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夜景 1  作者: 錦木 真悠
1/1

第一 起

始めて完結した短編です。


何回かに分けて投稿しようと思います。

仄暗い街で僕はまだ歩いて行く。


続いていく道に未来は無くても。


歌が、耳に届く。


低くなりきっていない男声に似合う緩やかなアップテンポ。


冬の風を退ける様な、暖かなリズムに心地良さを感じた。


「いい曲だな」


呟く様に投げかけた声が聞こえたらしい。


「ありがとうございます」


と、やはり呟きの様な返事が聞こえた。


寒さに身を縮め、俯けていた視線をふと上げる。


いい眼をしているな、と思った。


路上に溢れる道行く人に紛れながら、青年の瞳は光を振りまいているかのようだった。


明るく、少し手入れのかかった茶髪が印象を与える。



真冬であるのに熱がこもるのか、ダッフルコートの前は全開で、嫌味のない服がみえている。


大学生だな、と思った。


そうだ。


確か近くに地元の国立大学へのバス停があったはずだ。


青年がスゥッと息を吸い、また冷ややかな顔をした通行人に詞を送り届けるべくギターの弦を抑える。


私は通行人よろしく、そのままその場を歩き去った。


ーーーーー

道が交差する地点に設置された時計台はこご11時を差していた。


街は煌めきを失いながらも、まだ眠らない。


歩みを進める。


しばらく歩き、一つの店の前で足が止まった。


全国チェーンのバーガーショップ。


一階にレジがあり、二階にガラス張りのカウンター席が並ぶ店のつくりだ。


昼間は若者がたむろしているのがよく見られるが、時間が時間ということもあり空席が目立っていた。


そんな、窓際の中央席に。


座り、こちらを見下ろす少年が目に入った。


こちらを、といっても少年はこちらの姿を捉えているわけではない。


どこか、宙をぼんやりと眺めている。


少し立ち止まったあと、店に入り、店員にこえをかけた。


「コーヒーを。あとアップルパイを二つ」


会計を済ませ、二階へ上がる。










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