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神聖独劇  作者: さとう
第七章――追憶
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 夢の中で聞いた言葉。夢でありながら、それは現実であった。おそらく向こう側の現実。私の意識は夢の世界と見知らぬ世界の狭間で溶け合い、一つになった。一つになると光は満ちて目が覚めた。

 夢の中で聞いた言葉、それはこのようなもであった。


『光! 汝に幸あれ! 光は未来の中に、太陽の如く輝き、幸福に溢れ、待っている!

 希望! 汝に幸あれ! 希望は幸福の中からお前を手招きしている!

 歩むのだ、光の中へ! 孤独な砂漠を渡り、苦難の谷を抜け、試練の山を越えるのだ!

 汝は光! 汝は希望! 汝は幸福! すべては未来のため! 輝くのだ!』


 何も持たない私が光? 希望? 幸福? おかしな夢の戯言にしか聞こえない。向こう側にいたものはなにか勘違いでもしているのだろう。

 また、今日みた夢の中で、同じ世界のものからの言葉を聞いた。語調も言葉遣いもまったく違うものであったが、声は同じ人物のそれであった。


『綺羅星に紛れる反逆の者に堕落を仄めかされ、地に落ち、泥に塗れる清らかなる人よ。あなたには立ち上がる意志と自由を分け与えてある。赴くままの苛烈な意志を、己を支える礎とし、自由を行使するのだ。

 もしも、そのまま暗黒に落ちることなく、再び立ち上がり、闇を払い除け、天を目指し、光となった暁には最大の恩寵を授けよう。もがき苛む姿を見守るのは心苦しいが、さらなる飛躍の時なのだ、悪徳の誘惑を振り払い聖なる人へ進む辛苦の道中なのだ、そう信ずるならば心が揺らぐことはない。

 絢爛たる星々の中で一際強く明るく輝くもの――誰よりも慈愛に溢れ、底知らぬ寛容と理解の心を持つもの――人々の標となる光輝になるもの――立ち上がるのだ。そなたは光なのだから。』


 異なる世界のものは何を望むのだろうか。明日をもわからぬ身である私が、まるで主にでもならんばかりの言葉を投げかた。どれもよくわからぬが、一つだけ、光に関して不思議なことがあるのは確かだ。きっかっけは不明だが、物事が落ち着くと眼前に光が広がり、どこか違う場所・時間へ赴くのだ。

 その先で私は様々な出来事に立ち会ってきた。そして、今いる場所で起こったことと云えば夢の言葉を聞いただけ。思えばこれも一つのきっかけなのだろうか。だとしたら今すぐにでも光が現れてもおかしくない。夢の世界の声を聞くのがこれで終わりならば。


 夢の言葉は、私自身が光なのだと言う。しかし今はまだ私からではなく、目の前や扉などの出入口に現れる。それがいつか、私が光になり、その時こそ、この夢の言葉が真実になるのだろうか。真実となったとき、私はどういうふうになるのだろう。

 そんなことを考えていたら、目の前に光が満ちてきた。

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