異世界空間
私は、靭帯もけこ。こなんてついているけど体は立派な男である。小野妹子も子という漢字がついているけどそもそもは「一」から「了」まで自分の人生を全う出来るようにという、意味があったりしていたりして別に女だけでなくてもいいと思うの。まあ、名前は私が自分でつけたのだけどね。そう男なのだ私は筋肉なんてモリモリで嫌になっちゃう。もう少し、ひょろくてもいいと思うのよ、腕にこんなにも筋肉はいらないわ。
無念って顔をして雨の日に自分の自殺場所の屋上でただずんでいるもやしっ子みたいなのが理想なのよね。
あの子、もう3年もいるけど成仏しないわね。もう自分をいじめた奴はいないというのに、その有り余る力を手にして暴走してしまったからかしら、若干地縛霊になってるのかもしれないけど、それは知らないわ。
私は、優しいけどそこまで優しくないのよ。
そうそう、説明しなくてはいけない事がもう一つ、私は走る人体模型という怪談なのよ。あの子みたいな、幽霊よりも力が強い、私の学校の中では古株のような存在なのよ。
その、スピードは無駄についた綺麗な筋肉により陸上をしているだとかの小学生になんて負けないほど。ターゲットにしたら学校から逃がさないよう慎重に追いかけ回して最後ににやっと笑うだけ。だから、足の筋肉はこれでいいんだけどね、やっぱり腕がね。
あら、古株にしては甘いとか言われそうね。他の七不思議が可愛そうだから、私はこれくらいでいいのよ。ある意味、救いよね。
それに、私の笑顔って怖いらしいの。そんなに皮がないのが怖いのかしらね、憤慨ものよ。暫くは、トラウマになって夢にうなされたりするみたいで、理科室に怯えながら入ってくるの。そんな、瞬間みたらゾクゾクしちゃうわよね。
特に、足に自信持ってる子だと尚更よね。
あらそうよ、名前は私をもじったのよ素敵でしょ。そのままよりもよっぽどイイと思わない?私は私で他の人体模型とは違うのよなんてね。
それで今、私はちょっとイラついている訳なのよねーな・ん・で・も他校の人体模型が脱走しちゃったらしいの。
それで、1番近いんだからって全国人体模型怪談の会会長に捕まえて来いって、んもう人使いが荒いんだから、いくら1番の古株でも横暴だと思うのよね。
まっ、私以外となると、時間がえらくかかっちゃって捕まえる時間なんて無いほどだったりとかという訳で学校に置いて行ってる先生達の服を着るという楽しみをする前に緊急で呼び出されちゃったのよ。んもう、運がないわねぇ私。
そんな訳で、私の学校の七不思議を利用して脱走した人体模型の学校に向かっているって訳なのよ。
そこで、他のオバケとかに行きそうな場所を聞いたりとかするのよ。あいつとは仲良くなかったから、てかお互いに興味なかったし御近所の知り合いって感じよね。てな訳であいつの学校に行かないといけないわけ。
これが結構大変なのよね、私達は、便宜上異世界と呼んでいるけど、ようはワープ空間と同じなのよ。来るための条件は、色々あって私の学校は、廊下をフルダッシュして壁に突っ込んで行くと行けるけど、スピードが足りなければただのぶつかり損よ。内臓が飛び散ったりして、探すのも大変だし失敗したのを他のオバケに見られたりしたらどんなからかいが飛んでくるか考えただけでも恐ろしいわね。
他にも、入る方法はあるわよ、勿論。だけど、これが一番縛りが少なくて私にとって便利なのよね。
近いし、走るの早いなら徒歩で行けば言いじゃんていう話だけど異世界空間を使わないと人間に姿を見られたりして後々面倒だから、仕方なく使うしかないのよね。
会長様直々の命令だからしゃーないけど、断れば次の人体模型情報交換会に呼ばれなくなってしまうもの。それは、見られても同じよね。
「あの」
考えをブチ切りにする者がいた。
「何よ」
ちょっと睨むと怯えて、これだからおどかすのは楽しいわね。
「ひっ」
けど、ちょっとむかつくわ。
「失礼ねーあなた達」
「だって、人体模型が動いてる」
「あら、ここに来たということは何かの怪異に巻き込まれたか入ったのでしょ?私が動いていてもおかしくはないと思うわそうでしょ?」
そういえば、コクコクと首を動かしてまるで首振り人形みたいで面白いわね。
「機嫌が悪かったけど、あなた達面白いから助けてあげる」
見るところ、迷子のようだ。まあ、出る所なんて簡単には見つからないだろう。ここは複雑な迷路みたいな所、出れてもどこにたどり着くか分からない。
そういえば、以前迷い込んだ男の子がいたわね。彼、結局出口が見つからなくて脱水症状を起こして死んだらしいわ。
「あ、ありがとうございます」
随分とものをハキハキと言うこと怯えている子、ハキハキと言うこは好きよ。
「どこから来たの?」
「丸山小学校からです」
「あら、私もそこに行く予定だったのよ一緒に行きましょう」
「オバケさんは、名前はあるのですか?」
少女のうち1人がそんな事を聞いてきた。
「あるわよ」
私が自分で着けた名前だけどね。
「なんていうのですか?」
「靭帯もけこというの」
「じんたい?なにそれしってる?」
「しらない」
「あら、知らないの?靭帯は、強靭な結合組織の短い束で、骨と骨を繋ぎ関節を形作るものなの。主成分は長いコラーゲンの線維であって靭帯には関節の可動域を制限する働きもある素晴らしいものよ。骨と骨格筋を繋ぐのは靱帯ではなく腱というのよ」
わからないって顔をしてるわね、何年生なのかしら……あら、小2なの、それなら分からなくてもしかないわねいずれ学校で習うわよ。
そうして、一緒に行って少し話したけどハキハキと言う子はりんと、怯えている子はきみ子というらしい。なんでも、異世界に通じるという階段の怪談を試してしまったらしいのだ。
「呆れた、そういうモノは本物も多いのよ」
特に、目指している学校は古いんだから、禍々しいものだってたくさんいる。私の学校よりもそれはそれは酷いのだ。七不思議が全てきちんと機能している所は珍しいというのに本当に人間はバカね。それに、何も持ってきてないなんて用意してないなんて自殺行為に等しいわ。そう言えば
「次からは気をつけます」
本当に反省したように、言った。素直っていいわね、やっぱり。
「そうしなさい」
それにしてもこの子達は、運がいいわね私のような脅かすだけのオバケに会えて、追いかけている人体模型とかなんて人間に憧れすぎて殺してしまいそうな奴だっているのだ。
「着いたわ」
ここの壁をベロリと捲ると丸山小学校の大鏡と反転世界に通じる道があるから大鏡に向かって出ていけばいいのだ。
「向こうに着いたら、用務員の所にでも行きなさい」
又、コクコクとうなづいている。この子達は素直で良いわね。生意気な奴は面倒だしキライだわ、この子達が将来変な子にならないといいわね。
「あの、ありがとうございました」
意気揚々と、りんという子がでてからあの怯えていたきみ子からお礼がきた。それにびっくりして反応出来なかったけど、いい事をするのはたまにはいいかもしれないと思った。
「あっ、そういえばいつ迷い込んだのか聞いてなかったわね」
異世界の時空は歪んでいるから戻った時間から何年も立っているとかありえるのだ。
「まっ、そこまで私はお人好しではないわ」
全ては不用意に怪異に手をだした自業自得なのだ。
「さてと、あいつを捕まえに行きますか」
タイムリミットは、後数時間それまでに捕まるかは神のみぞ知る……なんてね。
skeletonの世界と同じです。人喰い用務員さんの所に助けを求めた彼女らは大丈夫なのかは誰も知らない。時間は、ざっと9年たってるかと。skeletonで咲と恵美里が中3になってるので。




