神の啓示
気が付くと、静寂の嵐が吹き荒ぶ荒涼とした地平に独り立ちすくんでいた。その光は突然目の前に現れると、瞬く間に広がり、見えていた世界と僕を包み込んだ。
そして、光の記憶を残しここにいる。光以前のことは名前も何もかも忘れてしまった。
――これが長い夢のような世界、幻に捉われた世界を彷徨う始まりだった――
僕は、たぶん、この世界に生み落とされた。だけど、どんな形而上な意味があるのかは分からない。
なにかの啓示があったわけでもなく、光に包まれただけだ。ここが未来なのか、過去なのかもわからないでいる。でも、記憶がないせいか恐ろしくはない。
家族がいただろうが、顔も名前も覚えていない。覚えていない過去は思い出すそのときまで捨て去り、今は不可思議なこの世界で前を見るのが賢明だ。自身のためにも、光の謎を解き明かすためにも。
取り合えず歩こう。この寂しい地平線から抜け出し、どこか人のいるところまで行こう。しかし、見えるのは空と大地が交わる線だけとは、いったいどれだけ歩けばいいのだろうか。
おかしい、もうずいぶんと歩くのに見える景色が変わったように思えない。それに疲労も飢餓感もない。これはどういうことだ? 景色どころか時間も進んでいないのでは? 太陽も位置を変えていないじゃないか。
どうしたらいいのだろう? ……あれは、彼方に見えるのは光。違う、彼方じゃない、目の前だ。
あぁ、光が広がる――




