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神聖独劇  作者: さとう
第十三章――光無き世界
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滅びの道

 ――太古、人はあらゆるものを理解した。また、彼らを呑み込むことにより自己という存在を認識たらしめた自然を敬った。

 同時に、暴れる力を恐れ、静めるために祈りを捧げ、神を創り、己を救った。限りある生命を至上のものにするため、自由と生死を太陽に預け、光と安息を手にした。――


 現在、世界は大きな闇と混沌に支配され、その中に、小さな人の灯火が点在している。冷たい機械たちが終わらない闇を広げ、秩序正しく合理的な混沌を増殖させている。

 過熱された機械文明はある日を境に人類の成長を止めた。以降、人類は急速に萎縮し衰頽してゆく。そして、気がついたとき、既に世界は人の手から離れ放棄されていた。

 大多数のものはこの事態を嘆き憂うどころか、気がついてすらいない。気に留めるものは極々僅かだけである。断言しよう。もはやここに未来はない。


 宗教と呼ばれた画一的幸福を願う信仰は、機械が産み出す物質的幸福に取って代わり、捨て去られた。己自身を内面から見つめ正す哲学という自己鍛練は、肉体の安息と快楽を絶えなく得られ、堕落に溺れるようになって廃れた。

 機械文明の恩寵を最大限に享受した人々は、考えることを止め、誰の言葉も聞かない。問うものに耳を貸さず、問うものも諦めている。己の欲望を満たすために目先の恩恵に手を伸ばし、信じるものは無機質な物質だけである。

 今現在の逸楽を貪り、未来を見据えることなど眼中にない。昨日の出来事すら覚えることを止めた人に、歴史を顧みるなど求めるべくもないだろう。個人が自己の欲望の内に閉じ籠り、やがて、それは世界の閉塞にまで波及した。

 閉ざされた世界が赴くのは破滅だけである。

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