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神聖独劇  作者: さとう
第十五章――古き記憶
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目覚めの時

 潮の満ち引き、揺蕩う波の拍手にたましずめを唄おう。

 古の叡智が眠る海よ、数多の命を抱き何を思う。水の都よ、母なる君に抱かれ眠り何を想う。

 常しえの輝きを生み出した人類の栄華は闇に呑み込まれた。

 永遠の愛を彩る言葉は暗い静寂に沈んでしまった。

 永劫の光を灯す希望もまた黒い深淵によって掻き消された。

 遠い御国に眠る魂よ、この唄が聞こえるか。あなたを世界に繋ぎ止める、寄る辺ない孤独な唄が。


 命の花が散り、時のまにま、流離う魂たち。暗い水の底で解放される時を待つのだろう。

 覚めることないありし日の夢を見ているのか。醒めることない幻に魅せられているのか。

 陰鬱なる闇の中、行き場の無い虚空を彷徨う。その虚空の広がりは無窮、その深さは果てしない。

 暗く冷たい海の底は、星のない夜に似て、寂寥と恐怖に染まっているだろう。

 深い闇の中、孤独に流離う魂たちよ、この唄は届いているか。あなたたちに呼び掛ける小さな独りの唄が。


 沖の白波から囁きが聞こえる、古の都は滅びぬと。わだつみの声を聞いた、かつての文明は甦ると。

 命を乗せた言の花が冷たい水面へ散る。想いは海を渡り、願いは闇に沈みゆく。

 古き都へ伝わったのだろうか、あなたたちを繋ぎ止める、そして呼び掛ける唄は。

 おお、海がざわつき、穏やかな旋律を奏で始めた。この唄が届いたのか。

 沖つ波が知らせる、終わりは近いと。

 海原は叫んでいる、最涯ての場所はもうすぐだと。

 太陽が昇る、眩き彼方に見えるのは神聖なる地平。

 おお、古の文明が深淵から甦る。

 輝く未来が訪れようとしている。

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