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神聖独劇  作者: さとう
第八章――光
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狂気の園

 ある日、月の光に迷い道を外した。間違えた道を正しいものと信じて歩き続けると、月光と同化していくことになった。幻とも現とも分からぬ中で、ぎらぎらした輝きを放つ扉があるのに気がついた。妖しい光に呑まれ精神が浄化されると、その扉は開かれた。

 開かれた扉の先には素晴らしい景色が待っていた。

 

 ――畏怖すべきものは偉大なもの。尊敬すべきものは疑うもの。讃美すべきものは蔑むもの。肉体は時間の上で朽ちていくが、精神は永劫に輝き続ける。

 光明の射す世界、そこに善悪は無く、ただひたすら生を貪るためにある。生きるために苦しみを味わい、苦しみのために喜びを噛み締める。幸福は艱難の中からしか見いだせない。希望は孤独から抜け出し、未来は忘却の先にある。

 色褪せることのない神秘の睦言に時が止まる。永遠の語らいに零れる言葉は精気は宿し、季節を巡り、四季を彩り、皓々と世界を照らす。

 いや増す光は希望に盛り、未来は明るい憧憬に輝いている。巨大で数多の光が世界を優しく抱く。光に彼方に新しい扉が開かれていた。その向こうに大きな世界が見える。扉を潜り新しい世界へ飛び込むと、一転して、すべてが暗闇に閉ざされた世界へ変容した。――


 真っ暗な世界で漂い続ける。遠いあとから気がついた。月の光の微笑みに惑わされ、私は一つの間違いを犯した。未来への扉だと思ったのは、幻惑の扉であったのだ。

 そして、これが狂気なのだと、そう悟ったときには手遅れだった。

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