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神聖独劇  作者: さとう
第十二章――聖なる契り
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契り

 神は平等であり、力は平等に無慈悲であった。猛り荒ぶり、破壊と蹂躙を尽くし、傷つけ、殺めることもあれば、静かに微笑み、再生と誕生を促し、慈しみ、愛するときもある。

 人の尺度では計り知れない叡智を振るうその姿に、恐怖と畏敬から信仰心は沸き上がっていた。また、それらは一層強く人を惹き付け支配した。

 時が経つと、蒙昧なる人は深く信仰をすればするほど、神は穏やかであり続け、人を世界の中でより高い位に置くはずだと思い込むようになった。

 溢れる自然との相対による位置付けを止め、迷妄の神による絶対の審判を選んだのだ。これにより、人の思考は停止し悪しき思考は加速する。生死の意味の均一化、自然の忘却、他者の排斥……人は在るべき命の在り方を自然から斥け、神による価値判断を得ようともがいた。


 やがて拡大された信仰意識は愚昧なる行為に及ぶ。人は自ら創造した神と契約を交わすという暴挙へ出たのだ。生涯に渡り神への絶対服従と永遠信仰を果たすことを誓い、対価として生の豊饒、死からの救済、幸福に満ちる静寂の地平へ至ることを約束した。

 光と安息だけでは飽き足らず、救いとさらなる幸せを得るために己の存在を神に献上し、さらに、永遠と回帰を願い、神とともにあることを欲した。

 人は神を創造し、契約を交わすことにより生きた。この契約は後の世に聖なる契りと皮肉られ、最も愚かな行いとして残り続ける。人は愚の産物と罵るが、正体不明の何かが縛りつけるゆえにただ平伏すばかりであった。

 そして契りは、遙かなる時を経て、神に挑む英雄が現れるそのときまで続く。

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