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Unlucky!  作者: 木嶋隆太
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第十話 スキル解放

 店員からもらった報酬を確かめる。経験値にお金が1000ポイント。それに腕力のネックレスだ。

 経験値とポイントは今までもたくさんもらっていたので、どうでもいいがネックレスは気になった。


 ネックレスの装備分類はアクセサリだ。俺はまだアクセサリをつけていない。一人二つまでつけられるアクセサリだが、初期装備としての配布はないからな。


 どうやら、腕力のネックレスは腕力に+2の補正をしてくれるらしい。ダメージがあがるのだろう。


 苦労が少しだけ報われたな。早速装備すると首に赤い宝石がついたネックレスがつく。ネックレスは装備の可視のON/OFF設定があるようだ。


 確かに歩くたびに胸の辺りで揺れるネックレスは邪魔だ。感触はないが、ついているだけで首の裏の辺りがむずむずする。


 OFFにすると装備の効果だけが残り、アクセサリは消えた。普段からアクセサリをつけるのが嫌いな人もこれでOKだな。


 ふうと肩をずっしり落としながら、深呼吸。

 いいアイテムなのかもしれないが、アレだけの労力が必要ならクエストを受ける価値はないな。


 それからは、適当にお試しの草原で狩りを行う。さすがにレベル的にも余裕になってきた。

 

 効率も悪いし、明日は別の場所に移ろうか。まだ早いが、今日はもう宿に戻ろう。

 夕陽が道を照らす時間帯。まだ闇に包まれてはいないが、ぽつりぽつりと街灯が点灯し始めている。


 街灯は一応電気でついているわけではないらしい。魔法の力で明るくしているのだとか。ファンタジーだから、一応。


 いつもと同じ宿を借りる。


 木でできた机と椅子。それに簡素なベッドと風呂がついたこの部屋に来ると、帰ってきたという気分になる。

 拳銃をアイテム欄にしまわず、机に置いて椅子にずしりと腰掛ける。


 明日はどうするか。狩りをするのなら、新しい狩場に行くのも手か。


 効率重視なつもりはないが、経験値の溜まり具合を見ていると気分が萎えてくるんだ。やはり、ぐいぐいあがったほうがいい。


 逆に効率が悪くても敵が強くて、楽しんで戦えるのならそっちにいきたい。

 思わず、強敵と戦ってる情景を想像して悪い笑みを漏らしてしまう。


 楽しそうに談笑していたパーティーの面々に青い顔をさせてしまうという小さな事件も起きていたが、誰にでも一度はあると思うだろうし、いいだろう。


 レベルは14。効率的にどうなんだろうな。瑞希たちは一日であげたらしいし。

 なんとなく体が疲れている気がする。疲れがたまったらやはり、あれだろう。


 風呂へ行き、服を脱ぎ捨てる。ゲーム世界でまでしっかり風呂に入っている俺は、案外キレイ好きだったのかもしれない。


 ちなみに風呂場に行かなければ服は脱ぎ捨てられない。フィールドで露出するのは困難だ。

 あるとは思えないが、風呂には一人でしか入れない。何か問題が起きたりしないようにだろう。


 捻ればシャワーが出てくるのでさっさと全身を洗って、風呂に浸かる。この風呂いつも満杯に入っているのだろうか。

 しっかりと温度調整もされているので、言うことなしである。


 はぁー、生き返る。お湯に疲れが染み出すようだ。


 俺が風呂を楽しんでいると、脳内にコール音が響く。ウィンドウが現れ、現れた名前は『スイスイ』だ。人がせっかく休んでいるのに、邪魔しやがって。


 無視するが、しつこくコールされる。出るまで鳴らし続けるつもりか。

 仕方なく、出る。


「もしもし」


 少し声に不満が混じったかもしれない。瑞希は別段気にしてないように話し始める。


『アキ兄、こちらスイスイ……だけど、画面が表示されないわ』


「画面が表示されるのか?」


 そういえば、テレビ電話とかあったな。声が脳内に響く変な感じよりかは、そっちのほうがいいかもしれない。


『ええ、そうなのだけど……故障かしら?』


「入浴中だからかもな。というわけで、後で電話してくれ」


 途端に興奮したような息遣いが伝わってくる。


『いいえ! 最高よ! 私にすべてを見せなさい! 今どこの宿にいるのかしら? 見に行くわ、いえ、襲いに行くわ!』


「訂正したほうが悪くなってるな」


 声の調子が高くなり、鼻息の荒さが電話越しに伝わる。ああ、暴走モードになりやがった。

 

「それで、用件は。何で電話してきたんだ?」


『くっ、思い出すのよ私。シャワーの音やアキ兄の呼吸……くっ、思い出せないわっ! 宿屋すべてを手当たり次第にさが――』


『……えい』


 のんびりとした掛け声とともに、何やら頭部を硬いモノで叩いたような音が響く。がしゃんと割れる音も届く。

 あの声はオレンジか、よくやった。ガッツポーズで賛美を送る。


『スイスイ、暴走してる』


『……私としたことが、クールビューティーを忘れてしまったわ』


 クールビューティー。最後に(笑)とかつきそうだな。

 やっと落ち着いたか? まだ、少し荒い鼻息が聞こえるのは気のせいだろう。


「それで、何の用なんだ?」


『アキ兄の裸体――じゃなくて、ファストの街の西門から向った先の街セカンズについたわ。現在Lvは19よ。無事都市解放戦は勝利だったわ。珍しいアイテムも手に入ったわ』


「用事はそれだけか?」


 いきなり連絡があったから何かと思えばただの報告か。


『……まあ、それだけね。あとは、ア、アキ兄の声が聞きたかったからよ』


 恥ずかしそうに後半ぼそぼそと小さかった。無理して言わなくていいぞ。


「だったら、もういいか? そろそろ風呂を出たいんだが」


『あ、ちょっと待ってアキ兄。今日はどこで狩りしてたの? なんでも、初心者殺しの草原に虫取りアミをもった奇人が変な移動方法で駆け回っていたって掲示板に書かれてたんだけど、見なかったかしら?』


 瑞希は「不思議な人もいるものね」と神妙に語っている。

 どうにも、興味をそそられたらしい。俺は削がれたよ。


「掲示板?」


『知らないのかしら? みんなで攻略情報などを書き込む場所よ。雑談掲示板に虫取りアミ奇人がいたって書いてあったのでアキ兄も見たかなって思って聞いたのよ』


「奇妙なヤツもいたもんだな」


 鼻で笑い飛ばし、それから顔をそっぽに向ける。

 今すぐ話題を変えたい。


「フィリアムはどうしたんだ?」


 さっきから声がしない。ヒメはさっきからこちらをちらちらを見ている。どうにも話題に出してほしいようだな。


『拳銃の命中率があまりよくなくて、今も一人で練習中。今日はほとんど短剣で戦ってたわね』


(他のゲームで銃器を使ったことはあるのか?)


 さすがに初めてではうまく出来ないだろう。俺も使っているので分かるが、システムのサポートなどもないようだし。

 他のゲームでは射撃線みたいなのが出るモノもある。慣れていない人はそういうので練習したほうがいいんだがな。


「ある程度慣れてないと難しいぞ」


『そう、伝えておくわ』


「ああ、なるべく悔しがるようにな。あと、俺もう寝るから」


『私のことは聞かないのっ?』


 瑞希の後ろから、やかましい子どもっぽい声と共にヒメがこっちを見てくる。

 かまってほしいのか、本当に子どもだな。


『も、もう? 早いわね。おやすみ、ハダカ兄』


「変な妄想はやめろよ。お前、酷い顔になるからな」


 注意を飛ばしておき、それから風呂を出た。

 サケの刺身を食べて、食欲を満たし時間を確認する。


 まだ、18時ちょっと過ぎくらいだがやることもない。

 寝るか。レベルがあがったので、スキルポイントも入っているかもしれないと考えてスキル画面を開く。


 するとメッセージが出る。


 『新たなスキルが解放されました』

 

 スキル画面を選択するとそんな表示が出る。

 気になって見てみると、新たに入手したというスキルがウィンドウとして現れる。


『カウンター威力アップ。カウンターの威力をあげます』


 そのまんまだな。


 スキルにはある条件を満たすと解放されるモノもある。カウンター威力アップは、恐らく何回かカウンター攻撃を決めるとか、カウンターで敵を仕留めるとかそんなところだろう。


 取得条件まではかかれていないが、そういうのはいつか誰かが検証してくれるはずだ。


 解放されたスキルは中々有用そうだな。ついでに、どんなスキルがこの先必要になるのか検討して、二つスキルを取得した。


 空中攻撃Lv1

 自分が空中にいる際に相手に与えるダメージがあがる。

 

 カウンター威力アップLv1

 カウンター時、威力アップ。


 通常攻撃威力アップも欲しかったが、ゴブリン相手に結構カウンターが発動していたので取得した。敵が攻撃をからぶった後に攻撃するとカウンターになるから狙いやすい。


 カウンターだけあって敵の攻撃をやり過ごした後に行えば発動するはずだ。

 割り振りが終わったので、ベッドへ横になって7時間と設定して眠りについた。


 空戦士 Lv14


 セカンドジャンプLv7

 ダブルショットLv3

 格闘術Lv6

 クリティカルアッパーLv1

 空中攻撃Lv1

 カウンター威力アップLv1

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