表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神聖独劇  作者: さとう
第八章――光
23/71

新しい世界

 存在の光に包まれ、深い眠りから甦る。ここは外。暗雲が立ち込め、雷が轟く。分厚い雲間から稲光がこぼれている。少しの間みていると、辺りがより暗くなり静まり返った。次の瞬間、一際強い光りが発せられ、同時に、これまでにない轟音が耳をつんざき、私は思わず身をすくめてしまった。

 その時、何かが私の体を貫いた。衝撃が走った胸のあたりを見ると、形を持った雷鎚が突き刺さっていた。雷鎚はそのまま私の魂を握り締め、天へと昇る。意識は魂とともにあった。抜け殻となった肉体が倒れるのを遥か頭上からみた。

 やがて重たい雲の中へ至ると、閃光が闇を切り裂き、その先に見える真っ暗な深淵へ投げ入れられた。


 完全な暗黒が支配する闇の中、落ちているのか、昇っているのかもわからない。時間の流れはどうなっているのだろう、かつての世界と今の私の世界は繋がっているのか、なにもわからない。自分の身に起こった出来事や今の状況、こうなった理由など様々なことを考えた。私がなにをした? ただ光に導かれ、ここまできただけだというのに……。

 思考するのを止め、世界から目を逸らして幾星霜。ある時、ふと目を開くと暗闇が白け始めているのに気がついた。さらに幾年を越えると、真っ白な世界が現れた。そこでは、どの方向をみても必ず視線の先に光がみえた。すると光の方向から何者かの声が聞こえた。どこかで聞いた覚えのある声だ。


『落ちゆく太陽を背にして眺める景色は儚く、下弦の月に跨り望む星々は力強く麗しい。漆黒の天に穴を穿てば精気は零れ、星の滴が満ちてゆく。それは古から続く生者の祈りの形。

 輝ける存在が運命の詩吟を唄う。革命を起こす者、彼は本当の存在を知っている。光の使者は時の彼方から叡智を運んでくる。すべては希望と救いを望む世界に現れる。』


 声が聞こえなくなると、睡魔が襲い、言葉の意味を考える暇もなく微睡みに沈んだ。次に目覚めた世界で見たものは、救済を求め彷徨い歩くものたちが織りなす希望なき世界であった。祈りと捧げを繰り返し、楽園へ繋がる道が開かれるのを待っている。自ら何もせずただ天からの救いを求めている。

 私がすべきは何か。このものらに、この世界で生きるすべを与えることか。遥か昔に聞いた――そうだ、さっきの声はあの時の声と同じものだ――私自身が光になる、それがここから始まるのではないだろうか。

 そんな事を考えると、私の進むべき新しい道が広がるのを感じた。やはり、これが新しい始まりで、目覚めなのだろう。終わりに向かう、始まり……。

 今成すべきは、向こうで怯えた目で見つめるものらの救済だ。まず彼らをこの暗い世界から救い出さないと。

 地平の先から太陽が昇り始めた。新しい始まりに相応しい輝きだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ