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神聖独劇  作者: さとう
終章――神聖独劇
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新生喜劇

 強く光が閃いたとき、前の世界では古から続く契約が破棄された。これからは新しい導きが必要になる。また、選択をすることのできる未来と自由は人の手に戻され、罪と罰も人の尺度ではかられるようになる。絶対の審判が下されることはなくなった。人々は新しく生まれ変わる。

 恐れることはない。すべては無くなり、すべてが人の中に還った。静寂の後に、目覚めの時は来る。私自身が人々の光となる必要はなくなった。


 光に導かれ、孤独を彷徨い、やがて光となることを目指してきた。いつからか光は原動力となり、それに至らんと道を進んできた。それも、もう終わろうとしている。今、扉を潜った。ここにはなにもない、ずっと目指してきた最後の場所。いくつもの時を越え、人と出会い、夢と幻に惑わされ、光の導きで辿り着いた最果ての大地。

 扉を潜ったその先で、曖昧な存在だった私が形を持った。はっきりと浮かび上がる形は満ちる光と一緒になり、私という存在が虚ろになってゆく。遠くにぼんやりと人影が見えた。いつも側にいたものだ。夢の中で声を掛けてきたこともある。だが、その姿をはっきりと見たことはない。彼が近づいてくる。私はすでに光と同化し始め、意識も薄れてきている。


 薄れゆく意識の中で私は見た、近くに来た影は私自身だったのを。彼は微笑みを投げかけた。扉の向こう、最後に出会ったのは私。これまでずっと私を見ていたものは私だった。彼が手を差し出し、私の中に入ってくる。私と一つになる。光が広がってゆく。終わりがきた。命が果てる、繰り返された生が尽き、意識が遠のいてゆく。

 

 光。孤独。幻想。啓示。夢幻。深淵。神聖。懊悩。罪。目覚め。未来。静寂。暗黒。罰。地平。祈祷。混沌。扉。新生。

 すべてがあって、すべてがない。これがそうなのか。やっと理解することができた。受け入れよう。このまま……孤独のまま……終わる瞬間を。

 ずっと求めていた希望の光――『死』が私を覆った。

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