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神聖独劇  作者: さとう
第六章――幻想奇譚
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太陽の残酷な導き

 罪を背負い、いつか罪が晴れることを祈り、明日の光――太陽を追い続けた夢のような十年。その月日だけ慈悲を知らない自然によって、肉体は数多の傷を刻み込まれてきた。また、時間は嵐のように吹き荒び、容赦なく裸の精神をいたぶり崩壊させてきた。


 なぜ罪を犯したのか、どんな罪なのか、遠い記憶の欠片は傷から零れ、すべて失われてしまっている。だが、そんなことも構わずにいつまでも夜明けを目指し、太陽に向かって走り続ける。罪の意識だけが体を動かしていた。彼にはその意識と、僅かな希望しか残っていない。しかし、その希望さえも怪しい幻想に過ぎないのだが、彼には気づく余地などなかった。

 男は太陽の彼方に罪の無い場所が、昔の自分が、過去の無垢な世界があると信じていた。それ故に光に導かれ、或いは惑わされ、昨日も、今日も、明日も、彼は太陽を目指し走り続けるのだった。


 罪はいつからか動機となっていた。罪は定めに還り、行為は知らず知らずのうちに意図となっていた。そこに運命的な意味が見いだせるのかもしれないが、もうなにもかもが遅すぎた。思考する余地はなく、ぼろぼろに朽ちた肉体、希望と罪の澱で支えられた精神だけしか残っていない。主体や自我といったものは失われ、彼の存在は幻となり喪失していくだけであった。


 男の暗い世界に太陽が昇り、すべてが戻る日はもう来ない。だが彼は走る。走ることでしか彼は存在できないがために、名も無き罪を背負い、光を目指して、終わりの未来へ向かい続ける。

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