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挨拶
「…ぇ」
自分でも今のが自分の声なのか視界いっぱいに迫っている虎が発したのかわからないがいや普通に考えて虎は“ぇ“とか言わないし多分私の口から出たのだろうけどでもそれにしたって急展開過ぎやしないか。
こんな時に限って私の頭の中ではどこの国か忘れたが「コップンカー」という挨拶?がぐるぐると回っていた。そうだ挨拶を言うべきか、否か。いや言うべきではない。死ぬ。
「……こ、コップンカー…」
危機的状況下での沈黙というのは余計に人を混乱させる。何故か沈黙が辛くて何か言わねばならないという意味不明な使命感が私の乏しい脳に伝令を寄越し口をついて出たのは何処かの国の挨拶だった。
「…グルゥ…?」
表情筋が引きつる。もはや引きつって千切れそうだ。いや、逆に無表情かもしれない。とにかく虎さんが唸られました。なんとなく語尾が上がりぎみな気がしたので何言ってんだこいつとか思っているのでしょうか。
「……お前、話せるのか。」
「…ほ?」
喋った。