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命の満ちる場所
夢幻の彼方に見える静寂の地平、そこは誰もが畏れ、望む場所。最涯てにある永遠の御国、そして終わりの地。
夢と幻の涯てにそこは在る。幾億もの人たちの忘れられた夢の記憶が流れ、集まり、形作られた未来への扉から辿り着ける。
夢幻の回廊。巡る世界。永遠の地平。様々な呼び名を人々は付けるだろうが、どれも同じこと。名前に意味はなく、意味を持つのは事象。
その始めにあったのは暗黒、なにものも存在しない空っぽの世界だけであった。暗黒が蠢く中、やがて混沌が生まれ、混沌は意味を持つものを生み、果てしない流転によって掻き混ぜられ、遍く事象が生まれた。
すべては前に進む、過去から未来へ、変わることのない真理だ。
だが、一つだけ例外がある。『命の満ちる場所』だけは未来にある。いつも、これまでも、これからも、未来にあり続ける。そして、幸福も、悲しみも、是非も、憎悪も、慈愛も、全てを受け入れ、あらゆるものが最後に足を運ぶ。
多くの人はそこを、静寂の地平、と呼ぶ。なにものも拒みはしない。終わりの地。
そこは扉を開け、来るべきものを待っている。




