1.
うさぎ、どうしてここにいるの?
わたしが一人ぼっちでかわいそうだから?
わたしはかわいそうなんかじゃないわ。
だから、用がないのならあっちへ行って。
ちがうよ。
そんなんじゃない。
僕はきみが好きだから。
だからそばにいる。
今、会ったばかりなのに。
おかしいわ。そんなの。
今、会ったばかりで
きみを好きになった。
いけない?
・・・。
いけなくないわ。
いいわ。
とてもいいと思う。
うさぎと女の子はしばらくの間、砂の上に絵を書いたりして遊んでいました。
きみの名前は何ていうの?
きみのこと、何て呼んだらいい?
わたしの名前?
アイスよ。
アイスクリームのアイス。
変な名前ね。
あなたの名前は?
うさぎ?
うさぎでいいのね。
うさぎがいいわ。
だってあなた、うさぎだもの。
ねぇ、わたしのうさぎちゃん、
もっとあっちへ行ってお花を摘みましょう。
ねぇ、うさぎは花かんむりの作り方を知っている?
知っているよ。
僕はとても上手いんだ。
二人はもっと向こう側の、小さいお花がたくさん咲いている小山へ行きました。
わぁ、すごい。
うさぎ、上手ね。
うさぎはあっと言う間に花かんむりを作ってアイスの頭の上に乗せました。
うさぎ、もっと作って。
うさぎはもっと小さい花のわっかをアイスの手首と足首用にも作ってやりました。
一本の小さいお花で指輪を作ってアイスの指にはめてやりました。
わぁ、きれい。
うさぎ、王子様みたい。
そうだよ、僕は王子なんだ。
さぁ、君を連れてあちら側へ行くよ。
あちら側ってどこにあるの?
わたし、少し怖いわ。
うさぎ、あなたアリスとアイスを間違えたのね。
きっとそうだわ。
うさぎはアリスを連れて不思議の国へ行ってしまったんだもの。
でも、うさぎは王子様ではなかったわ。
うさぎはいつまでも終わらないお茶会に行くんですもの。
うさぎ、あなたは一体何者?
僕はうさぎだよ。
僕はお茶は飲まないんだ。
それに、あのうさぎはアリスを連れていった訳じゃない。
アリスが勝手についてきたんだ。
で、きみは僕についてきてくれるの、アイス?
う~ん。どうしようか迷っているの。
あちら側は楽しい所?
うさぎはずっとわたしと一緒にいてくれる?
わたしを一人にしない?
きみを一人になんてするものか。
だって、僕はきみを迎えにきたのだから。
ねぇ、僕と一緒に行こうよ、アイス。
(僕が君を一人になんてするものか。
アイス、僕は君を決して離したりはしないよ。)