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神聖独劇  作者: さとう
第十一章――夢幻人
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神の啓示

 気が付くと、静寂の嵐が吹き荒ぶ荒涼とした地平に独り立ちすくんでいた。その光は突然目の前に現れると、瞬く間に広がり、見えていた世界と僕を包み込んだ。

 そして、光の記憶を残しここにいる。光以前のことは名前も何もかも忘れてしまった。

 

 ――これが長い夢のような世界、幻に捉われた世界を彷徨う始まりだった――


 僕は、たぶん、この世界に生み落とされた。だけど、どんな形而上な意味があるのかは分からない。

 なにかの啓示があったわけでもなく、光に包まれただけだ。ここが未来なのか、過去なのかもわからないでいる。でも、記憶がないせいか恐ろしくはない。


 家族がいただろうが、顔も名前も覚えていない。覚えていない過去は思い出すそのときまで捨て去り、今は不可思議なこの世界で前を見るのが賢明だ。自身のためにも、光の謎を解き明かすためにも。

 取り合えず歩こう。この寂しい地平線から抜け出し、どこか人のいるところまで行こう。しかし、見えるのは空と大地が交わる線だけとは、いったいどれだけ歩けばいいのだろうか。


 おかしい、もうずいぶんと歩くのに見える景色が変わったように思えない。それに疲労も飢餓感もない。これはどういうことだ? 景色どころか時間も進んでいないのでは? 太陽も位置を変えていないじゃないか。

 どうしたらいいのだろう?  ……あれは、彼方に見えるのは光。違う、彼方じゃない、目の前だ。

 あぁ、光が広がる――

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