異次元収集家アルド 三章11
ガバレボ3
俺の楽しみがある。【破壊願望】だ。
この地上のありとあらゆる気に食わないものを破壊し、壊し、殺し尽くしたい。幸せな顔をした奴らを地獄に突き落としたい衝動。
それはずっと思い続け実現できなかった夢である。
壊滅した盗賊団を再編成して首領になり、バルバロス王国領内で熱心に仕事を始めた。俺はいつの間にか巨大な盗賊団のボスに出世して、バルバロス王国から懸賞金を掛けられるほどの大悪党になった。
もはや自分に勝てる存在は軍や巨大ギルド位になった、、組織は巨大になれば成る程動きが鈍重になる。俺はそれを利用して奴らを手玉にとっていた、、
とっている気になっていた。
冒険者ギルドは各方面のギルドからの要請に応え、俺の討伐隊を編成していた。リーダーはガンリュウ・ムソウ。ガンリュウは要人警護や規格外のナガレモノ討伐、はたまた探し物まで何でもこなす、名実共に大陸ナンバー1の冒険者だった。
真綿で締めるように俺の盗賊団への圧力が高まり、遂には追い詰められ軍との直接対決にまで発展していった。
*************************
バルバロス王国の王宮の一室である、詰問室ではミューズとラウラが審問武官から事情聴取をされている最中だった。
審問武官は3人いて、ひとりは強面の怒り役、ひとりは泣き落とし役、最後は書記官になる。合計すれば5人で部屋は大きくないが調度品が少ないため、狭さは感じなかった。
「つまりは君が組織にいたのは命令のためでガバレボと言う男の情報を探っていたと、、十数年も、、しかしにわかには、、」
「しかし事実です」
「彼の命令で我々と戦った事もあると、、」
ラウラが門を破壊する際に数名犠牲者が出たことは事実である。ラウラは多少迷うが《事実》を言う。
「戦いました。多少被害をあなた達に与えたのは事実です。しかし戦わなければ疑いを掛けられ処罰された可能性も有ります」
落ち着き払った審問武官とは対照的な強面の審問武官は、怒鳴りつけようとテーブルを叩こうとした瞬間その手を止めた。
コンコン。
ドアをたたく音に気付いて、そのまま立ち上がり強面の審問武官はドアを開ける。
ドアから現れたのはアンタレッタ将軍とアルド・ガーデンブルグで、慌てて敬礼する審問武官は訪問の理由を聞こうとするとアンタレッタ将軍は先に話を切り出した。
「邪魔するぞ、審問は終わりだ。司法取引によって、バルバロス王国内での彼女の安全は保証される予定だ。丁重に扱い今後はアドバイザー兼情報提供者として扱うものとする」
審問武官はアンタレッタ将軍にそう告げられると、不満そうな顔をしながらも命令に応じた。アンタレッタも時間さえあればアルドとの取引に応じなかったが《時間》があもりにも無いことが今回の決断の裏にあった。
アンタレッタ将軍は座るラウラを一別すると質問する。
「簡潔にいってくれ。このままの状態はいつまで持つのだ?」
「ドールの生産時間を考えると後3時間も無いでしょう。2日間で十分に製造できたと思いますから。それに私の裏切りを知れば報復に出ることも事も考えられます」
「時間はあまりないと、、ふむ」
審問官が不審な目つきでアンタレッタ将軍を見据える。犯罪者であるラウラの言葉を信じてはならないと目配りするが将軍はそれを無視して続ける。
「今は互いに戦力が拮抗しているが、いつ崩れるかは分からない。この状態を続けるのも王国への負担が大きい。相手の敵は我々だけであるのだが、我々の敵は相手だけではない、周囲の国や治安維持、ナガレモノや亜人討伐など多岐にわたる」
「情報は時間が経てば不確定要素が増え、腐り始めます。特に今のような状態では尚更です」
「持っている情報を教えてもらおう。それによって進退が決まる」
ラウラは頷くとアンタレッタ将軍に宇宙船の真相以外の全てを素早く簡潔に語り出した。
この中には交渉材料として戦闘終了後のラウラが乗るオーガユニットの引き渡しも話に含める。勿論、オーガユニットの突破力は利用価値があるので、この騒動の後の引き渡しになる。
アンタレッタ将軍は情報を聞き終わると、情報をどう処理して良いか迷う。またラウラが持つ情報が本当かどうかを考える。
「それで敵は半日を待たずして、こちらに進撃してくると言うことか?しかも集まった兵士や城に展開されている《キャッスルガード》ごと、宇宙船の砲撃で吹き飛ばす可能性もあると」
「そうなります。そこで速攻を持って相手の宇宙船に進撃し、攻撃の要となる宇宙船を攻め落とせば相手はこちらの防御を上回る攻撃が不可能となり、さらに相手の宇宙船内にあるエネルギー供給システムを使用不可能にすれば、いずれ歩兵戦車も補給が滞りいずれ動かなくなります」
アンタレッタ将軍としてはどちらにせよ攻め落とさなければならない、宇宙船の攻略には賛成だったのでそれが背中を押す。
「早いか遅いかならば打って出る絶好の機会か、、」
深く頷くとアンタレッタ将軍は話をまとめる。
「部隊を三つに分ける、正面の敵部隊を引き付ける我々正規軍。予備兵力の警備や志願兵。最後に傭兵達の宇宙船奪取の部隊だ」
重要な宇宙船奪取を任せたのは被害がどれだけ出るのか分からないという理由と、正面に現れるガバレボの戦力が本体より数が少ない傭兵達を上回っていた場合、撃破され敵中に本体が孤立する事を防ぐ為である。
「君達は傭兵部隊に入り、アドバイザーとして戦ってもらう事で良いか?勿論魔術師達などの梃入れもするつもりだ。他にも要望があれば聞くが?」
「一つ良いですか?」
ラウラが手を上げてアンタレッタ将軍を見る。
「ガバレボが宇宙船奪取を想定して、船内や船外に爆発物を隠している可能性が有ります。爆発物の処理の出来る魔術師がいれば奪取班に参加して欲しいのですが、、」
アンタレッタ将軍は若干の違和感を感じたが、相手の性格上船の周りに爆発物や船内で爆発させ自爆させる戦法も考えられた。
「分かった、危険物を対処可能な魔術師を本体から傭兵部隊へ派遣させよう」
「作戦は一時間後に開始する。足並みを揃えなければならない作戦だ、詳しいやり取りは傭兵部隊部隊長のエリーザに伝えよう」
アルド達は互いに目配りして問題がないかを確認した後、頷き同意する。
「君達は傭兵部隊の本部の中央広場に向かってもらう、今後はエリーザの指示で動いて欲しい」
アルド達はアンタレッタ将軍の話が終わると数人の兵士達に連れられて、バルバロス王宮を出た。
アルド達が居なくなったことを確認すると、アンタレッタ将軍はモロゾフに気付いて方針を決定する。
「アリサ・スターライトを彼等の班につける事で宜しいか?もしー」
「不審な行動をしたのならその場で処罰か拘束するという事ですね。しかし、アリサ・スターライトが首を縦に振るかどうかは、、」
「分かっている。アリサ・スターライトの人間性は調べた、事情を説明して駄目なのなら魔術学校という餌を撒けば良い」
アンタレッタ将軍が非情なのではなく、戦いにおいて裏切りや策謀などは日常であって、頭からアルド達を信用しているわけではない。
彼等の情報が本物にせよ偽りにせよ、ガバレボを倒さない事には問題は解決しないのだからそれらを想定した作戦を練るだけである。
「時間が惜しいな、、」
「各部隊長に作戦会議の旨を伝えて一時間後ですから、かなりの駆け足になりますね。こちらアカデミーの魔術師達にも準備を伝えておきます」
モロゾフは応接室で考え込むアンタレッタ将軍をそのままに応接室を出たのだった。
宇宙船奪取への総攻撃の報は各部隊に伝わり。アルド達が中央広場にやってくる頃には傭兵達は戦うための準備をあらかた終えていた。
アルド達はエリーザの元へ向かう途中、ラウラは広場につめている露店を一別してアルドに告げる。
「坊ちゃんお待ちを、先ずエリーザという司令官に会う前に露店で服を購入しましょう」
アルドは一瞬ラウラが何を言っているのか分からないと首を傾げラウラの方を見る。今は非常時であるし、時間が欲しい時で着替える時間などは計算外である。
案内役の兵士達も少し戸惑う。
「先程のアンタレッタ将軍の人となりは、戦っているうちに何となく掴めていて見掛けで判断しない人物という評価でした。しかしエリーザという傭兵部隊隊長の情報はありません。坊ちゃんの格好ですと少し、、」
姿形で侮られる事もある、それによって情報の伝達の妨害や遅延などの問題が発生する可能性もある。アルドはミューズが先日《君》付で呼び始めたもう一つの理由を理解した。
「ミューズは多分、起動してから間もないためそういった感覚が若干不足しているのです」
その事はミューズも考えていたが、アルドが不快に感じると思うと言えなかった。又ミューズ自身はアルドがどんな姿でも気にしないし、それによって発生する問題はその都度解決しようと考えていた結果である。
「、、そんなにボロいかな、、」
アルドは今まで旅をしてきた、服に若干の愛着もあった為ガンリュウ邸を出発する際も洗っただけで同じ服装で出発していた。
「家にあるのも同じ様な服で結構傷んでいたからな、、勿体ないが買うか、、」
アルドの決定がミューズとラウラを動かし、互いに競い合いながら露店を素早く周る。数分後には残りの所持金が銀貨三枚を残して服代になった。
アルドはニコニコ顔の二人から手渡された服はどちらも黒を基調とした同じ様な服でどちらを選んでも大差がない様だった。アルドはどうしようかとミューズとラウラを交互に見る。
ミューズは自分を選んでくれと願っているような顔つきでアルドを見る、一方ラウラはウインクをしてミューズを選べと目線を送る。
「、、ミューズの服にする。ここで待っていてくれ」
アルドはどうとも思わなかったが、コレは多分ラウラの機転であろう。ラウラとミューズでは過ごした時間が違いすぎて、ミューズの存在意義が希薄になる、そんな不安を軽減なるための。
ミューズもそれを多少感じとった。
アルドが居なくなり、二人だけになったときにミューズはラウラに質問する。
「、、書店での背後からの一手は?先回りをしていた訳ではないのでしょう。実力を示し信頼させる為に考えていたのでしょうから」
ラウラは眉を少し上げると、話すとは思わなかったミューズに答える。
「入口と天井の警戒は完璧だった。しかしMUZがやることはあの店内を隈無く探して、床下も調べる事だったと理解して欲しい」
「私にご主人の位置は分かっていたし、戦闘用のアンドロイドなら周囲ソナーを使って店の内部をスキャンする事も出来る。あとは背後から忍び込むだけで良かった」
簡単そうに言うラウラであったが、実行するにはミューズでは無理であっただろう。汎用型のミューズとは戦闘能力や運動性能が根本的に違うのだ。
「、、そういえば、坊ちゃんが今は冒険者をしているとか聞いたが、、」
「そうです。それが?」
「なるべく無理はさせるな。コレからは大丈夫だと思うが普通に生活を送れるようにサポートするんだ」
ラウラが言った当たり前の言葉、その意味を聞く前にアルドがやってきてしまった為、ミューズの関心がそちらに移ってしまう。また聞けるだうと思っていたミューズだが、その問題が表面化するまでの期間、2人の話題に出る事は無かった。
中央広場に紋章が掲げられている一際大きな天幕が傭兵部隊の作戦室兼エリーザの執務室(仮)であった。
エリーザは今年32才の伯爵家の三女で、上の姉が結婚して子供もいるのに対し、未だに独身を貫いていた。不細工では無いが少々男勝りな所もあり、扱いが難しいと放置された結果だった。
部隊長としての能力は極普通。アンタレッタ将軍が彼女をよく採用する理由は上からの指示を極力厳守し、又身分に対する偏見の少なさで不平不満が兵士から出にくいという理由からだった。
エリーザはアルド達が天幕へ入ってくると、必要な書類を山のような報告書の中から探し出し、内容を確認しながら話す。
「、、アルド・ガーデンブルグとラウラ、ミューズだな。良く来た。後半刻程後に宇宙船奪取を目的として我々は進軍する。なるべく五人以上のパーティーを組んで隊長格を一人作って欲しい。その者に連絡用の水晶を渡す」
アルドは実戦経験が多いが指揮経験は少ない、ここはラウラに任せようとそちらを見ると、ラウラも同意する。
「君達が言った宇宙船に仕掛けられた爆弾処理については十名以上の班に《ロックプリズン》等の爆発物抑制の魔法を使用後、船外に持ち出し市外の広場にて爆破処理する。《ナガレモノ》の宇宙船は国宝に匹敵する価値があり、今後利用するためになるべく船内等での激しい戦闘行為は避けることを厳守してくれ」
紙に書かれた2枚目の文章を更に読み進めるレイニーは副官を軽く呼び指示をだす。副官は天幕から外に出て行く。
「勿論君達の班にも魔術師をサポート役として配置する。上級魔術師のアリサ・スターライトだ。、、おい?」
遅い登場にエリーザが早くしろと促すと、副官が慌てて声を上げる。
「サッサと来いアリサ・スターライト!」
「何よも~人がせっかく寝てたのに。さっきまであの女の事を調べて弱点をようやく見つけて~寝ずに魔術構成図を作ったのに~ダルぅ~」
半分寝ぼけているアリサを激しく揺すると眠たい目を擦りつつアルド達に挨拶をする。
「あっ!お前あの時の占い女!!お前の口車にのって砂漠を横断してえらい目にー」
「、、誰あんた?新手のナンパ?」
固まるアルドを尻目にアリサはミューズに向き合う。
「アナタは覚えているわ。探し物は見付かった?表情を見るかぎり見付かったみたいね」
「はい。その節はありがとうございました」
エリーザは顔見知りで挨拶は終わったものとして、更に会話を続ける。
「我々は宇宙船に突入する部隊なのだが、基本的には爆発物の処理を最優先に行ってもらいたい。10分後までにチームの編成とリーダーの名前を、この紙に記入してこの天幕の隣の受付に渡してくれ。提出されなかった場合は紙の下記に書いてある契約不履行に該当すので注意しろ」
エリーザは指示書類を読み終えると、話は終わったと退出を促した。ラウラは確認の為に質問する。
「コレで終了ですか?」
「ああ、他に何かあるのか?」
「いえ。それでは失礼します」
アルド達3人は天幕から出るとラウラは少し考えて、草の類がいないか確認した後、アルド達に告げる。
「どうやら我々はあまり信用されてないようですね。予想通りといえばそうですが、、」
「確かに普通の冒険者の対応と変わらなかったな」
「有益な情報を聞き出したり、作戦のアドバイスを尋ねなかったことを推察するに、我々の情報よりも危険性を考えての事でしょう」
失敗が出来ない作戦なのだから当然警戒されて、監視する人間を側に置かれる事は考えていたが全く当てにされないまではラウラは考えていなかった。
「監視する人間、、」
「多分先程挨拶を交わした魔術師がそうなのでしょう。彼女の近くではなるべく怪しまれないように行動するべきですね」
「やることは変わらないんだろ、なるようになれだ」
アルドの言葉に頷くミューズだが、ラウラは暫く押し黙るとアルドに提案する。
「爆弾処理はともかく、命令権がない状態で船内に傭兵部隊を残して宇宙船を空中に持ち上げるのは危険ですね、、出来れば無人。我々、少数の敵が残っているだけが理想です」
「いっそのこと《ガバレボが宇宙船を自爆させる気だ全員脱出しろ!》って言って全員逃がした方が早いな」
ラウラは同意する。
「そうですね。それで行きましょう。宇宙船のコントロールルームで自爆プログラムを起動させて船外へ敵味方を誘導する。その後起動プログラムを解除と同時に空に浮かべる」
元々は宇宙船に《設置してある爆弾》の処理は最終的に味方を船外に誘導させる口実が欲しかっただけであるが、傭兵部隊に命令できる権限が無い以上無意味となった。
危険が大きくなるのだが宇宙船の深層にあるコントロールルームへ行くのが現時点で一番確実な手段だとアルド達に思わせた。
「これ以上の作戦変更は、この戦いそのものを俺達が制御できなくなるということ。宇宙船奪取に失敗したらその時は、、」
アルドの頭の中に《諦めるのか?》と問いが生まれ、《ガンリュウ達》の無残な死体が記憶を掠める。
死体に握られていた、《必ず勝ってくれ》そういう願いがアルドの心を落ち着かせる。
「その時は諦めるのかな。それが良い」
「、、、アルド君、、」
「坊ちゃん、、」
笑顔になっていない笑顔を二人のアンドロイドは心配そうに眺めるが、アルドは頬を勢いよく叩いて気合いれた。
「今後なにが起こるか分からない。気を引き締めて宇宙船に向かおう」
「分かりました」
「了解です」
簡単な作戦を話し合った後、天幕の受付の前にやってくるとアリサ・スターライトが眠たそうに、アルド達の知らない傭兵の男と話していた。
「全く遅いぞ~。後数分で終了になるらしいから。私の名前書いた?」
「アリサさんのお名前は記入しました。そちらの男性は?」
アリサは考えた後に、アルド達とチームを一緒に組みたいらしいと伝えてきた。
「今傭兵をしているらしい人でね、昔同じ魔術学校の生徒だったんだって。今回の作戦ではソロで活動していたらしいけど、チームの人数合わせで弾かれちゃったらしいんだ。人数も5人以上必要らしいし丁度良いでしょ」
「ライオットです。アリサさんが言った通り、一人では参加できない決まりらしく。まぁ最終的には本部も少人数専用の枠も作るらしいのですが私の能力は索敵やサポート系の魔術で、チームを組む方が活躍できるので、、」
アリサもサポート系の魔術は不得意だと援護する。元々人数も足りないため、別に断る理由もないと了承した。
「これに名前の記入お願いします」
ラウラが参加用紙を手渡して、それにライオットが名前を記入、時間を気にする受付に手渡すとラウラに通信用の水晶が手渡された。
「これで準備は整ったな」
「リーダーは彼女で良いの?」
「ラウラがリーダーだ。宇宙船の中の事を知っているのが理由だし、リーダーとしても問題ない。民主的に多数決するか?」
勿論過半数はアルド達、その有無を言わさない言葉にアリサはなる程と納得した。だがまだ何かあるようでラウラに向き合う。
「天幕で聞かされたのはアナタが相手側を裏切って、バルバロス王国側に付いたという話。でも怪しいから私がこのチームに付いた、だからまぁ怪しいことしないでね。分かった?」
「当然のことです」
アリサの言葉にアルドは好感を持ったが、釘を刺されたとミューズとラウラは考えた。警告なしで魔術を行使する理由が出来てしまうと困るので、ラウラとミューズはアリサと今後の打ち合わせをする。
「我々の目的は船の最深部にある動力部です」
「ふむふむ、それで」
「理由は動力部を破壊すれば、爆発の範囲を拡大出来るからです。そこに爆弾を仕掛けている可能性は高いと思われるからです」
「自分の宇宙船を爆発ね、、まともな敵じゃ無さそうだけど、、しないと思うな。」
アリサは続ける。
「だってこの王国を破壊する目的で来ているわけではないんでしょ、エネルギー源が必要なだけでさ。奴らにとって勝つ勝てると思っている戦いなら、そんな事しないし。逆に負けるなら、補充をギリギリまでして離脱するでしょ」
「、、手数を増やしたい可能性もあります。勝つ負けるは別として、手札の一枚として爆発物を設置するのはありえますよ。奪われた場合、交渉に利用する。部分的な破壊なら問題なく移動できますし」
「確かにね、まぁその可能性も無くはないか、、」
「では目標は最深部でお願いします」
全員が頷く。
天幕からエリーザが外に出て広場の演説台に立つ、最終的な演説をして戦意を高めようとする狙いなのがアルドには分かった。
「我々はこれより、ナガレモノである宇宙船への進行を開始する。各班にはそれぞれに渡した水晶、その番号を確認してくれ。」
ラウラが水晶に書いてある《21》の文字をアルド達全員に見せる。
「番号は30まである。無作為に渡した水晶である、1~15は宇宙船北側より侵入。16~30までは南側。我々傭兵部隊本体は広場の南東に移動後、大型地下通路を通り敵主力を避けつつそのまま南東から侵入する。ルートは各班決めてくれ、また船内の情報は逐一報告してくれ。敵がいるのならば尚更だ」
「宇宙船に我々がそれぞれ蓋をしたら内部に進行。敵や爆発物、罠などの対処をしてくれ。我々の目的はあくまでも敵ではなく、宇宙船の奪取・占領である事を改めて伝えておく以上だ」
「コレより作戦を開始する!諸君の健闘を祈る!!」
エリーザが台を降りると、副官が全員に向けて命令をくだす。
「敵の正面部隊がバルバロス軍の本陣へ移動を開始した。コレは我々の作戦になぞった行動である、落ち着いて宇宙船内に突入しろ」
「行くぞ~!!」
「いけいけ~」
アルド達はラウラの元に集まり、早足になりながら行動を開始する。目指すのは宇宙船南側からの進行。ラウラは走りながらこの戦いにおいての注意点を皆に伝えた。
「ガバレボが作った人造人間のドールならば我々の敵ではありませんが、ガバレボの幹部と遭遇したときは注意してください」
「蝙蝠はぼっ、、アルドさん。ドルアッシュは私かミューズ、レイレインは不確定要素が強く全員で対処をした方が良いでしょう」
アリサはレイレインの名を聞いて嫌な顔をしたが気を取り直したのか、ラウラに告げる。
「、、レイレインの弱点は一度戦ったから分かった。もし遭遇したのなら私ひとりで十分、、あれは弱点の塊の様なものだから、、」
ラウラはその言葉が真実だと思うと同時に、レーザーナイフをベルトから引き抜くと突然襲い掛かってきた人造人間のドールの首を切り飛ばした
。
パシュ。ドン、ゴロゴロ。
目の前には早くも人造人間ドールの集団が現れ、アルド達の行く手を塞いでいる。
アルド・ガーデンブルグの運命の戦い前哨戦はこうして幕を開けたのだった。




