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異次元収集家アルド 三章10

ガバレボ2

班の雑務などをこなしながら盗賊団の中でも強い人達に剣術や弓や魔術を習う。だが俺は全てにおいて中の上ほどしか上達しなかった。残念だと思った矢先、強かった彼等は直ぐに死んでしまった。生きるためには強さだけでは駄目だと思い知らされる出来事だった。


盗賊団をやっていると時々一流の人間と闘う事がある。その時同じタイプでは相手にならない、なので数で押すかやり方を変える。武器を使うなら魔術を、魔術を使うなら弓を。襲う場所や相手の情報は最も大事だった。同数の場合は逃げる。


俺は自分の弱さを受け入れた。辛い訓練や修行をして強くなる必要が無いので自分に合っていたし、何より自分に必要なことは生き残り自由を手に入れるための力だからだ。盗賊団で学んだのはそうした集団戦闘の重要性だ。


俺は強さを求めぬまま、やがて盗賊団がバルバロス王国の地域保安部隊に壊滅されるまで、人の動かし方や気に入られ方を気難しくイカレた盗賊団で学んだ。



*************************



バルバロス王国西門付近、瓦礫が散乱する夜道には二つの人影が足音を消しながら進んでいた。アルド・ガーデンブルグとミューズである。


「落ち合う場所をどこにするか、、ラウラの位置を確認して、ハンドリンクで連絡すれば、いやガバレボの所から安全な所へ移動するまでは連絡はしない方がいいか。あちらの位置と丁度いい場所をー」


アルドは奇妙な材質のハンドリンクを操作しながら周辺の地図を表示させ、落ち合うラウラの位置情報を探る。


「彼方からもこちらの位置が分かるって言っていたから、ここら辺の店内へ移動した方が敵との遭遇を避けられると思うが、、」



「臭いを気にしないのであれば精肉屋、後は書店や土産屋などをお勧めしますが、、」


確かに襲って時間が経過している為に精肉屋は異様な臭いが立ち込めていた。ガバレボが食料を略奪するにしてもこうしたものに価値を見いだせるかは微妙である。


「書店だな。臭いが付いたらそこを出たときに目立ちそうだ」


ミューズはそれを聞くと、暗闇の中周りを見渡し通りから少し離れている、破壊されていない中規模の店を探索する。


「、、鍵は掛かっていますか?」


「いや、慌てていたんだろう開いている」


入り口が閉まっている店を除外して三件目の店に素早く入店すると、ひっそりと息を殺して二人でラウラの到着を待つ。


「ラウラさんは信用出来るのでしょうか?十年以上経っていると効きました。それまでにマスターコンピューターで主従契約を変更されている可能性は?」


「大丈夫だ。マスターコンピューターのある次元には色々あって、許可がない生命体は施設に進入できない筈だ、、多分な、、」


昔のことを思い出しながら、両親が言っていたことを必死に思い出す。


「知っていると思うが元々アンドロイド技術が発達した次元は、人工知能が支配して人類自体が思考力を失っている状態で危険らしいし。認証武器のないブルックリンにはかなり危険な賭けだ」


それから、俯きながら話す。


「ブルックリンはトドメを差したときに俺の心臓を狙った、通常の人間なら助からない傷だ。その時点でブルックリンの考えだとラウラの所有者は自分だと思ったはずだ、手間を掛けてまでそんな事をするとは思えない。」


尚もミューズが口を開こうとすると、ミューズの動きが止まる。気付かないうちに銃らしきモノを背中に押し付けられているのに気が付いたからだった。


「《コレ》で私が敵でないことを分かってもらえたかMUZ-2500。自分の不満を主人に吹き込むのを止めてもらえるか?」


アルドはいつの間にかミューズの背後に現れたラウラを確認する。栗毛色の髪とアルドの背丈と変わらない身長、そして明らかにミューズより一回り大きい胸。服装は変わっても小さな頃のままのラウラがそこにはいた。


「ラウラ、、」


ラウラが《鉄骨》の先端をミューズの背中から離すとアルドを向かい入れるために両腕を挙げてアルドを抱きしめた。


「坊ちゃんいえアルド様、、本当に本当に、、」


「ごめん、ごめん、、ラウラ、本当に、、俺は、、ラウラの言葉を信じていれば、、本当に、、辛かったよな、、」


暫くの抱擁して互いの無事を確認した後、ラウラはアルドとの再開とは別人になったようにミューズを叱責する。


「私が敵だったのなら貴様は只の物質になっていただろう、何故周りに意識を向けなかった?私がガバレボの命令で貴様を破壊するように命令されていたのなら、ガバレボが無力化された坊ちゃんをどうするか分かるか?」


「、、、」


険しい表情をつくるミューズ、険悪な雰囲気を何とかしようとアルドは話題を変える。


「はははっ、ミューズは俺と話してたし俺もハンドリンクで確認を怠った。俺が悪かったんだすまなかったラウラ」


ラウラは笑いながら、いえいえとアルドに微笑む。仕方がないとラウラは矛を収めた。これ以上続ければアルドに対する批判、泥を被って下げた頭を無碍にする行為にもなる為。


「まぁいい、MUZ-2500コレを」


懐から取り出したのは親指ほどの黒色をしたメモリーカードでミューズに手渡す。


「中には歩兵戦車のドラグーンとオーガユニットのOS含め、我々に接続できるドライブと設計図が入っている。機体パーツはここから離れた郊外に置いてきたので帰りに確認しろ半壊した建物の中だ」


ラウラは仕事は終わったとアルドに告げる。


「、、それではガバレボの準契約破棄の宣誓をお願いします」


アルドは頷くと右手を挙げてラウラに告げる。


「これよりブルックリンとの《準主従》契約を解除する。また異論があれば申し出てくれ」


ラウラはクビを大きく振ると、契約解除を了承する。


「これよりブルックリンへの準主従契約破棄を承認する」


ラウラ準契約の期間は14年にも及ぶ地獄はここで終わったのだ。


「、、ラウラ一緒に来るだろ、宿屋を借りているんだが、、」


その言葉を遮るラウラ。


「坊ちゃん、、アルド様。進言があります」


断ると思っていなかったアルド。


「今現在、ガバレボとバルバロス王国軍との戦力差は拮抗していると考えます。もしガバレボを倒すことを前提にするのならばこちらの戦力を高めた方が良い事はお分かりになると思います」


「ガバレボのドラグーンやオーガユニットは別としてアルド様にはもう一つガバレボを上回る兵器が存在します」


アルドはそこまでくると、なる程と理解した。


「宇宙船を奪取するのか?」


「その通りです。しかし問題が二つほど。一つは宇宙船には歩兵戦車が格納され操縦士が待機している点、もう一つは宇宙船が離陸する間無防備となり再制圧されてしまうかも知れない点です。」


「宇宙船は外側からの攻撃に対しては強固ですが内部からだと弱いです。ご主人達の遺物たる宇宙船を破壊されるわけにはいきませんので破壊される危険を極力排除しなければなりません」


「、、今ガバレボの拠点なら条件が厳しくないか?ミューズはどうだ?」


ミューズは暫く考えた後、発言する。


「ガバレボを倒す最短の道は宇宙船内にいるときに宇宙船自体を自爆破壊することだと思います、続いてガバレボ達をバルバロス王国軍と戦っている最中漁夫の利を得る形で奪取する、、最後は」


言おうとして言葉を濁すミューズ、だがラウラはそれで正解だと頷く。ラウラはアルドに作戦を説明する。


「誰かが囮になり、この場合一番戦闘能力の高い私がガバレボ達や船内の歩兵戦車を引きつける。無人の状態で浮かんでしまえばこちらのもの。ハンドリンクで簡易操作出来ます」


「成功確率は?」


「五割ほどです。ガバレボ達がいなければ更に高まりますが、、」


アルドは作戦とラウラの命とを天秤に掛ける。勿論ラウラの命は大切だ、何があっても失う訳には行かない。しかし成功すればガバレボを倒す幅が各段に広がる。


「やっぱり駄目だな」


アルドは頭を振って誘惑を遮った。


「ガバレボの様なクソヤローを倒すためだけにラウラの命は掛けられない、ならあんな奴は倒さなくて良い。これ以上大事なものをアイツの為に失うのはそれこそ《戦いに勝つ》事に反している」


アルドは最後の晩餐のガンリュウの会話を思い出す。


「勇気じゃなく、知恵や機転で奴を倒そう。何かを取り返す為でなく、何かを得るために奴を倒そう」


「アルド君、、」


「坊ちゃん、、」


アルドは頭をフル回転させる。ガバレボ、バルバロス王国軍、自分達、この状況を利用する。


「ラウラの裏切りにはガバレボは気付いているのか?」


「微妙な所ですね、多分気付いた筈です。そこから導かれる理由も、、」


アルドはふむふむと考える。ミューズは提案しようとするがアルドが作戦を考えるべきだと口を閉じる。


アルドは自分を納得させるように何度も頷き、良しと切り出した。


「ラウラにはガバレボ組織の幹部としてバルバロス王国軍に投降してもらおう」




夜明け早朝ー


バルバロス王国の中央にはバルバロス王宮があり、バルバロス王国内の守護を司とっている。先日の戦いで破壊された謁見の間は立ち入り禁止になっており使用は出来ないが、それ以外は依然何の問題もなく機能してた。


謁見の近くに存在する作戦司令室《王国襲撃対策本部》にバルバロス王国軍のアンタレッタ将軍は腕を組んだまま鎮座していた。王国を襲撃した組織との戦いは一時的に膠着した。


しかしそれはバルバロス王国の経済を停滞させ、復興に掛かる時間が増えることを意味していた。アンタレッタ将軍は傭兵を目眩ましにして、敵がアジトとする《船の様なもの》を攻め落とさなければならなかった。


「《ナガレモノ》の可能性があるので迂闊に手を出せば取り返しの付かない程の反撃を受けるかもしれません。ここは慎重に命知らずの傭兵達に攻めさせて様子見をした方が、、」


「慎重論は宜しいですが、あの盗賊集団がやってきてもう2日!その間の損失は金貨一万枚は下りませんぞ。何より鉱石の保管場所の一つが奴らの占領区画にあり、取引の停滞が起こっている。これでは他国への輸出に影響し、安定供給し続けた我が国の信用問題に関わる」


「それは王宮の倉庫の備蓄を利用視するとして、流石にこれ以上睨み合いを続けるのはやや積極性に欠けるのではないかな?アンタレッタ将軍は守りのエキスパートではあるが最早、門を突破された時点で、、いや別に能力が劣ると言うことではなく、、」


運輸局長と外務局長と経済局長が発言していく。アンタレッタ将軍は髭を弄りながらまとまりのない作戦会議という名の愚痴の零し合いを聞き流していた。


「アカデミー内の国王からの定時連絡では国王もかなりストレスが溜まり、アンタレッタ将軍を解任して他の将軍を据えるという話もでていると聞いた」


勿論アンタレッタ将軍はそんな事は十分考えていた。予想では後三日事態に進展が無ければ自分は無能の烙印を押され、返上するチャンスも無いまま解任されるだろう。


「不満が出始めたというところか、スナイプ殿が上手く諭してくれているのだろうが、、何か突破口は無いものか、、」


丁度、話が途切れたときに伝令が臨時会議の室内に入室してくる。局長達はギロリと睨み付けたが将軍は構わないとその場の発言を許可した。


「傭兵の一人である男が敵の幹部とおぼしき女性を捕らえたとの報告であります!いかがしますか?」


アンタレッタ将軍が想像する幹部は《敵に捕まる》おとなしい者達ではなかったが、少しでも情報が欲しいために立ち上がり、暫く離れると周りに告げた後、会議の席を離れる。


「何かあるやもしれん、モロゾフ殿と魔術師を数名、腕の立つ衛兵を見繕って控えさせて詰問室へ通せ」


詰問室には色々と仕掛けが施されており、突然襲われたとしても数秒で逃げられる装置もある。


「また、連れてきた冒険者風の男が閣下に伝えたいことがあると、、賞金などの事かも知れませんが。こちらは中央ホールにいます」


「先にそちらと会おう。賞金はその場で渡そう、奴らに吹聴してもらった方が懸賞金の効果が高まるというものだ」


「了解しました」


アンタレッタ将軍は中央ホールに足を向け護衛の兵士もそれに付き従った。現在王宮へ入るのには戒厳令が引かれていることもあり、余程の事がなければ入ることが出来ない為冒険者風の男を捜すのは簡単だった。


アンタレッタ将軍はボロを纏った隙のない冒険者の男アルドに話しかける。


「待たせたな、、敵の幹部を捕らえたのは主かな?」


「う~ん。ちょっと違うんだが、、まぁいい。俺は取引に来たんだ。別に敵の幹部をあんた達に引き取ってもらう為に来たんじゃない」


男の将軍に対する無礼な言い方や仕草に護衛の兵士達は苛立ったがアンタレッタ将軍は構わないと兵士達を止める。


髭を撫でながらアンタレッタ将軍は冒険者風の男を観察する。大柄とはいえないがそこそこの身長、仕草からかなりの手練れで奇妙な白銀の杖を持っている。眼光や話の内容から何らかの策を用意していることが伺えた。


「ここで立ち話も何だ。近くの応接室に行くぞ、構わないな?」


片手を挙げ同意するアルド。重要な話の場合もあるので防音が施された部屋に案内し、お茶と菓子を机に出す。


「用件を聞こうか、えー、、」


「アルド・ガーデンブルグだ」


「私はアンタレッタ・フェンディという。アルド君は我々の立場を知っていると思う、それを踏まえ私達が出来る範囲内であれば手伝おう」


舌戦を覚悟したアンタレッタはアルドに応戦を期待するが、アルドは懐からビラを取り出すとアンタレッタの前に差し出しただけだった。


「ラウラ、、いや、俺が捕らえた幹部の女を無罪にしてもらいたい」


一瞬面食らった表情のアンタレッタ将軍だったが有り得ないと首を振る。


「、、それは駄目だな」 


「あれは嫌々ガバレボ達の仲間にさせられていただけでも?」


「、、ガバレボ?今回の主犯か?」


アルドはようやくアンタレッタが話を聞く態度を見せて少し緊張を解いた。初めの折り合わせで激怒し席を立たれたら、アルドもアンタレッタも困ったからだ。


アルド自身弁が立つ方ではないと自覚している為になるべく簡潔にかつ、相手の利益を刺激できるように誘導するしかないという考えもあった。この場合バルバロス王国が欲しいのは相手の情報である、それをより高値で買い取ってもらう、それがこの作戦の根幹にあった。


「俺の育ての親のガンリュウ・ムソウが捕らえた男だ。このバルバロス王国の牢に入れられていたのを脱獄してナガレモノの《宇宙船》をガーデンブルグで手に入れたんだ」


アルドは手持ちの情報を一枚切った。それはアルドを信頼させると同時に本来の敵がどの様な男かを知ってもらう、また相手に自分から無償の情報を与えたことで交換条件を提示し易くする為だった。


アンタレッタ将軍は近くにいた護衛の兵士に過去の投獄者の書類とガンリュウ・ムソウの情報を持ってくるように指示する。


「ガンリュウ・ムソウの名は私でも知っている。大陸に名を馳せた冒険者で現在でも時々依頼をこなしている程度だが。君が本当に彼の義理の息子ならばそのガバレボの名を知っていてもおかしくはないか」


アンタレッタ将軍はアルドがまだ情報を持っていると知った上で話を続ける。


「ふむ、君がそれなりに情報を持っていることは承知したが、、どの程度の情報だね」


「この情報があればガバレボの連中に確実に勝てる。そして何よりそれによって得られるモノは莫大なモノになると言っておく。勿論、俺が提示したもの断る権利は将軍にはある。俺は保証が欲しい、俺の仲間が絶対に助かるという保証が、、」


「一ついいか?ならば何故、そのラウラ?という幹部を我々に引き渡すのだ。そのまま逃げれば良かったのではないか?」


アルドはため息混じりに仕方がないと話す。


「ガバレボは先日俺の育ての親ガンリュウ・ムソウを殺した、それが理由だ。同時に今の状態だと自分には状況を打開する力がないし、同時にあなた達も打開するための情報が不足している、そう思ったからだ。ラウラの事は幹部ではないと黙っていれば良かったか?」




アンタレッタ将軍は苦笑した。当然情報をそのまま与えることも出来ただろうが、それでは情報をどうやって手に入れたのかが問題となるし、正確性に疑問が残る。


アルドが嘘をついてただ情報を流せば確かにその情報を多少信用するし、利用するがもし途中でラウラという幹部の事がばれてしまった場合、アルド自身とラウラは確実に処罰される。


それならば逆に始から幹部だと言った方が減刑の対象になる可能性もあるし、情報も罠でなければ基本的に信頼できるといえる。


信頼関係において嘘は付いた時点て脆くなり始め、真実は徐々に強固になるものだ。どちらが正しいのではなく、今回は真実を言った方が良いとのアルドの判断だった。


「ラウラは生みの親の連れで俺も良くしてもらったんだが、俺の責任でガバレボの手下になってしまった。今回のこうするのはなんて言うか《自分のケツを拭く》行為で彼女への謝罪もあるんだ。だからこそ俺はラウラを助けるために全力を尽くすつもりだ」


アンタレッタ将軍は目の前にいる冒険者の覚悟を悟った。しかし、これは将軍の権限から多少外れたものである。


「司法庁に願い出て何とかするが、、確実ではない。それでも、、」


「国民全ての命が掛かっているのに悠長だな、、」


「、、?」


アンタレッタ将軍は事の意味が分からなかった。


「教えてやる。ガバレボが動かない理由はエネルギーが《宇宙船》に無いからだ。だが、その問題も解決する。ガバレボの仲間がガランドロスという爺さんの杖をエネルギー源にするからだ」


「老子が負けたというのか?まさか、、」


「ガバレボ達が《宇宙船》動かして上空から砲撃を加えるまでこうして話を続けてけるのもいいがな。もう少し状況を理解した方が良いと思うぞ」


アルドの言葉には嘘が含まれていた。基本的に宇宙船を操作できるのはアルドとラウラとミューズ、別の次元に一人いるだけであり、現在艦内には操縦出来る者は存在しなかった。だがそんな事を教える利点は全くない。


「アルド君が持っている情報がどう言ったものか知りたい。嘘であれば君は厳罰では済まない事は分かっているね」


「勿論だ。逆にその言葉は返す。もし約束を違えれば俺もそれなりの報復はさせてもらう」


ラウラにはミューズを付けてあるので例えバルバロス王国の精鋭が来ても問題はない。もし作戦が失敗するのなら、こんなバルバロス王国はガバレボとぶつけ合わせて互いに疲弊した所でガバレボのみを倒すだけだとアルドは考えていた。


「司法長官に連絡を入れよう、書類は必要かね?」


「作ってくれ、後で面倒事は御免だ」


アンタレッタ将軍は席を立つ。、


「しばらく待て、また来る」


アンタレッタ将軍は応接室を出ると、ガンリュウとガバレボの書類を手渡される。それを開きながら内容を頭に入れる。


「信頼できますかな?」


近くにいた魔術師のモロゾフにアンタレッタ将軍は声を掛ける。モロゾフは髭面をしかめ難しい顔を作る。


「少なくとも老子の魔力を途中から感じなくなりました。あの冒険者の言葉通りなら培養体を破壊されたのでしょう、それに脳波動では大きな嘘はついてはいなさそうですな」


「ならば信頼できると?」


「彼が操られている可能性を除けば、、」


アンタレッタ将軍は彼の覚悟を決めた姿を思い出す。何かを護ろうとするそんな姿。


「モロゾフ殿、私の観察眼も捨てたものではないと思いますがね。大丈夫でしょう」


「同感ですね」


アンタレッタ将軍は司法長官に魔術による連絡を取ると司法取引による減刑を願い出た。罰金金貨50枚、執行猶予付になりラウラはバルバロス王国内で犯罪を今後犯さなければ牢には入らなくても良いという好条件である。


アンタレッタ将軍は借りが出来てしまった司法長官に礼を言うと再度応接室に戻った。アルドは結果を待てずに聞いてしまう。


「どうだ?」


「政治的問題だ、もう少し待て。司法局内も決めかねているのだろう。それよりも情報を聞かせてくれないか?」


「他の幹部の情報はラウラに聞いた方が詳しい。それに時間もなるべく節約した方が良いぞ」


「アイツ等の兵士は死んだ人間から作ることが出来る。こうしている間にかなりの数になっているかも知れない、宇宙船の件もあるしな」


アルドとアンタレッタは応接室を出てラウラの待つ、部屋へと向かっていった。






「ラウラは裏切ったのか、、」


宇宙船の操舵室、ガバレボにレイレインが報告する。


エネルギーの補給が済んでバルバロス王国軍の王宮やアカデミーを宇宙船の高火力によって突き崩し勝利するという作戦は頓挫し退路が断たれた状況にガバレボは笑う。


「もともと何かを隠しているようだったが、、つまり、、他の主人が現れたか?それともマスターコンピューターなよる書き換えか?いや、、そんな、、」


「ラウラは途中で尾行に気が付いた様で、、詳しくは、、しかし私を攻撃して消滅させた点を考えれば」


「裏切りは確実、、なる程。運命ってやつかな。何となく分かったぜ。レイレインに命令する、人を探せ。捜すのは黒髪の男で年齢は二十代前半。この世界ではない《ナガレモノ》装備品を身に付けているはずだ。あの場の、、父親の腕の、、そう、、白銀のガントレッドを付けている可能性が高いな、捜せ」


「御意」


「ガントレットは登録者しか使えないと思って放置したのが裏目に出たか、、船内に使えそうな物が沢山あって気がゆるんだが、、まぁいい」


ガバレボはレイレインが消えた先を見る。そして名案だとニヤニヤと笑った後呟く。


「今の手札でも十分勝てるが、問題は狙いが俺以外の場合だな、何かしらの手を打っておくか」


「レイニー!操舵室に来い」


船内無線で呼ぶとレイニーが慌ててやってくる。レイニーはガバレボを脱獄させた元盗賊団の一人で頭の回転が早く、剣と魔術をそれなりに使える男だった。


「どうした?何かあったか?」


「俺はコレから王宮に向かう。宇宙船守備に蝙蝠とドルアッシュ、盗賊団の数名を付ける。お前は俺と一緒に来い。ドールは目一杯連れて行き、もう一度奴らの肝を冷やす」


「、、王は穴蔵の中だ、意味がない突撃だぞ。理由はあるのか?」


その問いにガバレボは腹を抱えて笑う、あまりのことに呆気にとられるレイニーだったが、突然笑いを止めてレイニーに近付いて肩を叩く。


「奴らの狙いを絞る必要がある。俺の方が手薄の時に奴らが出て来なければ狙いは他だ」


「王国軍のか?」


「今重要なのはそこじゃないな、、。いや、、まぁいい。派手に暴れに行こうぜ、何なら女も攫って来よう。まだパーティーは終わってねぇ」


レイニーは去っていくガバレボに言う。


「お前は何がしたいんだ?壊すことか?奪うことか?それとも、、」


ガバレボが扉が閉じる前、レイニーを横目に答えた。


「俺は自由が欲しいだけだ兄弟」


その目は冷たく、レイニーを恐怖させたのだった。



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