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創刊号 冴えないラノベの育てかた

お久しぶりです。帰ってきちゃいました!誰もまってないけど(泣)。

誰かコメくれよぅ・・・・。

『ライトノベル』。

それは『一般の知名度で言えば、漫画や小説にまったく届かず、小説なのに「いや、ぶっちゃけこれただの漫画じゃね?」と言われてしまいそうな内容であり、ネトウヨ共からは「こんなん俺でも書けるはwwwww」や「文章力0www」、さらに昨今の作品は売れ筋を見てみるとなんだか題材がだだかぶりしてるパターンばっかしで、「これだからゆとりは・・・」みたいな空気が漂ってしまっている。あと「軽量化された小説」を名乗っているのに定義が『挿絵派』と『レーベル派』の真っ二つに分かれて、日々無駄な争いを繰り広げているのも有名』とか言われちゃう哀れな物である。

(注;個人の感想です)


そして、そんなライトノベルの作家は『「後先考えないで書いてたら担当編集さんに『続き書いて』って言われた・・・。やべぇ・・・。何も考えつかねえ・・・・・」といった事態が多発して2巻以降の展開がとんでもないレベルの蛇足っぷりを見せてしまい、即刻打ち切りをくらうケースが「新人にはよくあること」とされていて、ネットで他人の作品を貶め、自らの作品を褒め称える自画自賛のクソ野郎や、「小説を書き終わったら、気分転換に他の小説を書く」という永久機関が搭載されているトンデモ人間が続出したり、何とか区切りまでやろうとしてアニメが悲惨な出来になることは7割方間違いなしである。もうどうしようもねぇ』とか言われちゃう哀れな人々である。

(注;あくまで個人の感想です)


・・・・・でも、まあ、自分の考えた話が世の中に出て、誰かが「面白い」って言ってくれること以上に、作家としての喜びは無いと思う(ライトノベル関係ないけど)。

多分な。



「何が萌えバトルラノベだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

いつかの時代、どこかの場所。ファナリナーサもマリンナーサも無い世界(夢や希望はあると個人的には思う)。

具体的に言うと二〇一〇年代の日本の首都圏のどっかの一軒家。

そこで俺は渡された原稿を見るや否、天井を見上げて大声で思いのたけをブチかました。

そして思いのたけが轟き渡ると同時に、振りかぶってオーバースローで投げ飛ばし、空中に放物線を描いて、原稿が飛んだ。

そして部屋の隅のシュレッダーに着地して、スイッチが入る。

ガガガッと音がしながら原稿は高速で破け、ただの紙クズになり果てた。

「ギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

可愛らしい声に似合わない悲痛な悲鳴が聞こえた気がしたが、メンドイのでスルーすることにする。

「うおあ、アバ、hzんhこか、くぁwせdrftgyふじこlp」

ほざけ。じゃないちょいと黙れないの?この女は。

「・・・・・・・・・・・はぁ」

慈悲で一応後ろを振り向くと、そこには『美少女』が居た。

薄汚れたメガネに似合わない大きな瞳が目立ち、一般論で言えば可愛い顔をしていて、身長も俺と同じぐらい、そして出るところはキッチリ出てる(憶測)がタコまみれの汗ばんだ手とドキドキのかけらも発生しないダサすぎる『錬金術師』なんて書かれたシャツをきた『微笑(びしょう)(じょ)』だった。

彼女の名前は『中原瞳音(なかはらひとね)』。

取り合えず俺たちの関係を一言で表すと、「ビジネスライクの相棒」と言った所である。わぁすごく話飛んでるー。

話を元に戻すとフリーズ状態から立ち直った中原は、イスを蹴飛ばしシュレッダーに駆け込み、原稿を救出するまでにほぼ時間はかからなかった。だが時すでに遅し、救出したときには既に虫の息だったぽい。

(8割エグれて修復不可能な情報が入りまーす)

「わ、わ、ワタシの、私の14時間の努力の結晶がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!何してんのホント何しちゃってるの!?」

「ちょっ、1時間で20ページ書いたのっ!?」

その速さは素直に関心するけど、なんで480ページもかけて話が全く進まず、2ページから10ページかけた登場人物紹介の挿絵のあるキャラが誰も登場しないんですかねぇ・・・・・。

「おい、俺が書けと言われたから頑張って書いたヒロインズの中のアイドルグループ『めっきめきにしてあげる☆』のメンバーや、『いいぜ、ただしその頃にはあんたはカビた牛乳になっているだろうな』が決めゼリフの中二病な女子の『亞婦濾駁覇(アフロバクハ)』とかが登場しないのは一体どういう了見だ?つーか今更だけどこれ完全にただの劣化パクりだし、パクリを選ぶセンスすらねぇなお前」

書いている時俺がどんだけ恥ずかしく、「なんでこんなの引き受けちゃったんだろう・・・・。・・・くそっ!金か!やっぱ金か!」と後悔に包まれ布団かぶって「うあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と言ってたのを知らんのかコイツは。ま、誰にも言ってないけどね!

「パクリもポカリも言うにゃ――――!そーゆうのは参考資料とかリスペクトとかオマージュとかポロディとか言っとけば何とかなるから!」

「何をポロっとしてるの。そーいう事はちゃんとこういう事をやめてから言ったらどうかね!」

彼女の手から元原稿を奪い取り、そう言うと、

「それは壮大なプロローグなの!ここには伏線が沢山散りばめておいてあって、数々のバトルシーンで回収する予定なの!!」

「学園ラブコメにバトルシーン入れてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

その勢いで自分の机のタブレットを引っ掴んで思いっきり頭を殴りつけてやった。あーすごいスッキリ。

「そっちだってさっき『萌え「バトル」』って言ったよね!?」

「ちょ、ばかお前そんな設定が固まっていない頃の話を持ち出されても困るんだよ!」

こんな感じで30分ほど壮絶な口論が続き、お互い呼吸困難に陥った頃ゼエゼエ言いながらそっと中原が呟いた。

「いやさ?こっちも苦労してるんだよ?だって今までバトル物ばっかり書いたり読んだりしてきちゃったから・・・」

「まあそれはそうだけどよ・・・」

こいつのデビュー作から現在刊行してるシリーズまでの4作は全てコテコテのバトル物だった。

異世界ファンタジー、学園厨二バトル、人が死にまくるハードサスペンス、そして今は魔法や科学、妖怪宇宙と入り混じったトンデモスケールのラノベがアニメ化企画進行中と言った所だ。

そんな矢先でそのシリーズをならべく続けさせる為に新作の企画が立ち上がって・・・・・・その企画がザ・ラブコメって感じの物で・・・・・・今、こんな状況になっている。

「じゃあ改めて聞くけど、好きなマンガやアニメは?」

「・・・エルフ〇ンリー〇とかデスト〇246とか。あ、最近だと〇ール〇トリガーや棺〇のチャイ〇とかも好きだよ」

「前二つは名前しか知らんが、後半二つは俺も好きだな」

「うんうん、BDは予約済みだよ!」

見事なまでにバトル(しかもグロばっかし)なセレクションだ。誰だよコイツにこんなに向かなぇ仕事渡したのそれで現場は大混雑してんだぞ。事件は編集部で起きてるんじゃない現場(しごとば)で起きてるんだ!

いや、誰って俺の上司なんですけどね。

ははは、社畜ってモンは飼い主(上司)には逆らえないから社畜なんて言われんですよね・・・・・


「とりあえずさぁ、女性の利点を作品に生かしてみようと思う」

「女性の利点?」

「そう、男視点だと気づきずらかったりする、女性の視点から見える世界を描写するのが作品の肝になってくると思うんだ」

男と女では脳の大きさも一部の造りも違うと言われるし、それが理由かどうかは知らないがやはり考え方の違いは存在する。

ライトノベル作家なんて9割方男の世界だからこそ『女』という武器はかなり重要なステータスになりうるのだ。別に編集を色気で誘惑しろとかそういう意味じゃないからね?

「たしかに〇らド〇は名作だね。でも、そういうのって少女漫画とかで使われる方法だよね?私少女漫画とかあまり読まないから分からないよ」

ふむふむと頷いた後、真剣な顔で中原はそう言ってきた。さすがプロ。仕事のことになると途端に顔つきが変わる。

「まあ、予想はしてた。ならオススメの少女漫画を教えてやる。一冊五〇円。十冊セットで今なら四〇〇円って所だ。貸すか?」

「四〇〇円コース3回で。ていうか少女漫画そんなに沢山持ってるんだね・・・・・」

「おいその悲痛な眼差し今すぐやめろ。何か悪いのかよ」

最近は男だって読むもんだぞ少女漫画。どれだけ実写化しても叩かれることが少ないジャンルだし、何よりシビアさが他のジャンルの漫画よりずっと重い。セピ――――シーンをあそこまで堂々と描くのはモラル的にどうかと思うが。

「まあ別に興味ないけど。じゃもう暗いし今日はもう終わりにしようか」

そう言って中原は窓を、俺は部屋の時計を見る。既に時刻は午後9時を回っていた。今日は泊まるわけでもないのでそろそろ帰った方がいいだろう。

「締切大丈夫なのか?」

「ふふふ、サトくん、私ぐらいの作家になるとね締切はね、守るものじゃなく延ばすものなんだよ。限界(クビきられる)までね」

「そのセリフ編集者や新人に聞かせたら殺されるぞ」

そんないつも通りの悪口を交し合って家を出る。星が見えない都会の空は明るいように見えて暗かった。

なんだかお先も真っ暗な気がする・・・


しばらく他の小説は放置しておきまーす。

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