると、受付の奥の部屋へといなくなる。アルドはファクトリーキューブを取り出すと見本の見取り図をコピーして複製する。


「材質は多少違うがまぁ同じ見取り図だな。」


アルドがウンウンと地図を眺めているとそれを偶然眺めていた冒険者が興奮しながらアルドの元へとやって来た。


「ちょちょちょ。なんだそれ、今見ていたんだが!地図をどうやって出したんだ!?魔術か?!」


キョトンとするアルドは、不味かったかと思いながら必死で答を考える。しかし良い考えも浮かばない。


「これは、、魔術道具で単純な構造の物をマナを利用して複製できるんだ。」


「なるほど、、かなり複雑な魔術道具の様だな、、それにその杖やガントレットもかなりの業物とみた。アンタ相当腕に自身があるのだろう。」


「それなりには、、上には上がいるしな。」


上とはミューズやラウラである。それに単純な戦闘能力などは簡単に補うことが出来ることをアルドは前の戦いで知った。


「もし、その気があるのなら《東海洋》新航路開拓の依頼を受ければ一攫千金だぞ。金貨15万枚だ勿論山分けだがな。金貨千枚は確実だ。」


「千枚か、、」


アルドは少し考える。目に写るのは先程複製した地図だった、そして疑問を口にする。


「航路の開拓って事は《東海洋》の地図は無いわけか?」


「はぁ?そんな当たり前の事をいうなよ、ある程度航路が開拓されてから詳しく調査をして地図を作るんだろ。簡易的な地図もない状況だ。」


「確かに、、。」


アルドが考えて口を閉じてしまった為、勧誘が失敗したと思い最後に告げる。


「俺達は大抵この冒険者ギルドにいる。依頼を受けるつもりならここに来てくれれば俺達がギルド側を説得するから、何時でも来てくれ。期限は明日の早朝までだ、その後は出航するからな。」


「分かった情報ありがとう。後ひとついいか?」


「なんだ?」


「新航路の開拓のスポンサー、出資金を出しているのは誰なんだ?」




アルドは周囲に誰もいない事を確認してから、ハンドリンクを操作して宇宙船と連絡をとる。


《動かないでね、トラクタービームを出すから。》


ピュン。


瞬間的にアルドは格納庫のバンカーに移動していた。ラウラがオーガユニットを改修しているのを見ながらブリッジに行こうとしたところ、一体目のドールが出来上がっていることに気が付いて興奮しながらソレに近づく。


ドールの全身は原材料の鉄などの素材そのもので焦げ茶色をしていて、目がブルーである。大きさはアルドの身長より少し高めで、ツルツルしていて凹凸が少なく、丸みを帯びた人間らしい形状をしているマネキンの様な姿だった。


「これと次は戦闘強化タイプだから分かりやすくしないとな、俺に付いてきてくれ。」


理解したのか目が少し光り、頷く動作をした後。アルドの後を付いてくる。


「俺は登録したから襲われないと思うが、、大丈夫だろうな。後ろからいきなりは勘弁だぞ。」


《ドールのネットワーク登録を済ませた人物は製作者権限がない限り襲わないよ。ガバレボとの戦いでラウラは一時的に敵だと判断されたけど、登録を戻したし。アリサ・スターライトの登録は宇宙船の客員情報を共有してあるから問題ないよ。》


「そうか、、不気味なんだよな。喋らないし。」


《ネットワーク情報を拡張すれば話せるようにはなるけど、それはあくまで自分で考えたものではないし、、もともとドールは人間の命令を忠実にこなす機械を量産することが目的だから【考える】機能は必要なんだよ、ウン。》


敵に突撃しろと命令して、【嫌だ】と拒否するドールは必要ない。自ら考えることができるということはそういう危険性を孕んでいるのだ。


《じゃあ、簡単な言語だけネットワークにインプットしておくね。システム更新っと。あくまでも言葉や動作に対する、パターン反応にすぎないから。》


「わかった。」


アルドはエレベーターでブリッジぬ到着。操縦席に座り、情報端末を操作する。


《どうしたの?》


「惑星ガルンゼルの世界地図を探しているんだが、、」


《23年年前位にサテライトを使用して、集めた情報のなかに世界地図もあったよ。球体にする?正距方位?メルカトル?》


「海図に使う地図が欲しい。紙や電子情報を送れるか?」


ファクトリーキューブをテーブルに置くと端末がファクトリーキューブにささる。


《宇宙船に紙媒体に出力できる機械がないからファクトリーキューブに情報を送るね。紙の材料は沢山あるでしょ?》


「紙の材料なら沢山ある。サンキュー。よし。」


作業が終わったファクトリーキューブを手に取ると胸にしまう。


「後、この付近で鉄鉱石の鉱脈を探していて、この地図以外で発見できそうなポイントを探しているんだが、、分かるか?」


《地表に近い場所だと、24箇所。直ぐに発見可能な場所は4箇所。情報はハンドリンクに送信で大丈夫かな?》


「直ぐに発見出来そうな情報だけをハンドリンクに送ってくれればいい。」


《それで、補給の方は上手くいきそう?ラウラは後二日ほどで終わりそうだけど、、 》


「ファクトリーキューブを使っていればもっと早かったんじゃないか?」


《あまり変わらないと思うよ必要最小限はファクトリーキューブを使ったし。設計はともかく、最後の仕上げは手作業じゃないとラウラは納得しないだろうし。少し大きめだし、、コウモリの事もあるし、、》


この時までコウモリの存在を忘れていたアルドはそういえばと頭を抱える。確かにまだファクトリーキューブの中にはコウモリが存在していた。


「、、面倒だから、そのまま分解って訳にもいかないか。考えておく、、いや。少し手伝ってもらうか、、」


アルドはファクトリーキューブを軽く手で遊びながらラウラのいるバンカーへ移動する。アルドが近付くとラウラ作業の手を止めて、オーガユニットユニットからアルドの側にやって来た。


ラウラはミューズと違い、自身の外見には気をあまり使わないタイプだとアルドは考えていたが、よく見ると最低限の身だしなみはしているようだった。


セミロングの栗毛色の髪を綺麗に後ろで束ね、緑色の厚手の服を着用していた。服を着ていても大きな胸などの女性を強調する部分のラインが目立ち、普通の男性ならば10人中10人が美人だと振り替える容姿をしていた。


例えればミューズが美しい湖ならば、ラウラは神秘的な森。土の様な温かさのある美人だった。


「どうなされましたか?」


「実はコウモリの件で頼みたいことがあるんだ。」


「そちらの件ならば、私がー。」


アルドはその言葉を片手で止める。


「確かにそれなら《俺》は安全だ。でもラウラが危険になる。確かにラウラの方が強いよ。だけどもしコウモリならそんな命令をした奴の命令に従うか?、、いや、、俺は只話の筋を通したいだけだ、それが俺が奴を説得する材料にもなる。」


もしアルドが死ねばラウラは機能停止する。同時に宇宙船もそのまま宙に漂い続けるだろう。しかしアルドとしては、それでも自分がコウモリを説得したかった。今後にもこうしたことがあり、その時ラウラがいないのかもしれないのだから。


「、、分かりました、、但し1分いえ2分。2分だけです。それを過ぎたら強制的にこちらに戻します、それでよろしければ。」


「ああ。お前はここで待機だな。」


「リョウカイ。」


アルドはファクトリーキューブをラウラに渡すことで、同意を示す。ファクトリーキューブを操作したラウラは隣に控えるドールを無視してトラクタービームを当てる。


「2分です。あとコウモリのいる空間には空気がありますのでそのままで大丈夫です。」



キュイィィィ。


ファクトリーキューブの中は漆黒であった。周りは何も見えずアルドは自分が何処にいるのかも分からなかったが、目の前に何かがいるのを感じとる。


「コウモリか?」


「ああ、、貴様は、、」


「アルド・ガーデンブルグだ。アンタのボスはもういない。」


何かが蠢く音がする。だがアルドはそのままの姿勢で尚続ける。


「俺を殺すか?もう意味がないぞ。ガバレボはもういない。」


「、、、」


「アンタは何を望む?自身の強さか?強い相手か?」


周りを包む濃度が強くなる。死が間近にあることを感じとるアルド。多分コウモリは剣を構えて自分を狙っていると確信する。


「どちらもだ。」


「なら仲間になれ。そうしたらどちらも用意する。」


「、、、」


まるで火山が爆発する前のような力の鼓動を感じたあと。


弾けるー


「はっはっはっはっはっー!」


「?!」


「いや、可笑しくてな。主を失い囚われ、もはや自身には消滅しか残されていないと思ったのでな。」


「へっ。」


「良かろう。もとより忠誠心というものを我は持ち合わせぬ。只強者と戦う。自身を強くすることこそ望みよ。その場を用意してくれるのであればガバレボ殿でも汝でも構わぬ。」


「そうか。じゃあまた来る。」


「ああ、、、」


「、、、」


「、、、」


「、、?」


キュイィィィ。


沈黙が多少続いたあとアルドの視界は再びバンカーへと戻る。ファクトリーキューブから出たアルドは気持ち悪さに片膝を付く。それはオーガユニットよりもはるかに脳に負担を掛けるものだったらしい。


「大丈夫ですか?!」


「うぉぷ、、大丈夫だ、、」


「それで、、」


「コウモリは承諾してくれた。もともと忠誠心はあまりなかったらしい。」


ラウラは難しい顔をして忠告する。


「忠誠心が無いということは逆に《裏切り易い》ということです。手綱はしっかりと握るのが宜しいかと考えます。」


「ああ。手伝ってくれてありがとうラウラ。」


アルドは礼をいうとドールを連れて、その場を離れショートワープ装置へ移動する。


「名前ないのは不便だな。後一体いるし左後ろにいるから《レフト》にするか、大丈夫か?」


「リョウカイデス。」


「レフトにはここで宇宙船の掃除をしてもらいたい。後、完成したドールにこの命令を伝えて欲しい。」


「リョウカイ、ネットワークデキョウユウシマシタ。」


「明日には戻る。」


「イッテラッシャイマセ。」


ウィン。


ワープするアルド。残されたドールは命令を実行するために掃除道具がしまわれた倉庫へ向かうのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ